難病対策の推進に寄与する実践的基盤提供にむけた研究

文献情報

文献番号
201711114A
報告書区分
総括
研究課題名
難病対策の推進に寄与する実践的基盤提供にむけた研究
課題番号
H28-難治等(難)-指定-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
松山 晃文(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 難治性疾患研究開発・支援センター)
研究分担者(所属機関)
  • 羽鳥 裕(公益社団法人 日本医師会)
  • 王子野 麻代(日本医師会総合政策研究機構)
  • 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
34,107,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 秋丸裕司、大倉華雪両名を2017年10月18日に研究協力者へ変更。

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年1月より施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」及び厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」に示された難病対策のあり方を社会実現するため、難病対策の推進に寄与する資料およびその実践的プラットホームを提供する。
研究方法
分担研究項目として下記の項目について検討を行った。
1)難病指定医研修プログラムの作成に関する研究
2)難病データ登録システムの開発
3)難病患者データの活用方策の検討
4)希少・難治性疾患の類型化等の方法 の検討
5)難病に関する国際連携方策の検討
結果と考察
本研究によって、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会にとりまとめられた「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」に示された難病対策のあり方の社会実現するために必要な科学的根拠の提供、科学的根拠に基づく難病対策の具体的な推進方策の提案、難病政策にかかる実践的プラットホームたる難病データ登録プラットホームが提供される。具体的には、難病指定医の育成体制の提示、基礎的データの収集による難病対策の基盤となる診断基準、臨床調査票を含む難病データ登録システムの構築、基礎的データおよびその活用方策の提示などの成果を示すことができた。
詳細な研究結果に関しては、各分担研究報告書に委ねる。

わが国の難病対策は、昭和47年に策定された「難病対策要綱」を踏まえ、調査研究の推進、医療機関の整備、医療費の自己負担の軽減、地域における保健医療福祉の充実・連携、QOLの向上を目指した福祉施策の推進が行われ、一定の成果を上げてきた。しかし難病の疾患間での不公平感、難病に対する国民の理解の不足、難病患者の長期にわたる療養と社会生活を支える総合的な対策の不足などの問題が指摘されてきた。
これら問題意識を踏まえ、平成23年9月より難病対策委員会において難病対策の抜本的な改革について検討が重ねられ、「難病対策の改革について(提言)」が示され、これをもとにして平成26年通常国会に「難病の患者に対する医療等に関する法律」案が提出され、可決成立の上、平成27年1月から施行されている。これらの提言や法の趣旨に則った対策を行っていく上で、解決しなければならない課題も多く、本研究事業によって、当該提言で示された難病対策の推進に寄与する資料および難病対策プラットホームが開発・提供される準備が出来た。
結論
わが国の難病対策は1972 年の「難病対策要綱」を黎明とし、難病の調査研究、研究謝金による医療費負担の軽減、福祉の充実や難病患者の生活の質の向上を目指した総合的施策として、世界に先駆けて推進されてきた。
特に、100万人に迫る難病患者の臨床調査個人票から得られるデータに関する議論は重要である。今後、目的性を有するデータ収集のための臨床調査個人票項目の選定を進めることを前提とし、どのように活用するか、難病法の枠組みと個人情報保護法ならびに医学系研究に関する指針との整合性の観点からどのようにデータベースを活用するかは、幅広い議論は必要であり、平成30年度以降の研究に委ねたい。
本研究成果として、今後一層の効果的かつ効率的な難病対策の推進、新規治療法の開発とその普遍化にむけた難病患者データ活用方策とその体制の提示、難病患者の長期にわたる療養と社会生活を支える総合的な対策の確立、患者及びその家族のQOLの向上へむけた、データ収集の枠組みが提示しえた。
世界に誇るわが国の難病対策の発展と国際展開へと波及することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711114Z