文献情報
文献番号
201717018A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者支援施設等におけるロボット技術を活用した支援機器の効果実証及び開発課題の明確化に関する研究
課題番号
H29-身体・知的-一般-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
東 祐二(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 障害工学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 小野 栄一(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 )
- 飯島 節(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,422,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ロボット技術を活用した生活支援介護等の負担軽減効果等に関する実態把握は、高齢者介護領域で一部取組みが始まったところであるが、障害福祉領域においては、介護現場のニーズ等も含め明確な実態は明らかにされていない。
そこで、平成29年度研究として、障害者支援施設における介護等の支援の実態についてタイムスタディを行い、24時間内の自立・介護支援行為をリスト化した上で、ロボット技術等の応用により解決が可能と考えられる課題を抽出する。抽出は、1.自立・介護支援ニーズ、2.ロボット技術を用いることによる技術的優位性、により分類した上で、3.社会実装までに必要な期間等の観点から1)既存の技術や機器等を組み合わせることにより解決可能な課題、2)短期(3年)、3)中期(5年)的に開発に取組むべき課題に分類し、障害者支援施設等における介護等の支援ニーズに基づく今後の開発課題として整理する。
さらに、平成30年度研究として、前年度分類した課題のうち、既存の技術や機器等を組み合わせることにより解決可能な課題に対応する、ロボット・センサー機器等を障害者支援施設に導入し有効性について実証評価を行う。
そこで、平成29年度研究として、障害者支援施設における介護等の支援の実態についてタイムスタディを行い、24時間内の自立・介護支援行為をリスト化した上で、ロボット技術等の応用により解決が可能と考えられる課題を抽出する。抽出は、1.自立・介護支援ニーズ、2.ロボット技術を用いることによる技術的優位性、により分類した上で、3.社会実装までに必要な期間等の観点から1)既存の技術や機器等を組み合わせることにより解決可能な課題、2)短期(3年)、3)中期(5年)的に開発に取組むべき課題に分類し、障害者支援施設等における介護等の支援ニーズに基づく今後の開発課題として整理する。
さらに、平成30年度研究として、前年度分類した課題のうち、既存の技術や機器等を組み合わせることにより解決可能な課題に対応する、ロボット・センサー機器等を障害者支援施設に導入し有効性について実証評価を行う。
研究方法
対象は、国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局に所属する障害者支援施設「以下、支援施設」利用者18名及び支援に関わる介護(訓練)支援スタッフとした。障害別の内訳は、高次脳機能障害者が7名(男性7名、女性0名、年齢44±14歳)支援スタッフは7名(男性3名、女性4名)であった。視覚障害者は5名(男性4名、女性1名、年齢53±8.2歳)支援スタッフは11名(男性5名、女性6名)であった。肢体不自由者(頚髄損傷)は6名(男性6名、女性0名、年齢37±9.6歳)、支援スタッフは45名(男性21名、女性24名)であった。
方法は、支援施設における生活支援行為に着目し、障害別、サービス提供時間毎(高次脳機能障害9:00~16:00、視覚障害9:00~16:00、肢体不自由24時間)に行われる介護及び自立支援行為をタイムスタディにより障害別に明らかにすることとした。
タイムスタディは、測定単位を1分間とし、測定時間内の被験者の介護行為、介護姿勢、利用者との会話の有無等について記録させた。調査票はケアコード早見表(第2回要介護認定調査検討会平成18年12月6日)を用いて、対象障害者毎に担当の調査員に記録させた。
