文献情報
文献番号
201718008A
報告書区分
総括
研究課題名
国内の病原体サーベイランスに資する機能的なラボネットワークの強化に関する研究
課題番号
H28-新興行政-一般-006
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 義継(国立感染症研究所 真菌部)
研究分担者(所属機関)
- 調 恒明(山口県環境保健センター)
- 前川純子(国立感染症研究所 細菌第一部)
- 池辺忠義(国立感染症研究所 細菌第一部)
- 永宗喜三郎(国立感染症研究所 寄生動物部)
- 田島 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 吉田 弘(国立感染症研究所 ウイルス 第二部)
- 森 嘉生(国立感染症研究所 ウイルス 第三部)
- 蒲地 一成(国立感染症研究所 細菌第二部)
- 御手洗 聡(公益財団法人結核予防会 結核研究所 抗酸菌部)
- 森川 茂(国立感染症研究所 獣医科学部)
- 松岡 佐織(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
- 藤本 嗣人(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
- 鈴木 里和(国立感染症研究所薬剤耐性研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬剤耐性菌、新型インフルエンザ等の感染症アウトブレイク、ジカ熱・デング熱等の新興感染症など国民生活に脅威となる感染症は継続的に発生している。また、平成28年度から自治体は病原体検査実施の法的な義務を負っている。感染症の危機管理には、病原体を特定しサーベイランスにより感染拡大状況の把握がする整備されたシステムが必須である。しかし、中央と地方を統括し危機的感染症に対処する機関は存在しないため、危機発生時に直ちに対応できる病原体検査体制を全国規模で運用・維持することを目的としてその基盤を構築する。
本研究班では、国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所が相互に補完協力して、国内の感染症に対応することを目的として、ウイルス・細菌・真菌・寄生虫などあらゆる病原体に対して行政対応が必要な感染症に備える研究を実施する。
研究成果は、行政機関における病原診断能力の向上と維持につながり、わが国における精度の高い感染症発生動向として報告され、施策に直接反映される。パンデミック時に流行状況を把握する必要が生じた場合、本研究成果の活用により、全国で統一された病原体検査が迅速かつ円滑に行われる。さらに、検査法の統一化により病原体情報共有が容易かつ正確となることで疫学の精度を高め、効果的なパンデミック対策に資する。
本研究班では、国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所が相互に補完協力して、国内の感染症に対応することを目的として、ウイルス・細菌・真菌・寄生虫などあらゆる病原体に対して行政対応が必要な感染症に備える研究を実施する。
研究成果は、行政機関における病原診断能力の向上と維持につながり、わが国における精度の高い感染症発生動向として報告され、施策に直接反映される。パンデミック時に流行状況を把握する必要が生じた場合、本研究成果の活用により、全国で統一された病原体検査が迅速かつ円滑に行われる。さらに、検査法の統一化により病原体情報共有が容易かつ正確となることで疫学の精度を高め、効果的なパンデミック対策に資する。
研究方法
地方衛生研究所と国立感染症研究所が共同で実施すべきレファレンス活動を、双方の病原体担当職員が、地方衛生研究所全国協議会の感染症対策部会と連携しながら研究を実施した。検査体制について病原体担当者レベルで協議し、各病原体レファレンスセンター活動、ならびに、病原体の診断法・疫学解析法の確立を中心に行った。
