脳死下・心停止下における臓器・組織提供ドナー家族における満足度の向上及び効率的な提供体制構築に資する研究

文献情報

文献番号
201713005A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死下・心停止下における臓器・組織提供ドナー家族における満足度の向上及び効率的な提供体制構築に資する研究
課題番号
H29-難治等(免)-一般-102
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
横田 裕行(日本医科大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 荒木 尚(埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター)
  • 織田 順(東京医科大学 救急・災害医学分野)
  • 久志本 成樹(東北大学 大学院医学系研究科外科病態学講座救急医学分野)
  • 朝居 朋子(藤田保健衛生大学 医療科学部看護学科)
  • 坂本 哲也(帝京大学 医学部救急医学講座)
  • 田中 秀治(国士舘大学 大学院救急システム研究科)
  • 名取 良弘(飯塚病院 脳神経外科)
  • 山勢 博彰(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 柴田 尚明(和歌山県立医科大学 救急・集中治療医学講座)
  • 渥美 生弘(聖隷浜松病院 救命救急センター)
  • 加藤 庸子(藤田保健衛生大学 坂文種報徳會病院脳神経外科)
  • 江川 裕人(東京女子医科大学 消化器外科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 移植医療基盤整備研究分野)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
10,147,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 脳死下、心停止後臓器提供数は他の先進諸国と比較すると極端に少ない。原因の一つは臓器提供施設となる救急や脳神経外科施設において患者家族に対しての臓器提供に関する情報提供、いわゆる選択肢提示(以後、“いわゆる選択肢提示”とする)が十分になされていないからである。その理由は臓器提供時の過大な負担が存在するからで、臓器提供を円滑に進めるためには各々の施設に共通の課題と施設毎の対策を考慮する必要がある。例えば、過去に脳死下臓器提供を経験していない施設には、解説書のような使いやすいマニュアル、一定以上の経験のある施設にとってはより円滑な脳死下臓器提供が可能となるいわゆる選択肢提示の在り方やその方法、院内コーディネーター在り方等を具体的に提示する必要がある。また、脳死下臓器提供後に提出する検証フォーマットの改訂案と検証体制の提案をすることも目的とした。さらに、円滑な臓器摘出に向けて臓器摘出術に係る移植医と提供側の医師、菅技師、医療スタッグが共有すべき課題やあり方についても検討した。
研究方法
 研究分担者と具体的な研究計画を協議し分科会を設置し、各班でそれぞれの視点から現状分析を行った。また全体会議を開き、それぞれの進行過程での研究について意見を出し合った。分科会は以下のとおり。①施設の特性に応じた選択肢提示のあり方に関する研究(横田、坂本)、②小児ドナー家族への諸問題に関する研究(荒木)、③標準化された選択肢提示と効率的な提供体制構築に関する研究(織田)、④地域における効率的な提供体制構築に関する研究(久志本)、⑤JOTと都道府県コーディネーターと院内ドナーコーディネーターの共通視点から選択肢提示と普及啓発に関する研究(朝居)、⑥主治医の視点からの選択肢提示の課題に関する研究(坂本)、⑦組織提供に際しての選択肢提示に関する諸問題に関する研究(田中)、⑧選択肢提示の一般市民への啓発活動に関する研究(名取)、⑨看護師の視点からみた選択肢提示のあり方に関する研究(山勢)、⑩院内での普及啓発活動のあり方に関する研究(柴田)、⑪選択肢提示における家族対応のあり方に関する研究(渥美)、⑫死体腎移植における選択肢提示の諸問題に関する研究(加藤)、⑬移植医療の推進に関する研究(江川)。
結果と考察
 本研究班は救急医、脳神経外科医、集中治療医だけではなく移植医、看護師、コーディネーターの視点から検討を行った。これらの研究から患者家族に対する臓器提供に関する情報的提供(いわゆる選択肢提示)の課題、あり方や具体的な方法、移植医との連携の中で円滑な臓器摘出の在り方等を示すことができた。具体的には、施設の経験に応じた利用しやすいテキスト作成、院内コーディネータとしての潜在的な人的資源、とくにMSW等の活躍を期待する検討がなされた。また、脳死下臓器提供後に提供施設が提出する煩雑な検証フォーマットに関しても、簡略・適性・効率化をする方法についても提案することが出来た。
結論
 脳死下臓器提供が可能ないわゆる五類型施設は896施設存在するが、脳死下臓器提供の体制整備が整っている施設は半数に満たない435施設(48.5%)で、過去に臓器提供した施設はさらにその半分以下の194施設である。このような状況下で、脳死下を含めた臓器提供を円滑に進めるためには各々の施設が有する共通の課題と過去の臓器提供の経験数に応じた対策を考慮する必要があり、施設の経験に応じた利用しやすい解説書(テキスト)作成、院内コーディネータとしての潜在的な人的資源、とくにMSW等の活躍を期待する検討がなされた。また、脳死下臓器提供後に提供施設が提出する煩雑な検証フォーマットに関しても、簡略・適性・効率化をする方法についても提案することが出来た。 今年度以降はこれらの成果物を実際に利用することを考慮し、研究班の成果が臓器提供の円滑化に大きく寄与することを考えている。

公開日・更新日

公開日
2019-09-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2019-09-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201713005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,307,000円
(2)補助金確定額
9,939,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,368,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,676,345円
人件費・謝金 643,170円
旅費 2,486,639円
その他 2,973,363円
間接経費 2,160,000円
合計 9,939,517円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-09-10
更新日
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