薬効成分を含有する天然物に着目した医薬品規制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
199800627A
報告書区分
総括
研究課題名
薬効成分を含有する天然物に着目した医薬品規制のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
高仲 正(昭和大学薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬効成分を含有する天然物について、成分本質、形状、表示等の面から医薬品として規制すべきものの範囲を明確にし、医薬品規制の判断基準の策定に資する。
研究方法
薬効成分を含有する天然物について、我が国における規制の現状、これらを含む製品の実態(形状、表示等)を把握するとともに、海外(特に米国)における規制の状況、動向を調査した。また、併せて、これら天然物の成分本質について文献的に検討し、医薬品としての規制の必要性の判断基準となる考え方について整理した。
結果と考察
1)現在の天然物規制の考え方
我が国における薬効成分を含有する天然物の医薬品としての規制として、成分本質の観点からは、「疾病の診断、治療又は予防に使用されるもの(薬事法第2条第1項第2号)」及び「身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされるもの(同第3号)」の区分に基づいて扱われている。
・「疾病の診断、治療又は予防に使用されるもの」の観点:
現状では、医薬品としての使用実態に基づいて分類されており、医薬品と食品の区分が必ずしも、薬理作用の強さと相関していない。また、伝統的に我が国で生薬として用いられているものと、近年になって、いわゆる健康食品として我が国に導入されているものとの間で、薬理作用の観点からは、必ずしも同等の取扱となっていない場合があり得る。
・「身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされるもの」の観点:
医薬品として用いられることはないものであって、必ずしも有効成分が不明な場合であっても、薬物乱用の未然防止の観点から、乱用の助長につながるような使用法のあるものについては、伝統的な、または、近年の使用実態に基づいて、医薬品と判断している場合が多い。これらについては文献情報がない場合が多く、使用の実態に関する情報に基づき、当該品の作用を推定し、規制していることもある。
2)海外における状況
米国においては、いわゆるハーブ類については、「FDAは認めていない」との標記と共に一定の「効果」を記載して、栄養補助食品として販売することは認められているものの、ハーブ類は、その薬理作用から、本質的に栄養補助というよりは、疾病の治療を予想させるものであるとして、積極的に医薬品として取り込んで行こうとする動きが見られる。
結論
ハーブ類をはじめとする薬効成分を含有する天然物は、従来、その使用の実態を踏まえた区分をしてきたため、医薬品となっているものから食品とされているものまで様々である。しかしながら、その有効成分の薬理作用に基づく効果を期待するのであれば、(その効果の標榜の有無にかかわらず、)医薬品として規制されるべきと考える。(薬事法第2条第1項第2号の医薬品)したがって、従来の我が国における使用実態を踏まえた分類から、薬理作用を基本とした評価体系に転換すべきである。しかしながら、薬理作用の評価に当たって十分な情報がない場合が多く予想される。原産地等における使用実態に関する情報は、当該品の薬理作用を推定する情報となりうるので、あわせて利用する必要がある。なお、評価すべき項目及び評価基準等については引き続き検討する必要がある。

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