文献情報
文献番号
201720006A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス感染者の偏見や差別による被害防止への効果的な手法の確立に関する研究
課題番号
H29-肝政-指定-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 四柳 宏(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
- 米澤 敦子(東京肝臓友の会)
- 中島 康之(東京肝臓友の会/全国B型肝炎訴訟大阪弁護団)
- 梁井 朱美(東京肝臓友の会/全国B型肝炎訴訟九州原告団)
- 及川 綾子(東京肝臓友の会/薬害肝炎全国原告団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班では、肝炎患者等が不当な差別を受けることなく社会において安心して暮らせる環境づくりを目指して、そのための具体的・効果的な手法の確立を目指した研究を行う。また、肝炎に関する教育の現状と課題を把握し、普及啓発方法等について検討した上で、教材を作成し、その効果を検証する研究を実施する。
研究方法
① 偏見差別の実態の解析と偏見差別の事例集及び解説書の作成
先行研究において34施設の国立病院機構病院に通院加療中の肝炎患者約6,331名に対して行ったアンケート調査および東京肝臓友の会に寄せられた肝疾患患者からの相談事例を解析することで、社会における肝疾患患者への偏見、差別の実態を明らかにする。この解析結果をもとに、肝疾患患者への偏見差別事例集の作成を行うとともに、適切な対処の仕方に関する解説書(座談会形式)を作成する。
② 病院職員および看護学生を対象としたウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度の調査
国立病院機構病院および国立国際医療研究センター計35施設の病院職員、附属する看護学校、助産師学校および長崎活水女子大学看護学部計21施設に所属する看護学生を対象としたアンケートと解説書を作成し、調査、分析を行うことで、看護学生のウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度を把握する。
③ C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書の作成の検討
本研究班では、C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書を発行することにより、既にウイルスが駆除された元C型肝炎患者が、必要のない検査や診断書が求められることがないことを目指す。
④ 肝炎患者に対する偏見差別をなくす為のワークショップ、講演、広報活動
解析および調査結果をもとに作成した偏見差別事例集と解説書を用いて、看護学生および肝疾患の相談支援に関わる医療従事者(医師、看護師、薬剤師、栄養士、MSWなど)を対象に、ウイルス肝炎患者が受けた偏見差別を無くす為のワークショップを実施するとともに、医療従事者やウイルス肝炎患者および一般市民に対して講演などを含む広報活動を行い、その前後でアンケート調査を行う。
先行研究において34施設の国立病院機構病院に通院加療中の肝炎患者約6,331名に対して行ったアンケート調査および東京肝臓友の会に寄せられた肝疾患患者からの相談事例を解析することで、社会における肝疾患患者への偏見、差別の実態を明らかにする。この解析結果をもとに、肝疾患患者への偏見差別事例集の作成を行うとともに、適切な対処の仕方に関する解説書(座談会形式)を作成する。
② 病院職員および看護学生を対象としたウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度の調査
国立病院機構病院および国立国際医療研究センター計35施設の病院職員、附属する看護学校、助産師学校および長崎活水女子大学看護学部計21施設に所属する看護学生を対象としたアンケートと解説書を作成し、調査、分析を行うことで、看護学生のウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度を把握する。
③ C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書の作成の検討
本研究班では、C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書を発行することにより、既にウイルスが駆除された元C型肝炎患者が、必要のない検査や診断書が求められることがないことを目指す。
④ 肝炎患者に対する偏見差別をなくす為のワークショップ、講演、広報活動
