特別児童扶養手当等(精神の障害)の課題分析と充実を図るための調査研究

文献情報

文献番号
201717043A
報告書区分
総括
研究課題名
特別児童扶養手当等(精神の障害)の課題分析と充実を図るための調査研究
課題番号
H29-精神-指定-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
齊藤 万比古(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会愛育研究所 児童福祉・精神保健研究部/愛育相談所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,297,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
20歳未満で精神又は身体に障害のある児童を家庭で監護、養育している父母等に支給される特別児童扶養手当及び精神又は身体に重度の障害を有するため、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の者に支給される障害児福祉手当については、特別児童扶養手当認定診断書(知的障害・精神の障害用)及び障害児福祉手当認定診断書(精神あhの障害用)により、各自治体の認定医等が障害程度の認定を行っている。本研究は、診断書作成医並びに各自治体の認定医等が症候や問題とそれらの重症度を判断しやすく、記入しやすい認定診断書改訂案と、認定診断書の作成医のための記入上の留意事項を示した作成要領案の作成、および自治体認定医が認定に際して着目すべき点を示した留意事項の提案を目指す。
研究方法
本研究は、2年間を予定している研究であり、1年目にあたる平成29年度は7名の研究協力者と共に、特別児童扶養手当認定診断書(知的障害・精神の障害用)及び障害児福祉手当認定診断書(精神の障害用)における発達障害に関連した項目を中心に、認定診断書全体の書式とその内容の問題点や修正すべき点について班会議とそこで議論され決定した内容をめぐるメールを通じた検討を反復し、特別児童扶養手当認定診断書暫定改訂案(知的障害・精神の障害用)と診断書作成医がどこに注目し、そのように記載すべきかを示した診断書作成要領の作成にまず取り組み、特別児童扶養手当認定診断書暫定改訂に適合させる形で障害児福祉手当認定診断書改定案(精神の障害用)の作成に取り組んだ。
(倫理面への配慮)
1年目の調査は、日本児童青年精神医学会医師会員に2年目の架空症例を用いた認定診断書暫定改訂案による診断書作成調査への協力の意志の有無と特別児童扶養手当認定診断書作成経験の有無を問うもので、日本児童青年精神医学会の規定により学会事務局(土倉事務所)に委託して実施した(資料-5)。なお、本調査に関しては愛育研究所の倫理委員会において審査を受け実施を承認されている。
結果と考察
特別児童扶養手当認定診断書(知的障害・精神の障害用)の検討すべき問題点についての議論を通じて次のような修正を加えることで改善されると考えた。代表的な改善点は以下のようなものである。① 現行診断書の「現症」の「知的障害等」は知的障害と学習障害、そして高次脳機能障害をまとめた項目であるが、一つにまとめる必然性がなく、「知的障害」「発達障害」「高次脳機能障害」と大きく3つの症候分野に分けるべきである。② この「発達障害」には現行の広汎性発達障害の3主症状だけでなく、注意欠陥・多動性障害の主症状、学習障害の症状、チック症状などを挙げるべきである。③ 「現症」の「精神症状」の欄を整理し、発達障害で注目される「睡眠障害」や、発達障害の状態像を大きく深刻化させることの多い被虐待体験などの逆境的養育から派生することの多い「解離・トラウマ症状」などを追加すべきである。④ 現症「問題行動」の欄を整理し、現在の知的障害、発達障害等を持つ未成年者に出現したら著しく養育・扶養を困難にする重大な問題行動として「家出・放浪」「乱用・依存」「ひきこもり」などを追加することが望ましい。⑤ 「日常生活能力の程度」と「医学的総合判定」の書式と内容を大幅に修正し、重症度の判定を「日常生活能力の程度」の分類にだけ依拠することのないような形式を目指した。
結論
結果と考察にしたがって「特別児童扶養手当認定診断書暫定改訂案(知的障害・精神の障害用)」「診断書暫定改訂案用の作成要領」「障害児福祉手当(福祉手当)認定診断書(精神の障害用)改訂案」の3点を作成した。研究の最終年度となる平成30年度にはこれらを用いたサンプル調査を実施し、その結果を受けてさらに修正を加え、これらの改訂案を完成させる予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
2018-11-21

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-08-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201717043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,286,000円
(2)補助金確定額
4,286,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,072,138円
人件費・謝金 604,210円
旅費 492,260円
その他 1,128,392円
間接経費 989,000円
合計 4,286,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
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