食物アレルギーに対する栄養・食事指導法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201712002A
報告書区分
総括
研究課題名
食物アレルギーに対する栄養・食事指導法の確立に関する研究
課題番号
H28-免疫-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 孝成(昭和大学医学部小児科)
  • 伊藤 浩明(あいち小児保健医療センター)
  • 高松 伸枝(別府大学食物栄養科学部)
  • 佐藤 さくら(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター )
  • 林 典子(学校法人ソニー学園湘北短期大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 免疫アレルギー疾患政策研究分野)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,051,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 食物アレルギーの管理はこの15年余の厚生労働科学研究において大きく進展した。「食物アレルギーの診療の手引き」を2005年に発刊し、その後3年毎に改定し診療に大きな影響を与えてきた。しかし、全国的な診療の均てん化にはほど遠く、現在も大多数の食物アレルギーの患者や家族において日常の食生活の質の低下は改善できていない。その理由の一つとして食物アレルギーの初期診療において栄養食事指導が十分に行われずに保護者の不安が大きくなることが挙げられる。
 本研究班では、食物アレルギーに関する栄養・食事指導の知識の普及・啓発と患者・保護者による自己管理を進めるために、厚生労働科学研究班において2011年に改定されて以来アップデートされていない「食物アレルギーの栄養指導の手引き(以下、栄養指導の手引き)」を最新の情報を取り込み改定し、これに対応した患者の自己管理を促す資材を作成し広く全国に情報発信することを最終到達目標とした。
研究方法
 食物アレルギーの予知・予防・診断・管理・治療等の研究に関して、研究代表者および研究分担者がこの5年余の進展を論文・出版物より取り纏め、情報を取捨選択する。その後、検討委員会にてわが国の実情に合わせて手引きに載せるべき情報を決定する。具体的な項目として、①診療における管理栄養士の業務・役割の明示、②原因食物別の栄養・食事指導の確立(臨床的な交差抗原性を含)、③食物経口負荷試験後の食事指導法の確立、④加工食品のアレルギー表示の改定、⑤保育所・園・学校での安全な給食提供の在り方の明示などに関して検討を進める。最終的に食物アレルギー患者と関わりのある関係各所から外部コメントを募集し、改訂作業を終了する。作成物は年度内にweb上での情報発信を開始する。
 また「食物アレルギー診療ガイドライン2016」および改定版「栄養食事指導の手引き」を基に、患者自己管理を促す資材の開発を行い、同じくweb上での情報発信を行う。
結果と考察
 昨年度は、この5年余の食物アレルギーの予防・診断・管理・治療等に関する進展を論文・出版物より取り纏め、検討会にて改訂版「栄養指導の手引き」に載せるべき情報を決定した。主な改訂ポイントは、①食物アレルゲンの基礎知識、②食物経口負荷試験後の食事指導法の考え方、③原因食物別の栄養・食事指導の確立(臨床的な交差抗原性を含む)、④加工食品のアレルギー表示の改定について、⑤保育所・園・学校での安全な給食提供の在り方の明示とした。
 今年度は前年度から検討を重ねた原案をもとに、検討委員による修正作業を行い作成した。最終的に食物アレルギー患者を関わりのある関係各所から外部コメントを求めた上で改訂作業を終了し、平成30年1月に「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」を食物アレルギー研究会のホームページ上に公開した(https://www.foodallergy.jp/document/)。また改訂版に沿って食物アレルギーに関するQ&Aを作成し同サイト上で公開した(https://www.foodallergy.jp/faq/)。
結論
 今回の改訂作業により、最新の食物アレルギー診療に応じた栄養食事指導の手引きに改訂することができた。食物アレルギー診療の進歩は目覚ましいため、今後も定期的な見直しが必要である。

