文献情報
文献番号
201715006A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防を推進する地域づくりを戦略的に進めるための研究
課題番号
H28-長寿-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
研究分担者(所属機関)
- 斉藤 雅茂(日本福祉大学 社会福祉学部)
- 堀井 聡子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 佐々木由理(千葉大学 予防医学センター)
- 辻 大士(千葉大学 予防医学センター)
- 亀田 義人(千葉大学 予防医学センター)
- 近藤 尚己(東京大学大学院 医学系研究科)
- 岡田 栄作(浜松医科大学 医学部)
- 菖蒲川由郷(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
- 谷 友香子(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
- 横道 洋司(山梨大学大学院 社会医学講座)
- 相田 潤(東北大学大学院 歯学研究科)
- 伊藤 美智予(名古屋大学 予防早期医療創成センター)
- 白井こころ(大阪大学 医学系研究科)
- 林 尊弘(星城大学 リハビリテーション学部)
- 花里 真道(千葉大学 予防医学センター)
- 鈴木 規道(千葉大学 予防医学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
6,462,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 白井こころ
平成21年4月1日~平成29年10月31日 琉球大学 法文学部
平成29年11月1日~ 大阪大学 医学系研究科
研究報告書(概要版)
研究目的
介護予防の政策立案,効果検証などに使えるベンチマーク・システムを開発し、41市町村の約20万人の高齢者データを収集し、地域毎の健康状態や社会資源等をアセスメントし,ニーズや課題を把握し,根拠に基づく戦略的な地域づくりによる介護予防を推進するためのエビデンスづくりと,介護予防の効果検証をするツールやシステムを開発・改良することを目的とした.
研究方法
2016年度には39市町村,2017年度には2市町で、合計約30万人を対象に大規模調査を行った.今年度は、それらのデータと既存のデータを用い Ⅰ.介護予防に関わる地域要因の解明,Ⅱ.介護予防に関わる個人レベルの要因の解明,Ⅲ.地域づくり支援の研究を,マルチレベル分析や縦断研究,参与観察,介入研究デザインで行った。
結果と考察
Ⅰ.介護予防に関わる地域要因の解明では,建造環境である歩道面積率が高い地域で閉じこもりが少なく,肺炎球菌ワクチン接種率が高い地域で肺炎による入院率が低く,運動グループ参加高齢者が多い地域で抑うつリスクが低かった.また地域づくりに必要なソーシャル・キャピタル指標群の二時点間比較で併存的妥当性・予測的妥当性は概ね良好であることなどが確認された.Ⅱ.介護予防に関わる個人レベル要因解明では,地域で会食する機会をもつ高齢者でうつリスクが低く,食事を他者と共にする機会,寝込んだ際に助けてくれる人がいて,相談相手が多い人ほど幸福度高い傾向が認められた.口腔の健康状態が低栄養リスクであり,フレイルからの改善には歩行時間や食物摂取頻度などに加え社会的要因もリスクであり,震災後に仮設住宅への転居がうつ発症リスクとなることなどが縦断研究で示された.Ⅲ.地域づくり支援の研究では,近隣自治体との共同ワークショップや結果を共有するためのツールなどにより,状況認識の共有や他自治体との比較の視点の明確化などの効果が高まること,その一方で,地域診断結果を介護予防施策立案につなげるためには,システムの周知や研修など保険者への継続的支援が課題であること,今後高齢者数が増える都市型の介護予防モデルの開発の可能性などが見えてきた.研究者が積極支援した市町では,対照群に比べ高齢男性の地域活動に参加する割合が増えていた.
結論
Ⅰ.介護予防に関わる地域要因として,建造環境や予防接種,運動グループ参加をはじめとするソーシャルキャピタルなど社会環境要因に着目した地域づくりで,個人へのアプローチとは異なる経路による介護予防効果が期待できることが示唆された.Ⅱ.介護予防や幸福感,フレイルに関わる多様な個人レベル要因が明らかとなった.Ⅲ.地域づくり支援の研究では,ツール開発や近隣自治体が参加するワークショップ,都市型モデルづくり,究者や都道府県による支援の可能性や課題が明らかになった.
公開日・更新日
公開日
2018-06-05
更新日
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