防爆構造電気機器器具に関する国際電気標準会議(IEC)規格に関する調査研究

文献情報

文献番号
201722005A
報告書区分
総括
研究課題名
防爆構造電気機器器具に関する国際電気標準会議(IEC)規格に関する調査研究
課題番号
H28-労働-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
大塚 輝人(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 崇(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 冨田 一(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 研究振興・国際センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,590,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、主要国におけるIECExシステムへの対応を参考にしつつ、我が国の防爆機器検定制度のあるべき姿について検討し、IEC規格とIECExシステムとの調和を推進するための国内制度改正の基礎となる資料を作成することを目的とする。
研究方法
本研究は、次の三つの課題から成り、3カ年で実施する。
1. 防爆機器に関する法令・規格及び検定業務の運用に関する実態調査
2. 防爆機器に係る法令・規格・検定のあり方に関する検討
3. IECExの枠組みによる型式検定の合理化に係わる効果の検証

結果と考察
我が国における現行制度上、防爆機器は構造規格及びIEC規格に整合した「国際整合防爆指針」のいずれかの技術基準により検定されたものでなければならない。しかし、両基準には防爆技術内容の違いにより、使用者に対しては混乱を生じかねない状況にある。平成29年度では、その違いを具体的に整理し、現行制度を改善するための検討を開始した結果、以下の課題を優先的に取扱うべきとの結論に達し、一部については有識者からなる委員会を設置して以下の内容について検討を開始した。
(a) EN(ATEX)とIECとの認証における関係性
欧州防爆指令(ATEX指令)の下、EU加盟国ではEN規格を用いた防爆認証制度が運用されているが、EN規格はIEC規格とほぼ整合しており、既にIECExのテストレポート(ExTR)を受け入れている我が国においてATEXのテストレポートの受入れも技術的には可能な状態となっている。したがって、我が国の制度上、これをどのように位置付けるべきかを検討するものである。
(b)ナショナルディファレンスの整合促進
我が国の制度では、同一型式の取扱いがIECExと異なっており、これがExTRの受入れにおける障害となっている。これは、輸入品の検定申請時に申請者に多大の負担をもたらすことにもなりかねないことから、見直しを検討するものである。
(c) Exコンポーネントの取扱い
Exコンポーネントは、IECExでは検定対象であるが、我が国では、電気機器に該当しないため検定対象ではない。これにより、防爆機器とExコンポーネントの組合せが制限されることになり、特に、ユーザー側に不便な制度となっているため、見直しを検討するものである。
(d)機器保護レベル(EPL)を構造規格に採用する場合の課題
EPLは、防爆機器とその適用可能な危険箇所(ゾーン)とを対応付けるものでありが、我が国ではEPLに相当するものがないため、特に、ユーザー側で機器の選定において混乱を生じるおそれがあるため見直しを検討するものである。
(e)その他検討すべき課題
危険箇所での使用の例外、保守・点検の制度化、他の防爆規格の受入れなどが課題として上がっている。
結論
日本で従来から利用されてきた構造規格に基づく防爆機器は、今でも広く用いられていることから、国際整合防爆指針への一本化は時期尚早であるといえる。また、国際整合防爆指針もJNIOSH-TR-46:2018を以てIEC規格のキャッチアップできた状態となったことから、これから国際整合防爆指針の活用が期待できるが、現在はその端境期にあると言ってよい。そのような状況下では、2章に挙げた規格そのものの違いをどう整合させていくかも重要であるが、制度全体を俯瞰したうえで、どのような形で我が国制度を整備していくかを考えることこそが、真に重要な問題である。
また、現行制度の効率的運用も考慮する必要がある。リスクアセスメントの義務化を受けて、事業者側で何ができるかを今一度見直していただくとともに、先般整備されたExTRによるFast Track Systemを視野に入れた指定外国検査機関制度(平成29年基安発0106第3号)などの有効な活用が望まれる。
国内制度への提言は平成29年度に開始した有識者委員会で引き続き議論を続けていく予定であり、現行制度の有効活用に関してもアンケートの形で平成30年度も継続して調査を進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2019-03-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201722005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,360,000円
(2)補助金確定額
3,084,000円
差引額 [(1)-(2)]
276,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 311,831円
人件費・謝金 81,400円
旅費 68,120円
その他 1,853,505円
間接経費 770,000円
合計 3,084,856円

備考

備考
856円は自己資金

公開日・更新日

公開日
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更新日
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