分析は、得られたデータから、障害領域別に1)実施頻度が多い介護行為、2)負担の大きい介護姿勢(中腰、立位、走行等)で分類し、そのうち、ロボット・センサー技術等の応用により解決が可能と考えられる生活支援行為について「今後解決すべき課題」として明確化した。課題の選出は、ロボット技術に関する専門家(工学者、理学療法士、作業療法士等)及び障害福祉施設に勤務する介護支援スタッフ、指導員等で構成される委員会(以下、有識者委員会)で検討した。
尚、本研究は、当センター倫理審査委員会の審査承認を受けた後、全ての被検者に説明を行い、書面にて同意を得られた後に実施した。
方法は、支援施設における生活支援行為に着目し、障害別、サービス提供時間毎(高次脳機能障害9:00~16:00、視覚障害9:00~16:00、肢体不自由24時間)に行われる介護及び自立支援行為をタイムスタディにより障害別に明らかにすることとした。
タイムスタディは、測定単位を1分間とし、測定時間内の被験者の介護行為、介護姿勢、利用者との会話の有無等について記録させた。調査票はケアコード早見表(第2回要介護認定調査検討会平成18年12月6日)を用いて、対象障害者毎に担当の調査員に記録させた。
分析は、得られたデータから、障害領域別に1)実施頻度が多い介護行為、2)負担の大きい介護姿勢(中腰、立位、走行等)で分類し、そのうち、ロボット・センサー技術等の応用により解決が可能と考えられる生活支援行為について「今後解決すべき課題」として明確化した。課題の選出は、ロボット技術に関する専門家(工学者、理学療法士、作業療法士等)及び障害福祉施設に勤務する介護支援スタッフ、指導員等で構成される委員会(以下、有識者委員会)で検討した。
尚、本研究は、当センター倫理審査委員会の審査承認を受けた後、全ての被検者に説明を行い、書面にて同意を得られた後に実施した。
結果と考察
分類した課題をもとに、有識者委員会で検討した結果、「既存の技術や機器等を組み合わせることにより解決可能な課題」について、以下のような結論を得た。
すなわち、高次脳機能障害や視覚障害の支援では、情報支援の頻度が高く負担もあることから、社会生活訓練場面等の高度の支援を必要としない、当日のスケジュールやメニュー、インターネット情報検索等の口頭アクセスによる照会に対する音声・映像等による応答機能を有するロボットの導入が有効であると考えられた。
一方、頚髄損傷者等の重度肢体不自由者の支援では、夜間の見守り支援の頻度が高く負担もあることから、夜間のリスク(転倒・転落)を検知し通報、遠隔場所から確認可能な機能及び睡眠状態等(心拍・呼吸・体動・在床)の自動計測機能を有するロボットの導入が有効であると考えられた。
すなわち、高次脳機能障害や視覚障害の支援では、情報支援の頻度が高く負担もあることから、社会生活訓練場面等の高度の支援を必要としない、当日のスケジュールやメニュー、インターネット情報検索等の口頭アクセスによる照会に対する音声・映像等による応答機能を有するロボットの導入が有効であると考えられた。
一方、頚髄損傷者等の重度肢体不自由者の支援では、夜間の見守り支援の頻度が高く負担もあることから、夜間のリスク(転倒・転落)を検知し通報、遠隔場所から確認可能な機能及び睡眠状態等(心拍・呼吸・体動・在床)の自動計測機能を有するロボットの導入が有効であると考えられた。
結論
平成29年度研究として、障害者支援施設における介護等の支援の実態についてタイムスタディを行い、24時間内の自立・介護支援行為をリスト化した上で、ロボット技術等の応用により解決が可能と考えられる課題を抽出した。
タイムスタディの結果をもとにロボット技術に関する有識者委員会を開催して、「今後解決すべき課題」を明確化した。
今後は、今回の研究成果をもとに、平成30年度研究として、既存の技術により課題解決に有効と考えられるロボット・センサー等機器を一定期間支援施設に導入し効果検証を実施する。
タイムスタディの結果をもとにロボット技術に関する有識者委員会を開催して、「今後解決すべき課題」を明確化した。
今後は、今回の研究成果をもとに、平成30年度研究として、既存の技術により課題解決に有効と考えられるロボット・センサー等機器を一定期間支援施設に導入し効果検証を実施する。
公開日・更新日
公開日
2018-11-21
更新日
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