補装具費支給制度における種目の構造と基準額設定のあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
201717004A
報告書区分
総括
研究課題名
補装具費支給制度における種目の構造と基準額設定のあり方に関する調査研究
課題番号
H27-身体・知的-一般-006
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
白銀 暁(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所障害福祉部)
  • 山崎 伸也(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所義肢装具技術研究部)
  • 石川 浩太郎(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 清水 朋美(西田 朋美) (国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部 )
  • 井村 保(中部学院大学 看護リハビリテーション学部)
  • 諏訪 基(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
補装具費支給制度は、我が国における福祉用具の公的給付において根幹を成す制度であり、身体障害者にとってそれは命綱と言えるほど重要なものである。本研究は、限られた財源の中でより効率的かつ効果的な制度運用に対応するため、補装具支給制度において給付されている種目において、義肢や車椅子等の適切な構造等の整理・明確化を行うとともに、それに対応した基準額の設定や調査方法等のあり方を提案する。
研究方法
本研究は、(1)種目構造の整理、(2)価格に関する根拠データ調査・設定手法の確立、の2つの課題を設定して遂行することとした。(1)では、現行の種目構造の課題について、関係者を対象とした調査を行って問題点を確認するとともに、海外制度との比較などを行って構造を整理する。平成29年度は、これまでの調査の補足を行うとともに、得られた調査結果を元に専門家委員会を開催して、種目構造に関する見直し案をまとめた。(2)では、財政負担を抑えつつ補装具供給の持続を可能とするため、補装具各種目の価格引き上げが必要な部分と抑制が可能な部分とを整理し、それぞれの適正な価格設定のための費用状況調査の方法を定型化し定期的に価格根拠を把握するプロトコルを構築する。平成29年度は、補装具費支給制度基準補装具における価格水準検討の際参考となる基礎データを提供することを目的に、基本価格・製作要素価格部分の製作費用の大きさならびに採算状況を明らかにするための調査を、製作事業者(日本義肢協会会員、日本車椅子シーティング協会会員の事業者のうち総合支援法での該当3種目製作件数が一定数ある事業者)を対象として行った。加えて、補装具費支給制度基準補装具における価格水準検討の際参考となる基礎データを提供することを目的に、供給費用の大きさならびに採算状況を明らかにするための調査を、供給関係事業者(製作・輸入・販売事業者)を対象として行った。最終的には、専門家委員会を構成して意見集約を行い、制度改定に向けた提案をとりまとめる。研究により得られた成果は学会、Webサイト等での公表を積極的に行うとともに、とりまとめた案は補装具評価検討会に諮り、将来的な制度改定に役立てる。
結果と考察
種目構造グループでは、いくつかの補足調査を行って制度見直し案の草案を作成し、専門家委員会を構成して議論を行い、最終案を取り纏めた。この最終案の一部は補装具評価検討会に提案され、議論が成された。価格設定に関しては、実際に価格根拠調査票を作成し、供給事業者を対象とした調査を実施した結果、義肢・装具・座位保持装置については、作業人件費単価、素材価格が3年前の前回調査時点より上昇していることを示した。作業人件費の時間あたり単価の種目別数値を得る方法を開発し、該当数値推定値を明らかにした。その他の種目については、基準補装具と同等の機能・仕様と思われる用具の補装具制度外での販売価格に着目した調査手法を開発した。さらに後者の調査結果から、義眼などいくつかの種目について基準補装具価格と制度外価格の間で価格の乖離が生じていることを確認するとともに、基準の補装具が満たすべき必要・十分な機能等の整理を行う必要があることを確認した。
結論
補装具の種目構造に関しては、過去2年度の調査結果等の収集情報に基づき、一部補足的な調査を行って見直し案を作成した。さらに、諸外国の福祉機器の給付制度に関して、昨年度に引き続いてフランスの制度を追加調査し、同国の制度の仕組みや運用状況に関する情報を得た。価格の設定に関しては、価格根拠を把握するための調査内容の検討を行いいくつかの点で調査項目を改訂し、補装具供給事業者を対象として調査を実施し、調査結果をまとめた。本研究で得られたこれらの調査結果は、厚生労働省による平成30年度補装具費支給基準改訂に際し、参考とされた。

