梅毒感染リスクと報告数の増加の原因分析と効果的な介入手法に関する研究

文献情報

文献番号
201718010A
報告書区分
総括
研究課題名
梅毒感染リスクと報告数の増加の原因分析と効果的な介入手法に関する研究
課題番号
H28-新興行政-一般-008
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201718010B
報告書区分
総合
研究課題名
梅毒感染リスクと報告数の増加の原因分析と効果的な介入手法に関する研究
課題番号
H28-新興行政-一般-008
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 周一(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 川名 敬(日本大学医学部 産婦人科学)
  • 有馬 雄三(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国において、梅毒は2010年以降増加しており、感染リスクと報告数の増加の原因分析を踏まえ対策を講じることが急務となっている。特に、異性間性的接触による感染伝播が推測されている。女性の増加は20代が大半を占め、先天梅毒の増加も懸念される。
 医療機関からの詳細情報を収集精査し、リスク要因、増加原因を分析し、また治療実態を把握することで、梅毒感染のリスク要因・増加要因を推測することが重要である。
研究方法
現状の発生動向調査から得られる情報の精査、症例対照研究の実施、産婦人科医療機関への全国調査の利用、梅毒トレポネーマ核酸検出法の利用拡大の方策、妊婦スクリーニングを用いた一般成人女性における梅毒感染の増加の実態の把握を試みた。
結果と考察
東京都における梅毒の現状把握においては、男女共に、異性間性的接触による感染の届出が増えていることを認めた。早期顕症梅毒がその大半を占め、2014年以降、地域的な分散傾向が見られた。診療所からの報告数が病院からの報告数を大きく上回り、早期顕症梅毒(I期)が前者に多かった。
自己記入式質問紙調査と梅毒検査結果を合わせた前向き症例対照研究を実施した。2017年6月~2018年2月にかけ、男性157例(症例60例、対照97例)、女性454例(症例57例、対照397例)から有効回答と得た。暫定的な解析結果から、男性においては、性産業の利用者、若年層を中心とした性的活動性の高い集団へのアプローチが重要であり、女性では、性産業従事者を中心とした高リスク(学生を含む)集団から、性行為相手の人数が少ない集団の一部までを考慮した対策の検討が望まれる。
 唾液検体からの梅毒トレポネーマDNA検出系を開発した。分子型別とマクロライド耐性に関連する遺伝子変異の検出を時系列的に行い、耐性型株が増加していることを示した。特に、異性間性的接触による感染伝播は分子型別14d/fで、マクロライド耐性型が主であることが示された。ゲノム解析手法を確立し、国内症例由来16検体からゲノム情報し、海外検体由来ゲノム情報と比較解析した。諸外国の感染事例と直接的な関連を示唆するデータは得られなかった。
 日本産科婦人科学会のもとで、妊婦健診での梅毒感染妊婦の診断、治療について全国調査を実施した。2011~2015年の5年間で梅毒合併妊婦が約2倍に増加している(非妊娠女性でも約2倍に増加)。その60%が10-20歳代であった。予後が確認された梅毒合併妊婦152例中21例(14%)で先天梅毒(母子感染が成立)が発生していた。梅毒合併妊婦の25%が未受診妊婦もしくは不定期妊婦であった。一方、梅毒スクリーニングで発見された妊婦の多くは抗菌剤投与によって母子感染症は予防できていることもわかった。
結論
発生動向調査のより詳細な解析は、現在3ヶ月毎に公開している。国内の梅毒に関する症例対照研究が初めて実施され、東京都の医療機関の協力を得て異性間性的接触による梅毒事例の詳細なデータがえられた。先天梅毒のリスクを低下させるためには、社会全体からの梅毒流行の終息が急務であることが梅毒合併妊婦の調査からも示された。病変中に存在する梅毒トレポネーマのゲノム解析を含む分子タイピングは、他の病原細菌と比較して困難であるが、病原微生物側から症例間の関連性を把握する可能性を秘める唯一の方法である。精緻な分子疫学解析法確立を目的として、ゲノム解析手法を確立した。ゲノム解析を継時的に実施することでより確実な情報を得ることができると考える。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201718010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
自己記入式質問紙調査と梅毒検査結果を合わせた前向き症例対照研究により、対策が必要な集団の絞り込みを行った。唾液検体からの梅毒トレポネーマDNA検出系を開発した。分子型別とマクロライド耐性変異の検出を実施した結果、耐性株が増加していることを示した。国内症例由来16検体からゲノム情報し、海外検体由来ゲノム情報と比較解析を実施した。諸外国の感染事例と直接的な関連を示唆するデータは得られなかった。
臨床的観点からの成果
妊婦健診における梅毒スクリーニングのデータ収集・分析に関して、2011~2015年の5年間で梅毒合併妊婦は166名であったが、2015年で倍増した。梅毒合併妊婦の60%が10-20歳代であった。また25%は妊婦健診が未受診もしくは不定期受診妊婦であった。20例(14%)で先天梅毒が発生していたが、その75%は未受診もしくは不定期受診妊婦であり、スクリーニング検査が機能しなかった。一方、梅毒スクリーニングで発見された妊婦の多くは抗菌剤投与によって母子感染症は予防できていることもわかった。
ガイドライン等の開発
本研究の知見は日本性感染症学会から出された「一般医科向け 梅毒診療ガイド」の作成に利用された。
その他行政的観点からの成果
発生動向調査の届出表の修正案を提案した。東京都(保健所)等と密接に情報共有を行い、参考情報を提示した。
その他のインパクト
ゲノム比較解析を実施し、国内外でSS14と呼ばれる系統が広く拡散していること、諸外国の感染事例と直接的な関連を示唆するデータは得られなかったことなどを、マスメディア記者等に説明しした。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takahashi T, Arima Y, Yamagishi T. et al.
Rapid increase in reports of syphilis associated with men who have sex with women and women who have sex with men, Japan, 2012-2016
Sex Transm Dis , 45 (3) , 139-143  (2018)

公開日・更新日

公開日
2018-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201718010Z