医療安全対策の最新のエビデンスと今後の政策課題についての研究

文献情報

文献番号
201721021A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全対策の最新のエビデンスと今後の政策課題についての研究
課題番号
H29-医療-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 修平((公社)全日本病院協会)
  • 永井 庸次((株)日立製作所ひたちなか総合病院)
  • 嶋森 好子(岩手医科大学 看護学部 共通地盤看護学講座)
  • 鮎澤 純子(九州大学大学院 医学研究院 医療経営管理学講座)
  • 平尾 智広(香川大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 藤田 茂(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
5,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全向上のため、過去の施策の成果を評価し、今後優先度の高い施策を特定することは、エビデンスに基づく医療政策実現に有効である。本研究は、医療安全の諸施策を制度・病院・臨床現場の3レベルに分け、各施策の過去の貢献度や各病院での実施状況、今後推進する上で想定される費用、効果、優先順位を明らかにすること、および、主要国の医療安全施策の状況のほか、全国の病院の医療安全管理体制・活動状況を明らかにすることを目的とした。
研究方法
平成29年度は5つの調査を実施した。①医療安全の専門家25人を対象としたDelphi法による調査では、医療安全の諸施策の過去の貢献度、今後進める上での費用・効果・優先度を明らかにした。②全国3215病院の代表者・医療安全管理者を対象にした郵送法によるアンケート調査では、病院の医療安全管理体制、活動のほか、諸施策の実施状況、今後進める上での優先度を明らかにした。③OECD加盟する35ヵ国の医療安全政策担当者を対象にした電子メールによるアンケート調査では、各国の医療安全施策の現状を明らかにした。④ 海外の医療安全政策についての調査では、米国ASHRMの年次大会に参加し、米国の取り組みについて情報収集した。⑤医療安全に関する3件の文献調査を試行し、文献検索方法や取りまとめ方を検討した。
結果と考察
①より、費用対効果の高い施策として「処置・手術のチェックリスト」「周術期の投薬方法の標準化」「患者・部位・手技等の照合方法の標準化」が挙げられ、今後の優先度が高い施策として「医療職の教育・訓練」「業務量に応じた人員配置」「患者が服薬中の薬剤の定期的な評価・見直し」が挙げられた。②より、病院における専従・専任の医療安全管理者の配置状況や各種医療安全管理活動の実施状況を明らかにしたほか、今後の優先度が高い施策として「医療事故やヒヤリ・ハットの報告・管理の仕組み」「転倒・転落の予防方法の標準化」「手指衛生の取り組み」が挙げられた。③より、OECD加盟国における病院機能評価、医療安全管理者の配置、医療安全に関する臨床指標の報告制度、有害事象の報告制度等の現況を取りまとめた報告書を作成し、第3回閣僚級世界患者安全サミット(平成30年4月13日~14日、東京)において参加者に配布した。④より、米国ASHRMの提供するリスクマネジメントと医療安全に関する教育プログラムや認定制度、及び米国で現在注目されている話題、活動等が明らかにされた。⑤より、医療安全に関する活動はエビデンスレベルの高い研究が少なく、文献調査の費用対効果について検討する必要があること、重要な内容に絞って丁寧に調査すべきであること等が挙げられた。
結論
本研究により、さまざまな医療安全施策・活動について、その費用対効果や優先度を評価することができた。また、諸外国の医療安全施策について、わが国でも参考にできるものを特定することができた。

公開日・更新日

公開日
2018-08-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-08-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201721021Z