各病原体レファレンスセンター活動としては、1)大腸菌、2)レジオネラ、3)レンサ球菌、4)寄生虫、5)アルボウイルス、6)リケッチア、7)エンテロウイルス、8)麻疹・風疹、9)百日咳、10)結核、11)動物由来感染症、12)HIV関連感染症、13)アデノウイルス、14)薬剤耐性菌、について実施した。それぞれの病原体や疾病について、全国で分離された株の型別、薬剤耐性株の出現状況調査、講習会・技術研修会の実施、検査法の検討、また、レファレンス活動に必要となる病原体などの診断法・疫学解析法の確立および評価を行った。
各病原体レファレンスセンター活動としては、1)大腸菌、2)レジオネラ、3)レンサ球菌、4)寄生虫、5)アルボウイルス、6)リケッチア、7)エンテロウイルス、8)麻疹・風疹、9)百日咳、10)結核、11)動物由来感染症、12)HIV関連感染症、13)アデノウイルス、14)薬剤耐性菌、について実施した。それぞれの病原体や疾病について、全国で分離された株の型別、薬剤耐性株の出現状況調査、講習会・技術研修会の実施、検査法の検討、また、レファレンス活動に必要となる病原体などの診断法・疫学解析法の確立および評価を行った。
結果と考察
各レファレンスセンターでは遺伝子検出系・血清診断法の開発・改良・地衛研への配布等を行い、各レファレンスセンターを中心とした病原体検査体制の強化と危機対応、疫学調査に貢献した。大腸菌・レジオネラ・レンサ球菌は血清や遺伝子の型別分類、寄生虫は技術研修と免疫学的・遺伝子検査、リケッチアは遺伝子検査法の評価、エンテロウイルスは外部精度評価と問題分析法の検討、麻疹・風疹は検査実施状況の調査、結核は遺伝型別試験の精度評価、動物由来感染症はブルセラ症検査の外部精度評価、HIV関連感染症は診断体制の状況把握、アデノウイルスは分離株の検出・解析、薬剤耐性菌は結果報告体制の整備を実施した。アルボウイルスは黄熱ウイルス・ダニ媒介性脳炎検査法の構築、百日咳はパラ百日咳菌の遺伝子型別法の開発を行った。病原体検出マニュアルは、風疹、クリプトスポリジウム症・ジアルジア症、手足口病、ヘルパンギーナ、無菌性髄膜炎を改訂した。
また、体制整備として、病原体検出マニュアルの改訂日の掲載、標準作業書が必要な病原体検出マニュアルが掲載されていない感染症の指摘、カンピロバクターレファレンスセンターの継続決定等を行った。研修会・講習会を行うことによって、検査技術の維持・向上に貢献し、疫学調査を行い、全国発生動向・集団発生事例の監視を可能にした。
また、体制整備として、病原体検出マニュアルの改訂日の掲載、標準作業書が必要な病原体検出マニュアルが掲載されていない感染症の指摘、カンピロバクターレファレンスセンターの継続決定等を行った。研修会・講習会を行うことによって、検査技術の維持・向上に貢献し、疫学調査を行い、全国発生動向・集団発生事例の監視を可能にした。
結論
国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所の共同検査体制を構築維持のために、病原体検出マニュアルの改訂・整備を継続し、全国の地方衛生研究所での感染症検査体制を維持するための各病原体の遺伝子検査、血清診断の開発・改良、疫学調査、標準品の作成供給、検査技術の継承のため講習等を実施した。
本研究はレファレンスセンター活動を軸として、全国の公的な病原体検査機関が機能的に連携するうえで極めて重要な役割を果たした。さらに、本ネットワークを維持強化するためには、全国地方衛生研究所の各施設における専門性を考慮した人員配置と組織構築と、継続的な事業化によるリソースの確保の二点が重要課題と考えられる。
本ネットワークの活用により、国レベルの危機的感染症に際し迅速検査対応や情報収集が可能となり、患者のみならず国民の福祉に資する。
本研究はレファレンスセンター活動を軸として、全国の公的な病原体検査機関が機能的に連携するうえで極めて重要な役割を果たした。さらに、本ネットワークを維持強化するためには、全国地方衛生研究所の各施設における専門性を考慮した人員配置と組織構築と、継続的な事業化によるリソースの確保の二点が重要課題と考えられる。
本ネットワークの活用により、国レベルの危機的感染症に際し迅速検査対応や情報収集が可能となり、患者のみならず国民の福祉に資する。
公開日・更新日
公開日
2018-06-05
更新日
-