へき地医療において提供される医療サービスの向上とへき地医療に従事する医師の労働環境改善に係る研究

文献情報

文献番号
201721012A
報告書区分
総括
研究課題名
へき地医療において提供される医療サービスの向上とへき地医療に従事する医師の労働環境改善に係る研究
課題番号
H28-医療-一般-011
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
梶井 英治(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 隆浩(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 谷 憲治(徳島大学病院 総合診療部)
  • 井口 清太郎(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
  • 今道 英秋(自治医科大学 救急医学)
  • 澤田 努(高知県高知市病院企業団立高知医療センター)
  • 森田 喜紀(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 古城 隆雄(自治医科大学 地域医療学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、社会変化に応じた適切なへき地医療の提供体制整備と、へき地医療に従事する医師などのキャリアパスや労働環境整備のあり方について多面的な分析と検討を行うことである。また、全国へき地医療支援機構等連絡会議においてグループワークの企画・運営による支援を行うことである。
研究方法
 平成29年度は、人口減少・少子高齢化に対応し、複数の医療機関で地域医療を支える取り組み(面で支える地域医療)に対して、住民がどのように評価しているかについて、住民に自記式質問紙(無記名)調査を実施し、その体制を管轄する行政にも同様の調査を行なった。また、平成28年度に実施した都道府県、市町村、へき地診療所に勤務する医師、看護師の調査について詳細な分析を実施するとともに、共通質問事項について横断的に比較分析を行った。さらに、平成29年度全国へき地医療支援機構等連絡会議への支援を行った。
結果と考察
 面で支える医療体制の必要性については共通理解が得られているが、検討する場やリーダーシップの発揮の在り方については、立場によって意見が異なり、意思疎通を図ることが必要であると思われた。医療を受ける当事者である住民は、面で支える医療体制への移行や遠隔診療については、賛成とも反対ともどちらとも言い難い心情であることが伺えた。
 へき地に勤務する常勤、非常勤医師の実態の分析から、対象人口が内陸部では1000人程度で、離島部では500人程度、1日あたりの外来患者数では内陸部で20人、離島部で15人を下回った診療所において、常勤医の配置が困難になっているという傾向を認めた。この数値は、へき地医療の確保を考える際に重要な指標になり得る。
 へき地に勤務する医師の4分の1しか専門研修を行えておらず、今後地域枠医師養成制度による医師が担い手となることを勘案すると、専門研修を行える体制整備を行う必要があると思われる。また、へき地診療所看護師の研鑽のための体制を整えるためには、特に常勤看護師『3人以下』や『島しょ以外』のへき地診療所について代替看護師確保のための体制づくりが必要と思われる。
 全国へき地医療支援機構等連絡会議においては、各都道府県の取り組みを共有する重要な機会となっており、へき地保健医療計画が医療計画に統合された後も、継続的に実施することが期待される。
結論
 へき地医療の体制を持続可能なものにするためには、面で支える医療体制への移行、へき地で勤務する医師、看護師の研修体制の充実、各都道府県での取り組みを共有する全国へき地医療支援機構等連絡会議の継続の必要性が明らかになった。一方で、医療を受ける住民の理解を得るための対話の機会や、将来のへき地医療体制を担う関係者が、立場によって意識やリーダーシップの在り方が異なることから、意思疎通の機会を充実させる必要性も明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2021-05-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-10
更新日
2021-11-09

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201721012B
報告書区分
総合
研究課題名
へき地医療において提供される医療サービスの向上とへき地医療に従事する医師の労働環境改善に係る研究
課題番号
H28-医療-一般-011
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
梶井 英治(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 隆浩(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 谷 憲治(徳島大学病院 総合診療部)
  • 井口 清太郎(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
  • 今道 英秋(自治医科大学 救急医学)
  • 澤田 努(高知県高知市病院企業団立高知医療センター)
  • 森田 喜紀(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 古城 隆雄(自治医科大学 地域医療学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、社会変化に応じた適切なへき地医療の提供体制整備と、へき地医療に従事する医師などのキャリアパスや労働環境整備のあり方について多面的な分析と検討を行うことである。また、全国へき地医療支援機構等連絡会議においてグループワークの企画・運営による支援を行うことである。
研究方法
都道府県、へき地を有する市町村、へき地診療所に従事する医師・看護師について自記式質問紙調査を実施するとともに、人口減少・少子高齢化に対応し、複数の医療機関で地域医療を支える取り組み(面で支える地域医療)に対して、住民がどのように評価しているかについて住民調査を実施した。
さらに、平成28年度及び平成29年度全国へき地医療支援機構等連絡会議において、へき地保健医療計画に関するグループワークを企画と運営も行った。
結果と考察
面で支える医療体制の必要性については共通理解が得られているが、検討する場やリーダーシップの発揮の在り方については、立場によって意見が異なり、意思疎通を図ることが必要であると思われた。医療を受ける当事者である住民は、面で支える医療体制への移行や遠隔診療については、賛成とも反対ともどちらとも言い難い心情であることが伺えた。
 へき地の常勤、非常勤医師の実態の分析から、対象人口が内陸部では1000人程度で、離島部では500人程度、1日あたりの外来患者数では内陸部で20人、離島部で15人を下回った診療所において、常勤医の配置が困難になっているという傾向を認めた。この数値は、へき地医療の確保を考える際に重要な指標になり得る。
 へき地に勤務する医師の3分の1しか専門研修を行えておらず、今後地域枠医師養成制度による医師が担い手となることを勘案すると、専門研修を行える体制整備を行う必要があると思われる。また、へき地診療所看護師の研鑽のための体制を整えるためには、特に常勤看護師『3人以下』や『島しょ以外』のへき地診療所について代替看護師確保のための体制づくりが必要と思われる。
 全国へき地医療支援機構等連絡会議においては、各都道府県の取り組みを共有する重要な機会となっており、へき地保健医療計画が医療計画に統合された後も、継続的に実施することが期待される。
結論
か年の研究を通じて、へき地医療の体制を持続可能なものにするためには、面で支える医療体制への移行、へき地で勤務する医師、看護師の研修体制の充実、各都道府県での取り組みを共有する全国へき地医療支援機構等連絡会議の継続の必要性が明らかになった。一方で、医療を受ける住民の理解を得るための対話の機会や、将来のへき地医療体制を担う関係者が、立場によって意識やリーダーシップの在り方が異なることから、意思疎通の機会を充実させる必要性も明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2021-05-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-10
更新日
2021-11-09

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201721012C

収支報告書

文献番号
201721012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 262,676円
人件費・謝金 0円
旅費 913,455円
その他 1,823,869円
間接経費 0円
合計 3,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-05-10
更新日
-