文献情報
文献番号
201711115A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H28-難治等(難)-指定-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 山田 正仁(金沢大学医薬保健研究域 医学系脳老化・神経病態学 神経内科学)
- 齊藤 延人(東京大学医学部附属病院)
- 北本 哲之(東北大学大学院 医学系研究科)
- 中村 好一(自治医科大学地域医療センター 公衆衛生学)
- 金谷 泰宏(国立保健医療科学院健康危機管理研究部)
- 黒岩 義之(財務省診療所)
- 原田 雅史(徳島大学 医歯薬学研究部)
- 佐藤 克也(長崎大学 医歯薬学総合研究科運動障害リハビリテーション学講座)
- 村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 神経内科)
- 太組 一朗(聖マリアンナ医科大学 脳神経外科)
- 佐々木秀直(北海道大学 大学院医学研究院)
- 青木 正志(東北大学 医学系研究科)
- 小野寺 理(新潟大学 脳研究所)
- 三條 伸夫(東京医科歯科大学脳神経病態学分野)
- 村井 弘之(国際医療福祉大学・医学部)
- 塚本 忠(国立精神・神経医療研究センター病院・脳神経内科)
- 田中 章景(横浜市立大学 大学院医学研究科)
- 道勇 学(愛知医科大学病院 神経内科)
- 望月 秀樹(大阪大学 神経内科)
- 阿部 康二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・脳神経内科学)
- 松下 拓也(九州大学病院 神経内科)
- 桑田 一夫(岐阜大学 大学院連合創薬医療情報研究科)
- 田村智英子(FMC東京クリニック 医療療情報・遺伝カウンセリング部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
【所属機関変更】
氏名:太組 一朗(研究分担者10)
日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科(平成29年4月1日~9月30日) ⇒ 聖マリアンナ医科大学・脳神経外科(平成29年10月1日~)
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、プリオン病のサーベイランス、プリオン蛋白遺伝子解析・髄液検査・画像診断の提供、感染予防に関する調査と研究をより効率良くかつ安定して遂行するために、1999年からのサーベイランス体制を引き継いで、2010年度から指定研究として行われている。インシデント可能性事例の発症時には、インシデント事例であるか調査検討し、さらにリスク保有可能性者のフォローアップを行い、二次感染事例の有無を合わせて検討する。得られた最新情報は、直ちにプリオン病のサーベイランスと感染対策に関する全国担当者会議およびホームページを通じて周知し、適切な診断法、治療・介護法、感染予防対策の普及に貢献する。
国際的にも、論文による学術情報の発信のみならず、平成29年度は、エジンバラで開催されたPRION2017やメルボルンでのAPPS2017に協力・参加を推進し、アジア大洋州プリオン研究会(APSPR)の後援など広く情報発信と研究協力を行う。更に、研究代表者が中心となりプリオン病治療薬開発のためのコンソーシアムJACOPに協力し、全国規模での自然歴調査体制へ患者登録と施設登録を推進し、サーベイランス調査との一体化を平成29年度から開始すべく、平成28年度の1年間をかけて準備する。
国際的にも、論文による学術情報の発信のみならず、平成29年度は、エジンバラで開催されたPRION2017やメルボルンでのAPPS2017に協力・参加を推進し、アジア大洋州プリオン研究会(APSPR)の後援など広く情報発信と研究協力を行う。更に、研究代表者が中心となりプリオン病治療薬開発のためのコンソーシアムJACOPに協力し、全国規模での自然歴調査体制へ患者登録と施設登録を推進し、サーベイランス調査との一体化を平成29年度から開始すべく、平成28年度の1年間をかけて準備する。
研究方法
日本全国を10ブロックに分け、各ブロックに地区サーベイランス委員を配置し迅速な調査を行うと共に、遺伝子検査、髄液検査、画像検査、病理検査、脳神経外科、遺伝カウンセリングを担当する専門委員を加えて年2回の定期委員会と必要に応じて臨時の委員会を開催している。
遺伝子検査に関しては、東北大学でプリオン蛋白遺伝子検索と病理検索が行われ、MRIの画像読影解析は徳島大学で、髄液検査は、長崎大学で髄液中14-3-3蛋白・タウ蛋白の測定、real time Quaking-Induced Conversion (RT-QUIC)法による髄液中の異常プリオン蛋白の検出法が行われており、東京都健康長寿医療センターでは病理検索などの診断支援を積極的に提供し、感度・特異度の解析を行う。感染予防に関しては、カウンセリング専門家を含むインシデント委員会を組織し、各インシデントの評価を行い、新たな事例に対する対策とリスク保有可能性者のフォローを行う。プリオンの種類による感染力の違いについても検討し減菌法の開発をめざす。
遺伝子検査に関しては、東北大学でプリオン蛋白遺伝子検索と病理検索が行われ、MRIの画像読影解析は徳島大学で、髄液検査は、長崎大学で髄液中14-3-3蛋白・タウ蛋白の測定、real time Quaking-Induced Conversion (RT-QUIC)法による髄液中の異常プリオン蛋白の検出法が行われており、東京都健康長寿医療センターでは病理検索などの診断支援を積極的に提供し、感度・特異度の解析を行う。感染予防に関しては、カウンセリング専門家を含むインシデント委員会を組織し、各インシデントの評価を行い、新たな事例に対する対策とリスク保有可能性者のフォローを行う。プリオンの種類による感染力の違いについても検討し減菌法の開発をめざす。
結果と考察
1999年4月より2018年2月までに6458件を調査し、3278人(男1428人、女1850人)をプリオン病と認定し、最新の疫学像が明らかにされた。この中には硬膜移植後クロイツフェルト・ヤコブ病(dCJD)91例が含まれる。変異型CJD(vCJD)は2004年度の1例のみでその後は発生していない。髄液中バイオマーカーの検出感度は、14-3-3蛋白(ELISA、WB)と総タウ蛋白の感度は78.7 %、70.7%、75.4 %、RT-QUIC法の感度は孤発性CJD(sCJD)で70.1%であった。医療を介する感染の予防については、新たなインシデント事案の発生はなかった。プリオン病に適した滅菌の必要性のさらなる周知徹底が求められる。V2プリオンの消毒・滅菌法の研究も着実に進められている。各ブロック別のプリオン病サーベイランスの状況や、研究の成果等はプリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班との合同班会議終了後に速やかに開催されたプリオン病のサーベイランスと感染対策に関する全国担当者会議にて報告され、その周知徹底を計った。
結論
2018年2月末の時点で91例のdCJDを含む3278例がプリオン病と認定され最新の疫学像が明らかにされた。vCJDは2004年度の1例のみでその後は発生していない。サーベイランスとの統合により自然歴調査登録例は顕著に増加し、調査の悉皆性と診断精度の向上への貢献も期待される。髄液中バイオマーカーの検出感度は、14-3-3蛋白がELISA法で78.7%、ウエスタンブロット法で70.7%、総タウ蛋白が75.4%、RT-QUICがsCJDで70.1%と高感度であった。医療を介する感染の予防については、新たなインシデントの発生はなく、これまでのインシデント事例の総計は17件となったが、二次感染発症はいない。国際学会PRION2017(エジンバラ)・APPS2017(メルボルン)において、当研究班班員による多数の研究結果が報告された。
公開日・更新日
公開日
2018-05-31
更新日
-