文献情報
文献番号
201717032A
報告書区分
総括
研究課題名
重度かつ慢性の精神障害者に対する包括的支援に関する政策研究-薬物療法研究班
課題番号
H29-精神-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
宮田 量治(（独立地方行政法人山梨県立病院機構）山梨県立北病院 精神科)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 康男(（独立地方行政法人山梨県立病院機構）山梨県立北病院 精神科)
- 武田 俊彦(公益財団法人慈圭会 慈圭病院)
- 内田 裕之(慶應義塾大学医学部精神・神経科)
- 三澤 史斉(（独立地方行政法人山梨県立病院機構）山梨県立北病院 精神科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
本研究の目的は「統括・調整研究班（研究代表者：安西信雄）」と連携して、重度かつ慢性の精神障害者に対する包括的支援ガイドラインに組み込まれるべき薬物療法/方策を好事例病院の実態調査により明らかにし、平成30年度までに指針を提示することである。精神科入院患者は、入院期間が半年を超えるとそのまま長期化することが多く、薬物療法指針提示においては、救急急性期治療病棟等での質の高い入院医療からはずれてくる入院3ヶ月以上1年未満の入院例への薬物療法/方策についても念頭に置くものとし、新たな長期在院(NLS)患者の削減もめざした薬物療法/方策の開発を行う。
研究方法
平成29年度研究では、好事例地域に属する病院および、平成26～27年度「重度かつ慢性」前向き調査に協力した約260病院を対象に１次アンケート調査を実施し、この結果から抽出された好事例病院に対して、平成30年度に２次調査を行う。２次調査結果にもとづき、好事例ならしめている薬物療法／方策の要因を明らかにする。
そのために平成29年度は「精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究」(主任研究者:安西信雄)の分担研究として実施された標準的薬物療法指針研究（分担研究者：藤井康男）などに基づく調査票バッテリー、及び病歴記載や病院システムについての調査票（Fidelity調査票）を作成し、山梨県立北病院、及び、慈圭病院で予備調査を実施し、調査バッテリー最終版を作成する。また、予備調査で得られたデータを集計分析し、対象施設の薬物療法の実態把握の予備的検討を実施する。
そのために平成29年度は「精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究」(主任研究者:安西信雄)の分担研究として実施された標準的薬物療法指針研究（分担研究者：藤井康男）などに基づく調査票バッテリー、及び病歴記載や病院システムについての調査票（Fidelity調査票）を作成し、山梨県立北病院、及び、慈圭病院で予備調査を実施し、調査バッテリー最終版を作成する。また、予備調査で得られたデータを集計分析し、対象施設の薬物療法の実態把握の予備的検討を実施する。
結果と考察
薬物療法班の２次調査の調査票バッテリーは、①処方調査１（施設調査含む）②処方調査２③医師アンケート④薬物療法の記録と院内システムに関する調査（Fidelity調査）の4つのパートから構成されるものとして作成した。このうち、④は本研究のために新たに作成されたものである。予備調査用調査票バッテリーを用いて実施された山梨県立北病院および慈圭病院の予備調査により、調査票の回収率があがる工夫や調査実施上の配慮、調査方法の修正を加え、最終版を作成した。また、予備調査により得られたデータの予備的検討を行った。調査票とリンクする内容の薬物療法ガイドラインの骨子（案）を作成した。これとは別に、抗精神病薬治療の入院期間に関する影響について1724報を対象とする体系的文献検討を行い、持効性注射剤、及び、クロザピンの使用は入院期間の短さと関連し、抗精神病薬多剤併用は長い入院期間と関連することが確認された。
結論
今年度の検討により好事例病院への実態調査を行う準備が終了した。好事例施設の妥当性を担保するため、関連5班の合意による好事例選択基準を検討したことや、１次調査の対象施設所属団体への調査依頼に時間を要したことにより本研究の進行は予定より遅延しているが、薬物療法班の２次調査については①調査票バッテリー作成、②倫理審査承認が完了し、今後は、１次調査の結果から選抜される好事例から20施設、及び、好事例に該当しない施設から20施設に対して２次調査を実施し、結果を踏まえて、ガイドラインとしてまとめていゆく予定である。
公開日・更新日
公開日
2018-11-21
更新日
-