小児期および成人移行期小児リウマチ患者の全国調査データの解析と両者の異同性に基づいた全国的「シームレス」診療ネットワーク構築による標準的治療の均てん化

文献情報

文献番号
201712004A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期および成人移行期小児リウマチ患者の全国調査データの解析と両者の異同性に基づいた全国的「シームレス」診療ネットワーク構築による標準的治療の均てん化
課題番号
H29-免疫-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
森 雅亮(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生涯免疫難病学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 宮前 多佳子(東京女子医科大学・附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 八角高裕(京都大学大学院医学研究科発達小児科学講座)
  • 梅林 宏明(宮城県立こども病院総合診療科)
  • 松井 利浩(国立病院機構相模原病院臨床研究センターリウマチ性疾患研究部)
  • 大島 至郎(国立病院機構大阪南医療センター・臨床研究部)
  • 西山 進(倉敷成人病センター 診療部リウマチ科)
  • 橋本 求(京都大学医学部附属病院リウマチセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 免疫アレルギー疾患政策研究分野)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は小児期から成人移行期にわたる小児リウマチ性疾患を小児科、成人科という垣根を超えたシームレスな形で長期間観察しうる仕組みを構築する上で、必要不可欠な基礎情報を網羅的に収集しうる国内で初めての試みであり、極めて独創的であり、これまで断片的にしか捉えることができなかった疾患の自然史を大規模に俯瞰できる可能性がある。小児科および成人科の円滑な連携構築により、移行期医療の現状と問題点についての重要な情報を収集することができると考える。
さらに行政的にはリウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成23年度)の見直しが喫緊の問題と掲げられているが、前年度先駆的に行った本研究を、本年度を初年度とした3年間継続し、JIA研究で得られる小児期から移行期についての考察を付加することで、現場に即した更なる報告書の充実を図ることも視野に入れたい。

研究方法
前年度に行った先駆的研究で、日本小児科学会専門医認定施設と日本リウマチ学会専門医を対象にした小児期および成人移行期の小児リウマチ性疾患(JIA, 小児期発症SLE, JDM, 小児期発症SS)患者の全国実態調査を施行し、16 歳未満あるいは16歳以上の代表的な4疾患症例の実数を全国的に把握し得た。2018年2月末の時点で、前者の回答率は91.3%と極めて高い回答が全国規模で得られている。その後、各疾患で二次調査を行い、多方面からレジストリ構築を目指して解析を試みている。また「小児期から引き続き成人移行期も診ている小児リウマチ医」および「小児期から小児リウマチ性疾患を診ている成人リウマチ医」が全国で少なからず存在することも、先駆的研究で明らかになった。
本年度は、初年度として『全国実態調査データの解析とリウマチ性疾患の移行期医療の実態と問題点の把握』について検討した。
結果と考察
1) 全国実態調査データの詳細解析 
・都道府県別の人口から各都道府県での発症状況調査
・小児リウマチ専門医が存在しない県における近隣の成人リウマチ専門医施設との連携状況の把握2) 移行期医療の普及に必須である移行期ガイド作成のための資料作成
・成人科医師が感じる移行期診療の問題点に対するアンケート調査
・移行期医療の現状での問題点、移行期診療ガイド作成に向けた具体的な要望、課題などの意見収集
3) 対象疾患(JIA, 小児期発症SLE, JDM, 小児期発症SS)における移行期問題の解決
①JIA
・成人移行例の難治性病態や合併症、安全な薬剤使用などに関する調査検討
・全身発症型関節炎の病態解析やぶどう膜炎に関する調査、インフルエンザワクチン接種および罹患と重症化等に関する調査
・日本人JIA患児における赤血球中ポリグルタミル化メトトレキサート(MTX-PG)濃度からみた至適MTX投与量・投与方法に関する検討
・JIA患者会に対する移行期医療に関するアンケート調査
②小児期発症SLE
・移行における仕組みづくりを目的とした6つのプロジェクトを計画。
(1) 小児期発症SLEの移行期チェックリストの構築、(2) 成人科移行時におけるSLEの腎機能と骨塩定量の評価、 (3) 初回発症時に尿異常を呈さない全身性エリテマトーデスの腎予後に関する検討、 (4) 小児期発症SLEに対するシクロホスファミドの長期的副作用調査、 (5)新国際分類基準の本邦小児における有用性の検討、 (6) 小児期発症SLEにおける遺伝要因の検討
③JDM
・国際新基準を用いたvalidation study
・症例詳細(二次)調査に
④小児期発症SS
・移行期医療の「疾患別ガイド」の作成
・小児科と成人診療科との連携や調査項目の検討

この結果、ほぼ予定通りに成果を挙げることができたと考えている。

結論
全国実態調査結果に基づき多角的に小児と成人との異同について検証すること、および地域の実情に合わせた小児期から成人移行期までのシームレス診療体制を確立し全国診療ネットワークを構築すること、が本研究の目標であるが、初年度である本年度は3年間の本研究の初年度に当たる。
本年度は、1) 全国実態調査データの詳細解析、2) 移行期医療の普及に必須である移行期ガイド作成のための資料作成、3) 対象疾患(JIA, 小児期発症SLE, JDM, 小児期発症SS)における移行期問題の解決、を軸に研究を行ってきて、前述のような幾つもの成果を輩出できたと考えている。
来年度からは、本年度の研究成果をさらに発展させ、本研究の目標を達成できるように精進していきたい。

公開日・更新日

公開日
2019-05-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-05-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201712004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 565,050円
人件費・謝金 606,370円
旅費 1,947,028円
その他 3,035,552円
間接経費 1,846,000円
合計 8,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-05-07
更新日
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