支援機器の効果的活用や支援手法等に関する情報基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
201717014A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器の効果的活用や支援手法等に関する情報基盤整備に関する研究
課題番号
H29-身体・知的-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
小野 栄一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎 慶介(心身障害児総合医療療育センター 整肢療護園)
  • 山田 英樹(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 筒井 澄栄(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 高岡 徹(横浜市総合リハビリテーションセンター)
  • 阿久根 徹(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、エビデンスに基づく補装具費支給制度等の運用や評価の促進を目指し、児童の補装具利用や、高機能・高額な支援機器の選択・選定、また平成30年度に新たに導入される借受け制度のモニタリングに課題を絞り、それらを解決し、実運用にかなう情報基盤としてのデータベースおよびデータ収集方法の確立を目的とする。
 この目的達成のために、以下の3つの研究目標を設定する。
1)児童の補装具利用実態の把握およびデータベース化
2)支援機器の選択・選定データベースの改修による高機能機器利用のエビデンス抽出
3)補装具支給情報データベースによる借受け制度のモニタリング
研究方法
1)児童の補装具利用実態の把握およびデータベース化
①児童を対象とした利用実態調査
医療型障害児入所施設を利用する児童へ支給された補装具の意見書記載内容を後ろ向きに調査した。児童に対しては治療用装具の支給件数も多いことから、対象を総合支援法により支給された補装具に限定せず調査を実施する。
②支援機器の利用ログ収集システムの仕様作成
電動車椅子の利用ログ収集システムについて、開発した電動車椅子の走行・操作動態記録システムと、得られた長期データの分析結果に基づき、簡易に実装・運用可能なシステムの仕様案を作成する。また、下肢装具の利用ログ収集検討のため、関係者を対象としたヒアリング、療育センター等での情報収集を行った。
2)支援機器の選択・選定データベースの改修による高機能機器利用のエビデンス抽出
①データベースソフトの公開
AMED研究費(H26~H28)で作成したデータベースソフトの項目を精査し、データベースソフトを修正する。また、データベースソフトを公開し、無料提供を行う。
②実態調査
協力リハビリテーションセンター病院7施設の受診者を対象とした義肢と下肢装具に関するデータ収集を行う。
3)補装具支給情報データベースによる借受け制度のモニタリング
①補装具支給に関する基礎的データベースの構築
全国4か所の障害者更生相談所から、義手、義足、車椅子、電動車椅子および座位保持装置の5種類の補装具を対象に、補装具費支給申請に係る各種帳票を収集し、各補装具の種類の内訳、価格分布、自治体別の傾向等の集計・分析を行う。
②補装具支給に関する基礎的データベースの検証
 補装具費支給制度における借受け方式導入について、貸与の目的及びその対象者を明確化するとともに、貸与可能な種目及び価格、実施方法等のあり方などについて、WEB及び文献等の公開情報を対象として調査を実施する。補装具費支給制度における借受け方式導入について、システムプロトタイプ上での対応方法等について検討する。
結果と考察
1)児童の補装具利用実態の把握およびデータベース化
全国肢体不自由児運営協議会理事所属施設の協力を得て調査を行うとともに、電動車椅子の操作ログ収集システムの活用も実施した。下肢装具の利用ログ収集システムの仕様作成のため、関係者にヒアリングを行い、破損に影響する可能性のある要因に活動度の違い等があることを明らかにした。
2)支援機器の選択・選定データベースの改修による高機能機器利用のエビデンス抽出
リハセンターの連携によるデータベース構造の再検討とデータ収集、高機能機器に関するエビデンスの抽出を行うとともに、支援機器活用センターでの活用促進策も検討した。
3)補装具支給情報データベースによる借受け制度のモニタリング
全国4か所の障害者更生相談所の協力を得て、義手等の補装具処方に関する411件のデータの提供を受け、各補装具の種類の内訳、価格分布、自治体別の傾向等の集計・分析を行った。
また、今回の調査協力が得られた大阪市、福岡県、愛媛県、名古屋市とともにこれまで協力が得られた自治体に借受け制度の準備状況についてヒアリング調査を行った結果、まだ対応は行われておらず、実施後の申請状況を見ながらの対応であることがわかった。
結論
1)児童の補装具利用実態の把握およびデータベース化
①児童を対象とした利用実態調査
今後の順調なデータの集積により、症例ごとの適切な補装具選択の判断材料になると期待される。
②支援機器の利用ログ収集システムの仕様作成
電動車椅子の利用ログ収集システムの仕様案を作成するとともに、原因疾患による活動度の違いや衝撃力が下肢装具の破損に影響している状況を把握した。
2)支援機器の選択・選定データベースの改修による高機能機器利用のエビデンス抽出
義肢装具に関する多施設同時調査により、高機能義肢装具の適応についてデータを基にした実態が明らかになりつつある。
3)補装具支給情報データベースによる借受け制度のモニタリング
411件のデータから、機器の種類等について傾向が示され、データベース活用の可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201717014Z