解析および調査結果をもとに作成した偏見差別事例集と解説書を用いて、看護学生および肝疾患の相談支援に関わる医療従事者(医師、看護師、薬剤師、栄養士、MSWなど)を対象に、ウイルス肝炎患者が受けた偏見差別を無くす為のワークショップを実施するとともに、医療従事者やウイルス肝炎患者および一般市民に対して講演などを含む広報活動を行い、その前後でアンケート調査を行う。
結果と考察
① 偏見差別の実態の解析と偏見差別の事例集及び解説書の作成
初年度の成果として、肝疾患患者約6,331人から回収したアンケート調査を用いて偏見差別に関して解析をおこなった。肝炎に感染していることで、差別を受けるなど嫌な思いをしたことがあると回答した頻度は有効回答数4,789人中782人(16.3%)であった。その頻度は、B型肝炎>C型肝炎(22.1%>14.5%)、女性>男性(20%>12.2%)、であり、また若年者>高齢者では前者において有意に高頻度であった。C型肝炎患者とB型肝炎患者をそれぞれ区分して、男女別、年齢層別に偏見差別の頻度を検討したが、高齢者よりも若年者で、男性よりも女性で、有意に高頻度であった。データマイニング解析(決定木法)で偏見差別に寄与する因子を解析した結果、重みのある順番に表記すると、①年齢、②病気の経過年と性別、③病態と治療経験数と病態などの因子が抽出された。
偏見差別を受けた544件の事例内容について、7のカテゴリー(病院関係、感染、日常生活、社会、家族・結婚・交際、学校・仕事関係、家族以外の人間関係)に分類して、B型肝炎患者とC型肝炎患者で、各カテゴリー別にその出現頻度を比較検討した。その結果、C型肝炎患者では、感染に関する差別偏見の頻度が有意に高く、一方、B型肝炎患者では、社会、家族、結婚、交際、学校、仕事のカテゴリーに属する偏見差別の頻度が有意に高い結果を示した。
② 病院職員および看護学生を対象としたウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度の調査
国立病院機構病院および国立国際医療研究センター計35施設の病院職員、附属する看護学校、助産師学校および長崎活水女子大学看護学部計21施設に所属する看護学生を対象としたアンケートと解説書を作成した。
③ C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書の作成の検討
C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書の必要性、作成する上での問題点を明らかにした。
初年度の成果として、肝疾患患者約6,331人から回収したアンケート調査を用いて偏見差別に関して解析をおこなった。肝炎に感染していることで、差別を受けるなど嫌な思いをしたことがあると回答した頻度は有効回答数4,789人中782人(16.3%)であった。その頻度は、B型肝炎>C型肝炎(22.1%>14.5%)、女性>男性(20%>12.2%)、であり、また若年者>高齢者では前者において有意に高頻度であった。C型肝炎患者とB型肝炎患者をそれぞれ区分して、男女別、年齢層別に偏見差別の頻度を検討したが、高齢者よりも若年者で、男性よりも女性で、有意に高頻度であった。データマイニング解析(決定木法)で偏見差別に寄与する因子を解析した結果、重みのある順番に表記すると、①年齢、②病気の経過年と性別、③病態と治療経験数と病態などの因子が抽出された。
偏見差別を受けた544件の事例内容について、7のカテゴリー(病院関係、感染、日常生活、社会、家族・結婚・交際、学校・仕事関係、家族以外の人間関係)に分類して、B型肝炎患者とC型肝炎患者で、各カテゴリー別にその出現頻度を比較検討した。その結果、C型肝炎患者では、感染に関する差別偏見の頻度が有意に高く、一方、B型肝炎患者では、社会、家族、結婚、交際、学校、仕事のカテゴリーに属する偏見差別の頻度が有意に高い結果を示した。
② 病院職員および看護学生を対象としたウイルス肝炎全般およびウイルス肝炎の感染性に関する理解度の調査
国立病院機構病院および国立国際医療研究センター計35施設の病院職員、附属する看護学校、助産師学校および長崎活水女子大学看護学部計21施設に所属する看護学生を対象としたアンケートと解説書を作成した。
③ C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書の作成の検討
C型肝炎ウイルス駆除後の治癒証明書の必要性、作成する上での問題点を明らかにした。
結論
肝疾患患者約6,331人から回収したアンケート調査を用いて偏見差別に関して解析をおこなったところ、差別を受けるなど嫌な思いをしたことがあると回答した頻度は有効回答数4,789人中782人(16.3%)であった。その頻度は、B型肝炎>C型肝炎(22.1%>14.5%)、女性>男性(20%>12.2%)、であり、また若年者>高齢者では前者において有意に高頻度であった。
公開日・更新日
公開日
2018-08-01
更新日
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