HIV感染症を合併した血友病患者に対する全国的な医療提供体制に関する研究

文献情報

文献番号
201719008A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症を合併した血友病患者に対する全国的な医療提供体制に関する研究
課題番号
H29-エイズ-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 町田 宗仁(金沢大学医学系国際保健学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、HIV感染症を合併した血友病患者が受けている治療の標準的な姿を明らかにするとともに、血液凝固異常症全国調査事業など、通常の調査・支援の網からこぼれ落ちている可能性のある患者に、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)による悉皆調査の光を当て、適切な社会・医療介入へつなげることである。
研究方法
日本の保険診療の悉皆データであるNDBにおいて血友病患者等を特定するための「定義付け」の方法を検討した。また、薬害エイズ患者さんへ医療体制に関する課題抽出・論点整理を行うことで、NDBを用いてどのような集計を行うべきか、血友病等の医療提供体制の地域差や年齢階級分布、医療機関種別による分布の差、併存疾患の分布、適正処方や検査の実態等について検討した。薬害エイズ患者さんへの社会的・医療的な支援体制の整備は別の研究班の管轄であるが、本研究班の活動目的として、NDBという悉皆調査の網を利用することで、それら既存の研究班(「HIV感染症の医療体制の整備に関する研究班」代表・横幕能行)を側面から支援することも含まれるため、これらの研究班との情報共有を模索した。
結果と考察
HIV感染症及び血友病に関する学会や全国各地域で活動する臨床専門家から構成される医療体制検討班と、NDBの専門家から構成されるNDB分析班の2班が協働して議論を進めた。
NDBの利用申請は厚生労働省結核感染症課の協力を得て行い、厚生労働大臣により利用の許諾が得られたが、平成29年度末の時点でデータは未到着であり、分析には着手できていない。これは、厚生労働省によるデータ切り出し作業が行われているためであり、NDBの利用に当たっては通常の所要期間と考えられる。
NDBにおいて血友病患者等を特定するための「定義付け」の検討では、血友病を示す病名と、それらに使用される可能性のある薬剤のリストを準備し、その組合せ表(マトリックス)を用いて、「実際に処方される病名-血液製剤の組み合わせ」から、それに当てはまる患者を「NDBにおける血友病患者」として定義するのが良いとの結論に至った(両班の協働)。
血友病及びHIV/AIDSにおける医療提供体制についての論点整理では、一定の薬剤について新規薬剤への転換を促す状況にあることや、処方の組み合わせ、併存疾患(がんなど)の有病率などをNDBでくわしく見ることが望ましいとの結論に至った(医療体制検討班)。次年度は実際に、それらをNDBで分析する予定である。
なお、NDBでは患者住所地は非公表であり、受診先の病院住所地(受診地)が集計される。また、集計期間の途中で受診地や年齢が変わった場合、集計期間の最初に出現した受診地で集計するか、毎年1月受診地とするかなどいくつかの課題があることが明らかとなった。これら課題の解決方法は、実際にデータを見てからの最終決定となる。また、NDB分析を行うためには、上記の課題を解決するほか、研究仮説をNDB的な問いかけへ変換する作業が最大のポイントとなるが、臨床の専門家とNDBの専門家の協働により、血友病患者定義を行うためのA4で50ページほどのマニュアル初版が完成した(NDB分析班)。
これらのNDB分析を単なる分析に終わらせず、薬害エイズの被害者のHIV診療にも活かすため、厚労科研「HIV感染症の医療体制の整備に関する研究班」との連携を積極的に進め、具体的な方策について議論を行った(両班の協働)。
結論
研究班内及び他の研究班との議論を通じ、医療提供体制等の課題整理とNDBの具体的分析方法の決定という目標を達成し、NDBによる実証の準備が完了した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201719008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
15,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,604,193円
人件費・謝金 653,853円
旅費 789,544円
その他 7,952,410円
間接経費 0円
合計 15,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-02-21
更新日
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