文献情報
文献番号
201718004A
報告書区分
総括
研究課題名
新興・再興感染症のリスク評価と危機管理機能の確保に関する研究
課題番号
H28-新興行政-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 智也(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
- 森永裕美子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 種田憲一郎(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
- 調 恒明(山口県環境保健センター)
- 中里 栄介(佐賀県唐津保健所)
- 松井 珠乃(国立感染症研究所 感染症疫学センター )
- 大曲 貴夫(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター)
- 中瀬 克己(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 田村 大輔(自治医科大学 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年は新興・再興感染症の発生が顕著である。本研究は、我が国に新興・再興感染症が侵入した際を想定し、国や地方自治体等における対応体制リスク評価 (脆弱性評価)を行い、危機管理で確保すべき機能を明らかにすることを目的とする。
新興・再興感染症対策の検討や予算化は、発生時に短期間にアドホックに行われる事が多く、中長期的な計画・実行・評価・改善(PDCA)サイクルが形成されていなかった。米国等の対策の評価指標等を参考にしつつ、我が国独自の体制の指標化を行い、共通目標の明確化が行われるべきである。本研究班では、第一に新興・再興感染症対策及び危機管理について関係機関の脆弱性を評価する項目と指標を明らかにすること、第二に自治体でセルフアセスメントを試行し、評価項目・指標の有用性を検討すること、そして第三にセルフアセスメントツールによる評価結果を解析し、脆弱性の改善に関する政策提案を実施することを目的とする。
新興・再興感染症対策の検討や予算化は、発生時に短期間にアドホックに行われる事が多く、中長期的な計画・実行・評価・改善(PDCA)サイクルが形成されていなかった。米国等の対策の評価指標等を参考にしつつ、我が国独自の体制の指標化を行い、共通目標の明確化が行われるべきである。本研究班では、第一に新興・再興感染症対策及び危機管理について関係機関の脆弱性を評価する項目と指標を明らかにすること、第二に自治体でセルフアセスメントを試行し、評価項目・指標の有用性を検討すること、そして第三にセルフアセスメントツールによる評価結果を解析し、脆弱性の改善に関する政策提案を実施することを目的とする。
研究方法
新興・再興感染症対策のリスク評価(脆弱性評価)に関する指標の開発について、昨年に引き続き検討を進めた。①国の疫学調査機能評価に関する検討、②国による自治体の疫学調査支援についての自治体側からの有用性評価手法に関する検討、③脆弱性評価ワークショップ運営手法に関する検討、④特定および一種感染症指定医療機関の新興再興感染症に対する準備体制の脆弱性評価に関する検討、⑤海外体制調査:米国の新型インフルエンザを事例として、国家の新興再興感染症医薬品準備戦略の検討およびリスク(脆弱性)評価指標に関する国外のチェックリストについて情報収集、を実施した。そして、これらの知見をベースに、研究代表者と研究分担者らがともに⑥脆弱性評価指標の検討、として脆弱性評価のプロトタイプの検討を行った。
結果と考察
①自治体がFETP派遣に際しての懸念材料をを明らかにした。FETP生のキャリアパスの環境整備がキャパシティー構築に必須である。②麻しんアウトブレイクの疫学調査支援事例についてヒアリングを実施し、結果をもとに質問票に軽微な修正を施し質問票のバージョン3を作成。さらに麻しん以外での汎用性を最終年度に検討する。③脆弱性評価ワークショップを北九州地域で試行。県内・隣接県の相互理解促進の有用性が示されたが、運営手法についてさらに検討を進める。④一類感染症患者の受け入れシステムについて海外状況を調査。これを踏まえた感染症指定医療機関の役割の再編案を示した。施設の役割毎に要件を規定した上で、施設間の搬送ネットワーク構築についてさらに検討をすすめる。⑤海外体制調査:米国の新型インフルエンザを事例として、国家の新興再興感染症医薬品準備戦略の検討およびリスク(脆弱性)評価指標に関する国外のチェックリストについて情報収集を実施。評価のチェックリストに関するセクションやモジュールの構成について示唆を得た。⑥脆弱性評価指標の検討:5自治体の担当者からプロトタイプへの意見を得た。各項目について、「体制を整備すべき理由」と「最低限必要なこと」「望ましいこと」を整理し、チェックリスト化する形での再構成とともに、研究班等で作成されているツールや、ベストプラクティス的な事例を集約し還元するようなツールの作り込みを最終年度に検討する。
結論
脆弱性評価指標の開発について、昨年に引き続き検討を進めた。脆弱性評価指標のプロトタイプを試行し、また成果還元のためのワークショップの試行を行なった。ほか、国と地方自治体、関係自治体の連携強化体制として、国による疫学調査支援の評価手法の検討、強化、一類感染症を念頭においた国内の特定・一種感染症指定医療機関の準備態勢について検討を実施した。最終年度には、地方自治体レベルでの脆弱性評価項目の試行とセルフアセスメントツールの確立、脆弱性評価ワークショップの運用に関する仕様の確立、国の疫学調査位支援メカニズムの外部検証手法の確立へと成果を集約するべくさらに検討を進める。
公開日・更新日
公開日
2018-06-05
更新日
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