肝炎ウイルス感染状況と感染後の長期経過に関する研究

文献情報

文献番号
201720001A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス感染状況と感染後の長期経過に関する研究
課題番号
H28-肝政-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 佐竹正博(日本赤十字社中央血液研究所)
  • 三浦宜彦(埼玉県立大学)
  • 相崎英樹(国立感染症研究所・ウイルス第二部)
  • 芥田憲夫(虎の門病院・肝臓内科)
  • 鳥村拓司(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
  • 山崎一美(長崎医療センター)
  • 日野啓輔(川崎医科大学・肝胆膵内科学)
  • 宮坂昭生(岩手医科大学・消化器内科肝臓分野)
  • 島上哲朗(金沢大学・附属病院地域医療教育センター)
  • 菊地 勘(医療法人社団豊済会 下落合クリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎、肝がんによる健康被害の抑制、防止および体制整備を目標とした疫学基盤研究。肝炎・肝がん対策推進に対応可能な疫学基礎資料を提示
研究方法
3つの研究柱を基に基礎、臨床、社会医学の専門家を組織し実施
結果と考察
1)肝炎ウイルス感染状況に関する疫学基盤研究
・カンボジアベトナム一般住民調査によるHCV genome sequence解析による遺伝的特性の解明とHCV RNA遺伝子変異率(genotype 1bと6)の推定を初めて提示
・透析患者のHCV抗体陽性率は2017年5.2%(2007年9.7%)、依然として高率。専門医紹介率や抗ウイルス療法施行率は低率。
・輸血以外のHCV新規感染の実態を明らかにする目的で大規模入院患者4000人を目処に前向き調査
・既成資料に加え計45年間の都道府県別市町村別肝がんSMR分布図を2015年まで提示。最近5年のEBSMRでは肝癌死亡率減少し、地域差が薄まる傾向
・肝炎ウイルス由来肝疾患関連患者の重複疾患:健康保険組合員3462296人診療報酬記録77773235件2014-16年から肝疾患関連疾患病名を持つ全レセプトを抽出、HBV関連患者数9067人、HCV関連患者数4668人。重複疾患の頻度上位3位はICD10大分類:呼吸器系の疾患、内分泌・栄養および代謝疾患、筋骨格系および結合組織の疾患
・2016年から2年間、小児検体3774例を対象とした各種測定系の評価WG。当初試薬間陽性率に乖離がみられ測定系の見直し等実施。HBs抗原陽性率0.0-0.03%(3社一致率99.9~100%)、HBs抗体陽性率0.69-0.74%(同99.7~99.8%)、HBc抗体陽性率0.37-0.42%(同99.3%)。大規模測定により小児特有の抗体反応があることが初めて明らかとなる。原料試料ロットの不純物混入等による疑陽性を改善。成人一般集団1200検体も同様の評価
・医歯科学生491例のHBワクチン2回接種後HBs抗体陽性率47.9%、3回接種後95.9%、5カ月後89.0%。4ヵ月で抗体価対数平均2割減、実数換算3割減少。抗体未獲得症例17例(3.5%)は基本プロトコル(0,1,6M)再接種をした12例全例が陽転、累積HBs抗体獲得率は100%。抗体未獲得症例に対し基本プロトコルでの接種が有効

2)感染後の長期経過に関する研究
・IFN-free治療は、70才以上、肝硬変症例、女性へシフト
・C型肝炎DAA-IFN-free-SVR後肝発癌率はIFNと同等。肝生検NAFLDからの年率肝発癌率は0.947%
・肝生検で診断されたNAFLD患者の長期診療観察データから数理疫学マルコフモデルを用いNASH患者の肝病態推移の推定
・DAAs-SVR12の1746例中肝細胞癌発症例44例。発癌率は2.5%、IFN治療後SVR症例からの発癌率と同等
・OB-MRIによる最長経過観察3年では、非DAA群とDAA群で非濃染結節と多血化の出現頻度に差を認めず
・歯科領域約 1300 施設の実態調査:HBワクチン接種率は47.4%、歯科医師、衛生士、看護師等では約6-7割、歯科技工士、事務職員では2割以下と低率。知識の普及とHBワクチン接種の推奨が急務
・非侵襲的に肝線維化を評価するAPRIやFIB-4は、late presentation:LPの推奨に伴い有用。肝炎ウイルス健診HBs抗原陽性715例はLPの割合が低くAPRIでの肝硬変診断偽陽性が多い可能性

3)対策の効果と評価および効果測定指標に関する研究(代表研究者報告)
・全国1741市町村を対象とした調査(①HBV母子感染防止対策の実施・把握状況②妊婦検診HBs抗原HCV抗体検査結果提供)を行い、①回収1059市町村61%。②2年の全出生約200万の37.1%の妊婦745135例のHBs抗原陽性率0.23%。1986年以後出生集団の陽性率0.10%は開始前0.30%より有意に低く感染防止事業の有効性を証明。HBV防止措置対象児の感染成立率2%。2016年度出生集団HBs抗原陽性率0.005%
・ICERを用いたHCV-DAA治療費用対効果分析:3剤治療、Peg-IFN+RBV治療、非抗ウイルス治療との比較。SVR率、治療開始年齢、性別に依存するが治療後10-25年で高齢者でも効果有。SVR後のQOL改善が費用対効果を高めるため施策の充実も重要
・平成29年度肝炎検査受検率に関する全国調査を指標班と共同実施、H23年と比較。回収率34.0%。検査受検率HBV 71.0%、HCV61.6%(12.6p、13.6p増)。認識受検率HBV 20.1%、HCV18.6%(2.5p、1p増)。未受検率は10p以上減少し検査推進
結論
目的と計画に沿って進めている

公開日・更新日

公開日
2018-08-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-08-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201720001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,000,000円
(2)補助金確定額
40,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,689,271円
人件費・謝金 5,731,811円
旅費 3,412,615円
その他 9,166,363円
間接経費 8,000,000円
合計 40,000,060円

備考

備考
想定額以上の振込手数料と想定外の預金利子が発生したため

公開日・更新日

公開日
2019-01-29
更新日
-