難病のある人に対する就労支援における合理的配慮を推進するための研究

文献情報

文献番号
201717016A
報告書区分
総括
研究課題名
難病のある人に対する就労支援における合理的配慮を推進するための研究
課題番号
H29-身体・知的-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 臨床研究開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 今橋 久美子(藤田 久美子)(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 横山 和仁(順天堂大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多くの難病が長期治療を必要とし、また心身機能は変化するという特性から、必要な合理的配慮は多様である。本研究の目的は、難病当事者、就労系福祉サービス機関、難病研究者等を対象として、難病のある人への合理的配慮の内容を疾病別に取りまとめ、全国の関係機関に提供し、難病のある人の就労支援に活用することである。
研究方法
(1)就労系福祉サービス機関を対象とした実態調査:全国20都道府県に設置され、主たる対象者に難病を記載している就労系福祉サービス事業所2,112(就労移行348、就労継続A型728、B型1,036)ヵ所に、難病患者がサービスを利用する際に行っている合理的配慮等について質問紙調査を行った。
(2)難病当事者を対象としたニーズ調査:H25年の調査で事業所を利用する患者の多かった10疾病団体に調査協力を依頼、9団体より了承を得て、15歳〜65歳の当事者2,486名に質問紙調査を行った。
(3)厚労省難治性疾患政策研究事業指定難病班研究者等を対象とした調査:H25年度の調査で事業所を利用する患者の多かった25疾病(18研究班)について、その研究代表者に疾病別の医療的ニーズに基づく合理的配慮について質問紙調査を実施した。
結果と考察
(1)事業所調査;回収率40%(854件)。現在難病のある人が利用していると回答した事業所は286(33%)でこれは25年度調査(n=6,053)の16%に比べ増加している。また過去5年間についても利用有りが364(43%)で25年度調査の19%に比べ増加している。利用がないと回答した事業所にその理由を聞いたが、「利用相談がない」が91.7%で、これは25年度調査の90.7%と変わらなかった。難病患者を受け入れる際に把握したい情報として80%以上の事業所が挙げた項目が、「事業所が注意しなければならない疾病特有の注意事項」「本人が自分自身の疾病をどれだけ理解しているか、自身で行っている体調管理について」「主治医の意見書など医療情報」であった。また難病疾病ゆえの配慮を行っていると回答した事業所は68%であり、その配慮項目は多い順に「その日の体調に合わせ仕事内容を変更できる」「体調に合わせ仕事時間の変更」「来所中の体調確認」などであった。また事業所が考える今後の改善点として最も多く挙げた項目は「難病のある人が可能な仕事を増やす」であった。
(2)当事者調査;回収率42%(1,047件)。男性243人、女性802人、性別無回答2人。平均年齢49歳。障害者手帳は66%が所持せず、所持する者では身体障害者手帳が最も多かった。就労系福祉サービスの利用経験があるという回答は61人(6%)で、これは26年度当事者調査の6%(n=889)と同様であった。就労系福祉サービスに関する知識については、この制度を知っているという回答は360人(34%)で26年度調査の29.2%より増加していた。またこの制度を知らないと回答した674人中323人(48%)が「今後この制度について知りたい」と回答し、就労系福祉サービスの潜在的利用ニーズがあることが明らかとなった。就労系福祉サービスの利用経験がある難病のある人に、疾患について配慮を受けているか、という質問に対し「十分受けている42.6%」「受けているが足りない37.7%」「受けていない8.2%」「わからない11.5%」という回答であった。受けている配慮として多く上がった項目は「負荷(重い物の運搬、姿勢、時間、量)の軽減」「通院日の優先」「事業所内での体調の把握」「送迎サービス」などであった。
(3)研究者調査;16班より22疾患についての回答があった。就業状況は男女とも潰瘍性大腸炎やサルコイドーシスの就労割合が高く、筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病、脊髄小脳変性症で低かったが、いずれの疾患も重症度により就労状況は異なり、病型や症状によって就労が難しくなること等が記載されていた。就業に影響する症状は、疾患別に構音障害、歩行障害、てんかん、視力障害、関節痛、排尿障害、下痢、呼吸困難、全身倦怠感等と様々であり、同一疾患であっても重症度によって大きく異なっていた。就業可能性も重症度や症状によるところが大きく、就労支援の必要性が確認された。
(4)上記調査の知見を盛り込み、15疾病に合理的配慮についてマニュアルを作成した。
結論
いまだ就労系福祉サービスの利用経験者は少ないが、制度について知りたい、と言う回答が未利用者の半数あり、潜在的利用ニーズがあることを示唆している。またすでに事業所を利用している難病のある人で、疾患についてなんらかの配慮を受けている、という回答は80%にのぼり、配慮を受けていないという回答は8.2%であった。事業所で実施されている配慮、今後の課題となる配慮について整理していきたい。

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201717016Z