医療用具関係の国際ハーモナイゼーションに関する研究

文献情報

文献番号
199800639A
報告書区分
総括
研究課題名
医療用具関係の国際ハーモナイゼーションに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
中村 晃忠(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 飯沼武(埼玉工業大学)
  • 越川富比古(日本アイソトープ協会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
7,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
冷戦後、世界は大競争時代に突入した。経済のグローバリゼーション、様々な技術革新、それに伴う規制緩和と基準の国際調和の大波が打ち寄せている。医療用具の世界も例外ではない。早急に国際的に通用する医療用具規制体系と基準を整備する必要がある。医療用具分野の国際化整合化の舞台は主に医療用具規制国際整合化会合(GHTF)と国際標準化機構(ISO)である。前者は規制当局を含めた政治の場であり、後者は規制に必要な種々のスタンダードに関する場である。その両分野のどちらもないがしろにはできない。そこで、GHTFにおける規制枠組みの調和への日本側の作業を支援すると共に、ISOにおいては、主に横断的基準に関わる技術委員会(TC)の国内委員会の作業を支援することを目的とした。
研究方法
ア)GHTFおよびISO/TC210は表裏一体の関係にあって、以下の制度の骨格と原則に関する課題を討議している。日本も積極的に参画すると共に、その成果を国内へ反映する方向にある。それらの課題とは、①基本要件、②申請技術文書(テクニカルファイル)、③市販後報告制度、④命名、⑤リスク分析および管理、である。それらの現況調査と日本活動状況報告を行った。
イ)ISOの技術的スタンダード分野では、TC194「生物学的評価」およびTC198「滅菌」がもっとも医療用具全般に影響する横断的基準であるので、従来から力を入れてきた経緯がある。特に、日本はデータに基づいた提案を行ってきており、両TC内で確固たる地位を築いている。今年度は、その一端として日本発の細胞毒性試験用標準材料を用いた国際ラウンドロビンテストを主催した。これらの情報の流通促進のために、Web siteの更新・維持に務めた。
ウ)滅菌保証の基礎としての芽胞形成菌のD値の季節変動とその滅菌保証に対する影響について調べた。
結果と考察
ア)①規制の基本要件とテクニカルファイルに関しては、国際会議の審議経過と結論を詳述。②市販後調査報告制度については、報告の要・不要の判定システム、情報共有システムなどについて詳述。③命名については、コンピュタ訓練コースの詳細を述べた。④リスク管理の手法を詳述し、ケーススタディーを行った。
イ)日本の標準材料を用いた国際共同研究は成功裏に終了し、各国参加者の認識を高めることに成功した。その結果を英文報告書にまとめ、ISO/TC194/WG5で配布した。さらに、ブラッセルとワシントンでの会議で標準材料の必要性と意義について講演した。これ以外の課題も含むTC194国内委員会関係ホームページを充実させ、更新を継続している。
ウ)芽胞形成菌4種のD値の季節変動を調べた結果、冬季で夏季より高い数値になることが分かった。その原因は試料の乾燥状態に関係があると思われた。
結論
国際調和とは、ねばり強く国際会議の場で主張した上で必要とする妥当な制度や基準をそれぞれが採用するプロセスである。そのためには、国内の審議体制の充実、科学的裏付けをもった主張、それを国際社会に認知させるための共同研究の主宰、それら情報の流通促進、必要で妥当な国際基準の迅速な採用、などが必要である。本年度の研究で、その体制が強化され、基本要件とリスク分析を国内基準の根幹にすえることがはかられつつある一方、日本の標準材料と試験法が国際社会で評価を高めた、等の成果をあげた。さらにこの体制の充実が望まれる。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-