歯科衛生士及び歯科技工士の就業状況等に基づく安定供給方策に関する研究

文献情報

文献番号
201721020A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科衛生士及び歯科技工士の就業状況等に基づく安定供給方策に関する研究
課題番号
H29-医療-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
須田 英明(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 )
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 哲也(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野)
  • 三浦 宏子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 大島 克郎(日本歯科大学東京短期大学 歯科技工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科衛生士と歯科技工士の人材確保は,国民に質の高い歯科医療サービスを提供する観点から極めて重要であり,常に安定供給に向けた対策を講じていくことが必要である.しかし近年,歯科衛生士の人材確保が困難な状況にあり,その不足が顕著になっている.歯科技工士についても,特に若年就業者の減少が認められることから,将来の大幅な減少が予測されている.
そこで本研究では,①全国の歯科衛生士・歯科技工士養成施設の中から同窓会組織の運営管理がなされている施設を選定し,その卒業生を対象として免許取得後の就業状況等の実態を把握するための調査を行うとともに,②政府統計データ等の二次分析を行うことにより,両職種における就業状況の概観を把握するための基礎資料を作成する.①②の結果に基づき,歯科衛生士と歯科技工士の安定供給を図るための方策を検討することを,本研究の目的とした.
研究方法
1)歯科衛生士養成校の同窓会会員を対象とし,現在の就業状況,希望就労条件や転職状況について自記式質問紙による調査を行うとともに,就労状況に影響を与える関連要因について検討する.
2)歯科技工士養成施設の中から,同窓会組織の運営管理がなされている施設の卒業生を対象として,自記式質問紙により免許取得直後や現在の就業状況等を把握するとともに,就業継続や離職等に影響を与える関連要因を調査する.
3)衛生行政報告例における歯科衛生士・歯科技工士の年齢階級別就業者数に関する公表値を用い,同一出生世代の就業者数の推移を追うとともに,都道府県別にみた地域差の検討を行う.
4)政府統計データ等を用い,過去50年間(1966~2016年)の都道府県別における人口10万人あたりの歯科衛生士数・歯科衛生士養成数の地域分布について二次分析を行う.また,各都道府県における歯科衛生士数と歯科診療報酬項目との関連を分析する.
結果と考察
1)歯科衛生士の就業に関する調査では,186件の有効回答が得られた(有効回答率31.2%).対象者における歯科衛生士としての就業率は72.6%であり,転職経験者率は68.7%に達していた.早期離職者が多いことから,卒前のキャリアパス教育の必要性が示唆された.
2)歯科技工士の就業に関する調査では,239件の有効回答が得られた(有効回答率:19.6%).対象者のうち,歯科技工士として就業していない者は38.5%であり,離職時の平均年齢(標準偏差)は,25.6(5.0)歳であった.79.4%の者が20歳代で離職をしていたことから,養成校での充実したキャリアパス教育に加え,卒直後の有効な離職防止策の導入が必須と考えられた.
3)衛生行政報告例を用いた調査において,歯科衛生士・歯科技工士の同一出生世代の就業者数の推移を追跡したところ,女性歯科衛生士ではいわゆるM字カーブの形状が年々明瞭になっていた.他方,歯科技工士ではそうした傾向は認められなかったことから,有効な復職支援対策の導入が必須と思われた.
4)都道府県別の人口10万対歯科衛生士数(診療所勤務)は,1970年代頃から東日本に比べて西日本の方が多い西高東低の状態にあり,年次ごとにその傾向が顕著になっていた.また,人口10万対歯科衛生士養成数の推移も,ほぼ同様であった.人口10万対歯科衛生士数と歯科診療報酬項目との相関分析の結果では,「歯科再診料(r=0.354)」「歯科衛生実地指導料1(r=0.358)」「歯科衛生実地指導料2(r=0.310)」「歯科訪問診療1(r=0.421)」および「歯科訪問診療2(r=0.393)」で正の相関が認められた.
結論
1)歯科衛生士養成施設を対象とした調査においては,20歳代においても1/3の者が離職を経験しており,養成校でのキャリアパス教育の必要性が示唆された.
2)歯科技工士養成施設を対象とした調査においては,現在,歯科技工士として就業していない者は38.5%であった.現に歯科技工士として就業していない者は,歯科技工士として就業している者に比べ,歯科技工士としての業務内容に見合う給与が得られていないと感じていた.
3)衛生行政報告例における公表値を用いて,同一出生世代の就業者数の推移を追跡したところ,女性歯科衛生士ではいわゆるM字カーブの形状が年々明瞭になっていたが,歯科技工士ではそうした傾向は認められなかった.
4)人口10万人あたりの歯科衛生士数・歯科衛生士養成数の地域分布は,1970年代から既に西高東低の状態を示していた.また,歯科衛生士数と歯科診療報酬との関連を分析したところ,「歯科再診料」「歯科衛生実地指導料1・2」および「歯科訪問診療1・2」で正の相関が認められた.

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201721020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,200,000円
(2)補助金確定額
1,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 17,258円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 906,742円
間接経費 276,000円
合計 1,200,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-