公開日・更新日

公開日
2019-05-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201712002B
報告書区分
総合
研究課題名
食物アレルギーに対する栄養・食事指導法の確立に関する研究
課題番号
H28-免疫-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 孝成(昭和大学医学部小児科)
  • 伊藤 浩明(あいち小児保健医療センター)
  • 高松 伸枝(別府大学食物栄養科学部)
  • 佐藤 さくら(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 林 典子(学校法人ソニー学園湘北短期大学生活プロデュース学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 免疫アレルギー疾患政策研究分野)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 食物アレルギーの管理はこの15年余の厚生労働科学研究において大きく進展した。「食物アレルギーの診療の手引き」を2005年に発刊し、その後3年毎に改定し診療に大きな影響を与えてきた。しかし、診療の均てん化にはほど遠く、現在も大多数の食物アレルギーの患者や家族において日常の食生活の質の低下は改善できていない。その理由の一つとして食物アレルギーの初期診療において栄養食事指導が十分に行われずに保護者の不安が大きくなることが挙げられる。本研究班では、食物アレルギーに関する栄養・食事指導の知識の普及・啓発と患者・保護者による自己管理を進めるために厚生労働科学研究班において2011年に改定されて以来アップデートされていない「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き」を最新の情報を取り込み改定し、患者の自己管理を促す資材を作成し広く全国に情報発信することを最終到達目標とした。
 また、アレルギー疾患医療提供体制における拠点となる医療機関の重要な機能の一つとして食物経口負荷試験を実施している施設である事が求められる。本研究班において医療提供体制を議論することは患者のセルフマネジメントに直結する課題であると考え、アレルギー疾患医療提供体制における拠点となる医療機関の機能、具体的要件、適切な配置、これらを定めるために必要なデータ収集・解析等を行う。
研究方法
 食物アレルギーの予知・予防・診断・管理・治療等の研究に関して最近5年間の進展を論文・出版物より取り纏め、情報を取捨選択しわが国の実情に合わせて手引きに載せるべき情報を整理し、検討委員会にて改訂内容を決定する。
 アレルギー疾患医療提供体制における拠点となる医療機関の機能、具体的要件、適切な配置に関して検討を行う。全国の食物アレルギーの診療体制を俯瞰するための食物経口負荷試験実施状況のデータと、日本アレルギー学会の教育研修施設に関するデータと合わせて解析し、全国のアレルギー疾患医療提供体制における拠点となる医療機関の候補を模索した。
結果と考察
1)「栄養食事指導の手引き」の改訂
 主な改訂ポイントは、①食物アレルゲンの基礎知識、②食物経口負荷試験後の食事指導法の考え方、③原因食物別の栄養・食事指導の確立(臨床的な交差抗原性を含む)、④加工食品のアレルギー表示の改定について、⑤保育所・園・学校での安全な給食提供の在り方の明示などとした。原案作成、検討委員による修正作業、食物アレルギー患者と関わりのある関係各所から外部コメントを経て改訂作業を終了し、食物アレルギー研究会のホームページ上に公開した(https://www.foodallergy.jp/document/)。また、食物アレルギーの日常診療に関連する疑問に答えられるようなQ&Aを作成し、公開した(https://www.foodallergy.jp/faq/)。

2)アレルギー疾患医療の在り方に関する班会議
 アレルギー疾患医療提供体制における地域の拠点となる医療機関の機能、具体的要件、適切な配置に関して平成29年1月~3月に計4回会議を開催し検討を行った。アレルギー疾患の診療に関わる様々な立場の委員18名に検討に加わって頂き検討を加えた。地域拠点病院に求められている臨床的な機能に関してはアレルギー疾患に共通する機能、各科別、小児/成人別の機能としてまとめることができた。アレルギー疾患の診療においては一般診療所、一般病院との診療連携も重要である事が指摘された。さらに臨床機能以外の情報提供、研修、研究を担うことも地域拠点病院の重要な任務であるという点においても合意が得られた。現状では臨床の機能等が将来の整備目標とせざるを得ない地域も存在することも明らかになった。
結論
 今回の改訂作業により、最新の食物アレルギー診療に応じた栄養食事指導の手引きに改訂することができた。食物アレルギー診療の進歩は目覚ましいため、今後も定期的な見直しが必要である。
 また、わが国におけるアレルギー疾患医療提供体制を日本アレルギー学会の専門医数、教育研修施設数を例にとって調査してみたところ、都市と地方とで大きな解離が見られることが判明した。地域拠点病院に求められる機能を総合的に明示することができたが、現状では地域によっては臨床の機能等が将来の整備目標とならざるを得なかった。臨床機能以外の情報提供、研修、研究を担うことも地域拠点病院の重要な任務である。
 厚生労働省から各都道府県に向けて地域拠点病院の整備を依頼する通達を出したときに、各都道府県において整備を進めるためのガイドラインの明示が必要不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2019-05-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201712002C

収支報告書

文献番号
201712002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,966,000円
(2)補助金確定額
3,966,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 180,736円
人件費・謝金 688,539円
旅費 487,348円
その他 1,694,377円
間接経費 915,000円
合計 3,966,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-05-07
更新日
-