麻酔科標榜資格を保持している医師の実態把握に関する研究

文献情報

文献番号
201721043A
報告書区分
総括
研究課題名
麻酔科標榜資格を保持している医師の実態把握に関する研究
課題番号
H29-医療-指定-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
稲田 英一(順天堂大学 医学部麻酔科学・ペインクリニック講座)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 智博(帝京大学・医学部・麻酔科学・医療情報学)
  • 山口 拓洋(東北大学大学院医学系研究科・生物物統計学)
  • 飯田 宏樹(岐阜大学大学院・医学研究科・麻酔・疼痛制御学)
  • 落合 亮一(東邦大学・医学部・麻酔科学)
  • 川口 昌彦(奈良県立医科大学・医学部・麻酔科学)
  • 川真田 樹人(信州大学・医学部・麻酔科学)
  • 白神 豪太郎(香川大学・医学部・麻酔科学)
  • 山蔭 道明(札幌医科大学・医学部・麻酔科学講座)
  • 山本 達郎(熊本大学大学院・医学系研究科・麻酔科学)
  • 佐和 貞治(京都府立医科大学・医学部・麻酔科学)
  • 坂口 嘉郎(佐賀大学・医学部・麻酔・蘇生学)
  • 近江 禎子(東京慈恵会医科大学・医学部・麻酔科学)
  • 中田 善規(帝京大学・医学部・麻酔科学・医療経済学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
麻酔科標榜医資格は、診療科に拘わらずある程度の麻酔科診療実績をもつ医師に与えられるものであり、不足する麻酔科医師の業務負担を担っていると考えられる。しかし、2万人以上が麻酔科標榜医に認定されているにも拘わらず、年齢や、男女別の認定数も不明である。麻酔を主たる業務としないが業務上、必要十分な麻酔の技術を必要とする医師が申請する認定基準(基準2)で麻酔科標榜医資格を得た医師については、在籍する医療施設や所属診療科は不明であり、標榜医認定後の麻酔経験症例数や、担当する手術や麻酔の難易度、生涯学習の有無等の詳細は不明である。研究1年目は、麻酔科標榜施設の病床数、手術室数、手術件数などに加え、麻酔科標榜医数や、その所属などについて把握することを目的とした。
研究2年目は、個々の麻酔科標榜医を対象に、詳細な業務実態(麻酔を担当している診療科、麻酔件数、麻酔法など)および、学会参加を含めた生涯教育状況について把握することを目的としている。
これらのデータを活用し、地域ごとの麻酔科標榜医の勤務実態、麻酔科診療の質が維持できているかについて把握し、今後の麻酔科標榜医のトレーニング、生涯教育の在り方や、あるべき業務実態について提言を行うことを最終目的とする。

研究方法
麻酔科管理料を請求している施設を5013設をピックアップし、アンケートを送付した。アンケートでの集計項目は、各施設の経営母体、標榜科、病床数、手術室数、麻酔科担当医の所属診療科、麻酔科標榜医数、麻酔科専門医数、麻酔法の内訳を含む手術件数,麻酔科専門医、麻酔科標榜医数や、その所属科などについてもアンケート調査を行った。アンケート結果の解析を地域分布、人口比、麻酔科医数など各種パラメータと組み合わせて行った。
結果と考察
麻酔科医料を請求している5,013施設のうち、1,833施設からの回答が得られた。常勤麻酔科医のみで運営されている施設は50%未満であり、常勤麻酔科医に加え、非常勤麻酔科医を依頼している施設が多かった。非常勤の麻酔科標榜医は、手術部運営において、重要な役割を果たしていることが示唆された。麻酔科標榜施設であっても、許可病床数により麻酔科標榜医数は大きく異なり、手術件数にも影響していることが示唆された。
 許可病床数が500床未満の施設においては、麻酔科標榜医数は多くの場合4名以下であった。許可病床数が600床、全身麻酔件数が2800件を超えるあたりから、施設間の麻酔科標榜医数のばらつきが大きくなった。許可病床数や全身麻酔手術件数が多い割に麻酔科標榜医数が少ない施設においては、非常勤麻酔科医を雇用していることが示唆された。
非常勤麻酔科医の所属は、麻酔科のほか、麻酔科以外に所属している麻酔科標榜医資格を持つ医師も含まれていた。麻酔科以外に所属する麻酔科標榜医の人数は690名であった。これらの麻酔科標榜医も手術麻酔に貢献していることが示唆された。
 回答率が40%未満であるが、補正式などを用いて推定された麻酔科標榜医数は11,850名となった。2018年4月現在の麻酔科認定医(1955名)、麻酔科専門医(4570名)と麻酔科指導医(3902名)の総数が10,407人程度であることを考えると、1,500人程度の麻酔科学会員以外の麻酔科標榜医も診療に参加していることが示唆された。
結論
麻酔科管理料を請求している全国5013施設のうち、1,833施設から回答を得た。麻酔科標榜医数の全国的な分布及び同じ都道府県内でも偏りがあることがわかった。許可病床数が同規模の病院でも、病床数が多くなると麻酔科標榜医数には大きな差があることがわかった。常勤麻酔科標榜医にのみで手術部が運営できている施設は半数にも満たず、麻酔科所属あるいは麻酔科以外に所属している非常勤麻酔科医の支援が必要であることがわかった。麻酔科以外に属する麻酔科標榜医も1,500名程度と推定されるが、一定の役割を果たしていることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2018-08-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201721043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 954,340円
人件費・謝金 0円
旅費 216,890円
その他 1,669,090円
間接経費 0円
合計 2,840,320円

備考

備考
全国5000施設あまりにアンケート調査用紙を送付した。アンケート回答率が40%未満であったため、郵送費が見積もりよりも少なくなった。

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-