病院における薬剤師の働き方の実態を踏まえた生産性の向上と薬剤師業務のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201721028A
報告書区分
総括
研究課題名
病院における薬剤師の働き方の実態を踏まえた生産性の向上と薬剤師業務のあり方に関する研究
課題番号
H29-医療-一般-011
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
武田 泰生(鹿児島大学 附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 外山 聡(新潟大学 医歯学総合病院)
  • 宮崎 美子(昭和薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の医療提供体制の改革が進むなか、平成29年4月に公表された「医師・看護師等の働き方ビジョン検討報告書」の中で、「薬剤師の本質が調剤業務に止まることなく、専門的知見を生かし、人材不足に対応しうる効率的で生産性の高い業務にシフトしていくべき」との提言がなされた。すなわち、これまでの調剤中心の業務から、患者対応を中心とした病棟業務へ、さらに入退院時における薬学的管理を通しての地域連携へと、その職能を生かして、急速に変化する医療環境に対応・貢献していくことが求められた。本研究は、病院薬剤師の勤務状況や業務実態の調査を通して、現状を分析し、今後の病床機能別における生産性の高い薬剤業務のあるべき姿や地域包括ケアとの効果的な連携について明らかにすることを目的とする。
研究方法
平成30年度に行う本格調査の前段階として、平成29年度は全国の病院・診療所約8500施設の1割に当たる850施設を対象としてパイロット調査を行った。対象とした850施設は、特定機能病院85施設を含む地域(厚労省区分8ブロック)別、病床数別、病院機能別に無作為抽出した850施設とした。調査対象項目は、1.病院薬剤師の充足度と業務の生産性・付加価値の実態の把握と分析、2.外来を中心とした効率的で生産性・付加価値の高い業務の事例収集と分析、3.地域連携を踏まえた入退院時における業務展開と情報提供の事例収集と分析とした。調査表を回収し、データクリーニングを行った後、本研究目的に沿った解析を行った。さらに、解析時の問題点を明らかにすることで、平成30年度本格調査でより信頼性の高い結果が得られるような調査表の作成を行うことを目的とした、結果の分析と回答施設からの意見の収集を行った。
結果と考察
調査票の回収率は56%であった。働き方の実態把握調査の結果、特定機能病院が14床に1人の薬剤師がいるのに対して、一般病院で20床、精神で78床、療養で57床、ケアミックスで38床に1人の割合であった。本調査の全施設を対象とした薬剤師充足度は地域別に大差はなかったが、四国、東北・北陸地方で少ない傾向が認められた。薬剤師の各業務時間を病院機能別に分析した結果、病床数あたりの調剤業務時間に大差はなかったが、病棟業務は特定機能の89時間/100床/週に対し、精神で5時間/100床/週であり、機能別に大差があった。外来業務は一般病院の5割程で平均2領域が実施され、療養、精神では1割弱で1領域程度の実施であった。領域別では悪性腫瘍、入院前外来、糖尿病、吸入指導、整形外科の5領域において一般病院の1割以上が行っており、そのうち8割の施設が治療効果の上昇に有効であると評価していた。一方、回答施設の約7割に地域連携室があり、薬剤師の専従は3.5%、専任は1.3%であったが、入院前の服薬状況の確認や薬物治療上の問題点の把握等を行っていた。
結論
今回の調査研究は業務内容のみならず、各業務にかかる時間までも対象とした調査であり、本調査の解析結果は、病院機能別に薬剤業務を展開する上で、薬剤師充足度についても言及できる解析結果となることが期待される。これまでの解析の結果として、病床数あたりの調剤業務にかかる時間は病院機能別に特定機能病院で多いものの他病院機能間では大差がない結果が認められ、いわゆる調剤業務を基本とした業務の状況は変わらず、薬剤師充足度に応じて病棟における業務が増加するという傾向が認められた。本パイロット調査は、平成30年度に実施する全国8500病院・診療所施設を対象とした調査にむけて、より効果的で信憑性の高い結果を得るための調査であった。解析時の問題点を明らかにし、さらに日本病院薬剤師会役員・部員等からの意見を得て、より信頼性の高い結果が得られる調査表の作成のための資料となった。

公開日・更新日

公開日
2018-07-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201721028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
6,170,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,830,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,155,318円
人件費・謝金 318,360円
旅費 531,980円
その他 2,324,783円
間接経費 1,840,000円
合計 6,170,441円

備考

備考
厚生労働科学研究費補助金等取扱規則により、千円未満の端数を切り捨てたため。

公開日・更新日

公開日
2019-06-10
更新日
-