サーベイランスの機能強化に資する病原体の適切な管理と検査体制に関する研究

文献情報

文献番号
201718015A
報告書区分
総括
研究課題名
サーベイランスの機能強化に資する病原体の適切な管理と検査体制に関する研究
課題番号
H29-新興行政-一般-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 品質保証・管理部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
  • 花木 賢一(国立感染症研究所 動物管理室)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 森田 公一(長崎大学 熱帯医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
BSL3,4病原体等の診断検査や研究では不活化した検体の取扱いはBSL2レベルにおいて行われることがあるが、海外でしばしば不活化不十分な処理後に検体等が実験室から持ち出されている事例が問題となった。そこで、科学的知見に基づいた不活化法の再評価と安全な不活化法の確立を行い、SOPを作成する。また、高病原性の病原体等を取扱う施設やその検査を行う施設をISO17025に準拠するための方策と査察体制の構築、CDC等の海外のバイオセーフティマニュアル等の改訂に伴い、国内の当該マニュアルの適切な改訂を行い、国内の当該マニュアルの標準化を目指す。また、病原体輸送に関するガイドラインの適切な改訂作業を行う。これらにより、バイオセーフティ、バイオセキュリティー上の安全確保をより確実なものとする。BSL3,4 施設などにおける安全性、検査体制、施設基準などを適切に担保するために、各種SOPを作成、改訂する。これらの成果をガイドラインとして取りまとめ、感染症サーベイランスや研究を担う、国立感染症研究所、地方衛生研究所、長崎大学等の機能強化を図ることを目的とする。
研究方法
病原体にお不活化に関しては、検査における不活化を中心に、その他の不活化法に関しても科学的に検証した。対照は野兎病菌、ブルセラ属菌、炭疽菌の芽胞、SFTFウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザである。また、施設管理のSOP、実験におけるSOP等の改定、新規作成に関しては、国内外の資料を収集して案を作成した。また、品質マネージメント体制に関しても検討した。
結果と考察
高病原性鳥インフルエンザウイルスのβ-プロピオラクト不活化確認のための細胞培養系での手法を確認した。野兎病菌の不活化の詳細な検討、炭疽菌の芽胞の検査やブルセラ属菌の検査に資する不活化法、血清中のSFTSウイルスの不活化法、狂犬病ウイルス感染脳組織からの抗原検出法に資する不活化法を科学的知見に基づき評価した。また、国立感染症研究所の高度封じ込め施設等の管理における既存のSOPをバイオセーフティ、バイオセキュリティー上の安全確保をより確実なものとするための改定案の検討、実験従事者のバイオセーフティに係るSOP案の検討、海外の高度安全実験施設の安全管理運営に関するSOP等の情報を収集した。国立感染症研究所が定めている病原体等安全管理規程、BSL3実験室安全操作指針及びBSL4実験室安全操作指針を基本とし、ABSL3、4施設の使用、管理に関して参考文献、資料を国内外から収集し模範的なSOP案を策定した。BSL3,4施設の検査・実験室診断能力に関する品質マネジメント体制に関して検討した。
結論
病原体の不活化に関しては各種病原体ごとにまとめた。血清中のウイルスの不活化はいわゆる非働化では不十分で、またアセトン固定でも不充分であることから、別の不活化法との併用が必要である。次年度以降は対象病原体を追加して不活化法を取りまとめる。
病原体取扱施設の管理、動物実験におけるSOP、実験における実験者のSOP、病原体管理のSOP、その他緊急事のSOP、検査に関するSOP等を改定、新規作成などにより地方衛生研究所を含め適用可能な共通のSOPの作成を目指す。また、実験室における検査・診断能力に関する品質マネージメント体制に関して検討した。次年度以降の成果を含めて、これらにより成果をガイドラインとして取りまとめ、感染症サーベイランスや研究を担う、国立感染症研究所、地方衛生研究所、長崎大学等の機能強化を図る。

公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201718015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
3,813,000円
差引額 [(1)-(2)]
187,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,757,903円
人件費・謝金 0円
旅費 7,330円
その他 48,224円
間接経費 0円
合計 3,813,457円

備考

備考
補助金交付額の算定方法が千円未満の端数切捨であることにより生じる自己負担457円。

公開日・更新日

公開日
2019-08-01
更新日
-