医療従事者の需給に関する研究

文献情報

文献番号
201721049A
報告書区分
総括
研究課題名
医療従事者の需給に関する研究
課題番号
H29-医療-指定-009
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 晋哉(産業医科大学医学部公衆衛生学)
  • 石川ベンジャミン光一(国立がん研究センター社会と健康研究センター臨床経済研究室)
  • 藤森 研司(東北大学大学院医学系研究科)
  • 本橋 隆子(聖マリアンナ医科大学予防医学教室)
  • 金沢 奈津子(国立病院機構本部総合研究センター診療情報分析部)
  • 川越 雅弘(埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科兼研究開発センター)
  • 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 浅川 康吉(首都大学東京健康福祉学部理学療法学科)
  • 原田 和宏(吉備国際大学保健医療福祉学部理学療法学科)
  • 宮口 英樹(広島大学学術院大学院医歯薬保健学研究科作業行動探索科学)
  • 山口 智晴(群馬医療福祉大学リハビリテーション学部作業療法専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,190,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、都道府県で地域医療構想の策定が進められている中、理学療法士・作業療法士を中心としたリハビリ従事者の需給についても、人口構造の変化等に応じた医療提供体制の構築に資するよう、検討が必要である。本研究では、理学療法士・作業療法士の現在の勤務実態や、新たな医療の在り方やそれを踏まえた医療従事者の働き方等を踏まえ、理学療法士・作業療法士の将来需給の推計を行うことを目的とした。
研究方法
1)理学療法士・作業療法士の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査
日本理療法士協会と日本作業療法士協会に協力を依頼し、それぞれの協会から医療機関に勤務する会員を抽出し、勤務地(都道府県)×年齢(5歳刻み)×性別(男性/女性)でブロック化したうえで各ブロックから45%の会員を無作為に抽出した。インターネットを利用し、無記名式アンケート調査を実施した。設問は理学療法士・作業療法士の勤務状況と働き方の意向等に関するもので総数は21問とした。
2)理学療法士・作業療法士の需要推計
過去にNational Data Base等の医療データを活用し、人口構造の変化を加味して算出した需要推計を基に、理学療法士・作業療法士の勤務実態も踏まえた需要推計の検討を行った。
3)理学療法士・作業療法士の供給推計
過去に実施された、医療従事者の養成数の年次推移、年齢階級別の就業率による供給数の将来推計を基に、理学療法士・作業療法士の勤務実態も踏まえた供給推計の検討を行った。
結果と考察
理学療法士・作業療法士の9割以上が常勤の被雇用者として、臨床現場で働いていた。所属施設以外で兼務する者の割合は3割以下であった。6割以上が4週8休、1割程度が4週6休で勤務していた。
1日に担当する患者数は、6-10名が48.7%と最多で、次いで11-15名が22.5%であった。平均的な1日の単位数は16-20単位が52.5%と最多で、次いで11-15単位が15.8%、21単位以上が12.1%であった。平均的な算定単位数を1週間で検討すると、91~100単位が20.0%と最多で、次いで81~90単位が19.6%、101単位以上が14.6%、71~80単位が10.0%であった。
時間外労働は2時間未満が32.7%と最多で、次いで2時間以上4時間未満が23.2%、4時間以上6時間未満が12.4%であった。時間外労働なしと回答した者が11%いた。時間外労働の業務内容としては、報告書作成が90.4%、会議・ミーティングが54.2%、他職種との情報交換が44.7%の順に多かった。
昨年度の需要推計では、療法士ひとりあたりの1日(1週間)あたりの施療提供量に一定の過程を置き、層別化して推計を行ったが、今回の実態調査で明らかとなった療法士ひとりあたりの1日(1週間)あたりの施療提供量と違いがなかった。その理由として、リハビリテーション料の算定においては、1療法士あたりの1週間の上限算定単位数が決められているため、大きな違いは生じていなかったと考えられる。
今回の理学療法士・作業療法士の勤務状況と働き方の調査結果は、単純集計のみとなっているので、今後は医療と介護別、職種別、年代別、性別などにわけて、需給推計も行う必要があると考える。
結論
本研究の結果、昨年度の医療分野における需給推計値に大きく影響を与える要因は見つからなかった。

公開日・更新日

公開日
2018-08-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-08-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201721049C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、既存の各種統計データを活用した推計と理学療法士・作業療法士の現在の勤務実態や働き方を踏まえた推計の検討を行ったことで、臨床現場の現状に則した結果が得られた。本研究の結果から、昨年度の推計手法が一定の妥当性と有用性があったことが認められ、これは本研究の成果であるといえる。
臨床的観点からの成果
本研究では、理学療法士・作業療法士の働き方や労働環境の変化、時代の変遷等を考慮した将来の需給推計方法を検討することができた。本研究の成果は、計画的な人員養成や効率の良いマンパワーの配分の検討に活用できる。
ガイドライン等の開発
特記なし。
その他行政的観点からの成果
急激な高齢化による人口構造の変化に伴い、医療の提供体制についても適正な整備が求められている。地域医療構想との整合性を確保しつつ医療従事者の需給を検討する必要がある。その際、厚生労働省で議論されている医療従事者の現在の勤務実態や働き方を踏まえた検討も必要であった。本研究の成果は、厚生労働行政における医療従事者の確保の在り方の議論へ活用できる。
その他のインパクト
特記なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-08-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201721049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,090,000円
(2)補助金確定額
7,072,000円
差引額 [(1)-(2)]
18,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,851,942円
人件費・謝金 876,092円
旅費 26,664円
その他 2,417,697円
間接経費 900,000円
合計 7,072,395円

備考

備考
返還金が生じているため

公開日・更新日

公開日
2019-05-23
更新日
-