文献情報
文献番号
199800628A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の臨床試験の基盤整備に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
中野 重行(大分医科大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1998年4月1日より日米欧の間で合意された国際協調に基づいて新GCPが完全実施されることになった。それ以来、新GCP下の治験は進行が非常に遅くなっている。国際的な基準に合致する治験を実施するための基盤整備が急がれている。また、医薬品の真の実力を評価するための大規模の市販後ランダム化(無作為化)比較試験が、わが国にはまだ育っていない。Evidence-based medicine を重視する治療医学の時代に入りつつあるにもかかわらず、臨床試験に裏付けられた信頼すべきデ-タは欧米に頼っているのが現状である。そこで本研究班は、治験を円滑に推進するための基盤整備のための対策を検討した。治験を円滑に推進するための基盤整備は、治験を含む臨床試験をわが国に発展させていく際の基盤整備にもなる。
研究方法
わが国における治験を含む臨床試験の基盤整備のあり方を、次の3つの作業班を作り検討した。1) 医療機関内基盤整備作業班(作業班長:小林真一 聖マリアンナ医大薬理学教授)、2) 治験依頼者-医療機関間基盤整備作業班(作業班長:大橋京一 浜松医科大学臨床薬理学教授)、3) 患者・一般市民-医療機関間基盤整備作業班(中野重行 大分医科大学臨床薬理学教授)、である。
それぞれの作業班に分れて、研究協力者の協力の基に、各3-5回の会議を持った。また、全員で討議する全体会議を4回開催し、意見の交換を行ない、最終報告書をまとめた。
それぞれの作業班に分れて、研究協力者の協力の基に、各3-5回の会議を持った。また、全員で討議する全体会議を4回開催し、意見の交換を行ない、最終報告書をまとめた。
結果と考察
わが国における治験を含む臨床試験の基盤整備のあり方を検討した。研究班は次の3つの作業班で構成した。1) 医療機関内基盤整備作業班、2) 治験依頼者-医療機関間基盤整備作業班、3) 患者・一般市民-医療機関間基盤整備作業班、である。
各作業班で検討した事項は、下記の通りである。
1. 医療機関内基盤整備作業班の検討事項
(1) IRB、治験事務局に関する約450の治験実施医療機関へのアンケ-ト調査
(2) 治験コ-ディネ-タ-のあり方
(3) 治験事務局の機能整備と強化
(4) SMO(Site management organization)のあり方
2.治験依頼者-医療機関間基盤整備作業班の検討事項
(1) モニタリング・監査を円滑に実施するための方策
(2) 原資料の直接閲覧に伴う体制整備
(3) 治験管理システムの電子化とデ-タマネジメント
3.患者・一般市民-医療機関間基盤整備作業班の検討事項
(1) 患者・一般市民の治験参加を促進するための解決策
(2) 患者の理解を高めて自発的な治験参加を促進するような説明のあり方
(3) 特殊な状況下におけるインフォ-ムド・コンセントのあり方
(4) 市民の啓発活動とマスコミの活用について
(5) 被験者への健康被害補償について
(6) 治験に参加する被験者の受けることのできる恩恵の工夫
これらの検討事項とそのための対策を、新GCP下における治験、さらには臨床試験をわが国で健全に発展させるために利用することが望まれる。また、今回は検討されなかったがその他にも多くの事項が残されている。今後必要なことは、わが国における臨床試験の基盤整備のために、関連分野の多くの人々の継続した努力と協力が必要である。
各作業班で検討した事項は、下記の通りである。
1. 医療機関内基盤整備作業班の検討事項
(1) IRB、治験事務局に関する約450の治験実施医療機関へのアンケ-ト調査
(2) 治験コ-ディネ-タ-のあり方
(3) 治験事務局の機能整備と強化
(4) SMO(Site management organization)のあり方
2.治験依頼者-医療機関間基盤整備作業班の検討事項
(1) モニタリング・監査を円滑に実施するための方策
(2) 原資料の直接閲覧に伴う体制整備
(3) 治験管理システムの電子化とデ-タマネジメント
3.患者・一般市民-医療機関間基盤整備作業班の検討事項
(1) 患者・一般市民の治験参加を促進するための解決策
(2) 患者の理解を高めて自発的な治験参加を促進するような説明のあり方
(3) 特殊な状況下におけるインフォ-ムド・コンセントのあり方
(4) 市民の啓発活動とマスコミの活用について
(5) 被験者への健康被害補償について
(6) 治験に参加する被験者の受けることのできる恩恵の工夫
これらの検討事項とそのための対策を、新GCP下における治験、さらには臨床試験をわが国で健全に発展させるために利用することが望まれる。また、今回は検討されなかったがその他にも多くの事項が残されている。今後必要なことは、わが国における臨床試験の基盤整備のために、関連分野の多くの人々の継続した努力と協力が必要である。
結論
治験を含む臨床試験は、1) 薬を作り試験を依頼する製薬企業、2)臨床試験を実施する医療機関だけの努力では成立しない。3) 被験者となって参加する患者・一般市民側の理解と協力があって、はじめて完成する。つまり、この3者のよき共通理解に基づく協力が必須条件である。そのためには、先ず医療機関内の意識改革を含む基盤整備が急がれる。
しかし、前記の3者の意識の中で臨床試験や治験の占める割合は、大きく異なっている(前者に大きく、後者になるほど小さい。患者サイドにはほとんど無いか場合によってはネガティブである)。この割合は、治験を含む臨床試験に参加することにより受けることのできる恩恵の大きさの違いでもある。したがって臨床試験をわが国で健全に発展させるためには、この三者間の恩恵の差を減少させる方向へ継続した努力が必要である。臨床試験の基盤整備のためには、関連する多くの人々がそれぞれの受け持ち分野の質の向上をはかりつつ、よき協力関係を作っていくことが必須である。
しかし、前記の3者の意識の中で臨床試験や治験の占める割合は、大きく異なっている(前者に大きく、後者になるほど小さい。患者サイドにはほとんど無いか場合によってはネガティブである)。この割合は、治験を含む臨床試験に参加することにより受けることのできる恩恵の大きさの違いでもある。したがって臨床試験をわが国で健全に発展させるためには、この三者間の恩恵の差を減少させる方向へ継続した努力が必要である。臨床試験の基盤整備のためには、関連する多くの人々がそれぞれの受け持ち分野の質の向上をはかりつつ、よき協力関係を作っていくことが必須である。
公開日・更新日
公開日
-
更新日
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