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201717004B
報告書区分
総合
研究課題名
補装具費支給制度における種目の構造と基準額設定のあり方に関する調査研究
課題番号
H27-身体・知的-一般-006
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
白銀 暁(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所障害福祉部)
  • 山崎 伸也(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所義肢装具技術研究部)
  • 石川 浩太郎(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 清水 朋美(西田 朋美)(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 福祉機器開発部)
  • 井村 保(中部学院大学 看護リハビリテーション学部)
  • 諏訪 基(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 仲泊 聡(理化学研究所多細胞システム形成研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
補装具費支給制度は、我が国における福祉用具の公的給付において根幹を成す制度であり、身体障害者にとってそれは命綱と言えるほど重要なものである。本研究は、限られた財源の中でより効率的かつ効果的な制度運用に対応するため、補装具支給制度において給付されている種目において、義肢や車椅子等の適切な構造等の整理・明確化を行うとともに、それに対応した基準額の設定や調査方法等のあり方を提案する。
研究方法
種目構造グループでは、1年目に課題を整理しつつ、全国1,741自治体の補装具支給担当者を対象としたアンケート調査を実施して、それぞれの課題における問題点の明確化を行った。2年目は、研究会議を計4回開催し、特に年度前半は、計画1年目の結果および近年の状況を踏まえてさらに具体的な課題を設定して、全国の自治体の補装具支給担当者へのアンケート調査の計画立案を行った。年度後半には、計画したアンケート調査を実行するとともに、一部については市区町村担当者や臨床現場に従事する専門職等へのインタビュー調査を実施した。さらに、意思伝達装置については更生相談所および中核市・東京都特別区への調査、座位保持装置については現場の専門職のインタビュー調査を実施した。3年目は、これらの調査によって得られた結果を元に、いくつかの補足調査を行って制度見直し案の草案を作成し、専門家委員会を構成して議論を行い、最終案を取り纏めた。価格調査グループでは、1年目は、補装具基準価格が製作費用に見合っていないとの見方もある義肢について、昭和50年代以降の価格の推移を調べ、物価指数の推移と大きくは乖離していないことを確認した。その結果、もし価格の乖離があるとすれば、それは技術上あるいは求められる製作物の仕様上の変化に伴うものであることが示唆された。2年目は、機能区分価格の推定(機能区分の基礎機能を持つ部品の価格、および各種調整価格(推奨身体機能レベルや主材料等に起因すると思われる価格差などの推定)を実施した。また補装具各種目の価格根拠調査実施のため、過去の調査情報の収集等準備を行った。3年目は実際に価格根拠調査票を作成し、供給事業者を対象とした調査を実施した。
結果と考察
種目構造に関しては、意思伝達装置の視線入力および本体としてのPCの要件、装具におけるカーボン加算の追加、コンタクトレンズの耐用年数の適正化、義眼の種目の整理、車載用座位保持椅子の種目化、告示における「その他」の整理、の7つの点について見直し案を取り纏め、提案を行った。本研究では見直し提案まで至らなかった課題が複数あり、今後も継続した取り組みが必要であるちと考えられた。価格設定に関しては、義肢・装具・座位保持装置について価格変化の状況を把握するとともに、作業人件費単価については種目別の推定値を得る方法を開発した。義肢・装具・座位保持装置以外の補装具については、義眼等いくつかの種目において補装具の基準価格と制度外での販売価格の間に乖離があることを確認した。一方で、種目によっては今回調査で得られた回答対象機種が、基準補装具としてはオーバースペックではないかとの見方も考えられ、今後補装具関連機器の機能・仕様をわかりやすく整理し、「基準」として満たすべき必要・十分な機能をより明確にすることが必要であることが、確認された。また、こうした調査関係データの定型化、定期メンテナンスの費用抑制効果の検討等も今後の課題であると考えられた。
結論
我が国における福祉用具の公的給付において根幹を成す補装具費支給制度に関して、その効率的・効果的運用を目指し、種目の構造と価格設定のあり方に関する調査研究を実施した。これまでに主要な調査対象となっていない市区町村の支給決定担当者のアンケート調査や、関係者のインタビュー調査等を行って課題を整理し、種目に関する見直し案を取り纏めて提案を行った。価格設定に関しては、義肢・装具・座位保持装置について、作業人件費の状況を把握するとともに、種目別人件費単価の推定値を得る方法を開発した。義肢・装具・座位保持装置以外の補装具については、義眼等いくつかの種目において補装具の基準価格と制度外での販売価格との間の乖離を確認した。また、骨格構造義足の完成用部品について、部品の基本機能、その他の属性に関して推定価格を算出した。これらの成果が得られた一方、明確になった課題も多く存在した。今後は、これらの課題解決に向けた研究が引き続いて必要である。

公開日・更新日

公開日
2018-11-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201717004C

収支報告書

文献番号
201717004Z