IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究

文献情報

文献番号
201711109A
報告書区分
総括
研究課題名
IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-058
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
岡崎 和一(関西医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川 茂幸(松本歯科大学 歯学部)
  • 神澤 輝実(がん感染症センター都立駒込病院・消化器内科)
  • 千葉 勉(関西電力病院 病院長  京都大学名誉教授)
  • 下瀬川 徹(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 妹尾 浩(京都大学 大学院医学研究科)
  • 滝川 一(帝京大学 医学部)
  • 岩崎 栄典(慶應義塾大学 医学部)
  • 児玉 裕三(京都大学 大学院医学研究科)
  • 井戸 章雄(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 仲瀬 裕志(札幌医科大学 医学部)
  • 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部)
  • 三森 経世(京都大学 大学院医学研究科)
  • 住田 孝之(筑波大学 大学院医学医療系)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部)
  • 正木 康史(金沢医科大学 医学部)
  • 中村 誠司(九州大学 歯学部)
  • 後藤 浩(東京医科大学 医学部)
  • 赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 川野 充弘(金沢大学 医学部)
  • 石坂 信和(大阪医科大学 医学部)
  • 松井 祥子(富山大学 保健管理センター)
  • 半田 知宏(京都大学 大学院医学研究科)
  • 佐藤 康晴(岡山大学 大学院保健学研究科)
  • 全 陽(神戸大学 医学部)
  • 能登原 憲司(倉敷中央病院 病理診断科)
  • 石川 秀樹(京都府立医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
19,230,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関連8領域における分科会により各臓器疾患別診断基準・治療指針を改訂・完成させ、さらに関連学会やAMED医療開発研究班とも連携して包括的診断基準の改訂や診療ガイドラインの作成を行うとともに実態調査を目的としたレジストリ制度を構築する。特に本疾患の標準的治療法は未だ確立されていないことから、その確立のために、指定難病の患者認定・重症度判定のための診断基準、重症度分類案の改善をめざす。
研究方法
関連8領域における分科会を組織して各臓器疾患別診断基準・治療指針を改訂・完成させ、さらに関連学会やAMED医療開発研究班とも連携して包括的診断基準の改訂や診療ガイドラインの作成を行うとともに実態調査を目的としたレジストリ制度を構築する。
結果と考察
1.8領域の分科会活動と2回の班会議による議論を経て、1年目における各分科会における研究は概ね予定通り達成されつつある。全国調査は疫学中村班と合同で行う準備中である。
2.自己免疫性膵炎:改定診断基準案が策定されH30年7月日本膵臓学会大会で公聴会が開催される予定である。
3.IgG4関連硬化性胆管炎:診療ガイドラインは本年度日本胆道学会学術集会での公聴会を終え、デルファイ法を用いた評価委員会による評価中である。
4.IgG4関連ミクリッツ病:診断基準の検証を行い、IgG4関連涙腺・唾液腺炎における治療介入群146例の再燃率と経過観察群49例の増悪率を検討し、治療介入群(平均観察期間:約6年)の再燃率は2.7%、経過観察群(平均観察期間:約3年)の増悪率は10.2%であった。
5.IgG4関連腎臓病:CKD重症度分類ヒートマップにおけるGFR区分G3bかつ蛋白尿区分A1(オレンジ)の重症度について予後の観点から見直し議論を行った。また2011年診断基準の問題点について議論し、改訂案を提案した。
6.IgG4呼吸器疾患:IgG4関連呼吸器疾患においては、レジストリ構築にむけての登録項目が検討されているが、鑑別すべき疾患が多く、特異的な所見が少ない。日米両国で検討されているIgG4-RD Classification Criteriaの中で、呼吸器領域に関連する2項目の所見について、特異性の高い所見に該当するか否かを検討した。膠原病関連間質性肺炎においては、IgG4 関連疾患を疑わせる他臓器所見がない限りは、肺単独で診断基準を満たしていても、IgG4 関連肺疾患とは診断できないとの結論を得て、改訂の必要性があることが示唆され、次年度以降に検討することとなった。
7.IgG4関連循環器疾患および動脈周囲炎・後腹膜線維症:分科会と関連学会と合同ワーキンググループを設置し、IgG4関連循環器病の臓器特異的暫定診断基準について、一定の合意を得た。IgG4関連疾患は原因不明の全身性の疾患であり、包括診断基準による確診のためには、画像、血清、病理の点で、基準をクリアする必要がある。一方、瘤破裂などから生命予後に直結する循環器領域にでは、生検はリスクを伴うため、組織学的所見が得られにくい。今後、分科会で議論されてきた診断基準案について、循環器診療に従事する医療スタッフとも、診断基準のブラッシュアップを行い、また、循環器および脈管疾患関連の学会とも連携し、広く利用していただき、ひいては、適切な難病診療につなげられることを目指した活動を行っていくこととなった。
8.IgG4関連神経・内分泌疾患:IgG4関連甲状腺疾患、IgG4関連脳下垂体疾患、IgG4関連肥厚性硬膜炎の診断基準案の作成を行った。IgG4関連疾患では膵、下垂体、甲状腺など様々な内分泌臓器病変が合併し得るが、ステロイド治療により耐糖能異常・糖尿病、下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症など内分泌機能の温存や治療反応性を予測する指標は未だ示されていない。今後、IgG4関連疾患患者に合併した内分泌機能異常の疫学データを集積するとともに、内分泌機能温存に関わる因子を検討することとなった。
結論
8領域の分科会活動と2回の班会議による議論を経て、1年目におけるそれぞれの領域における研究の進捗状況は概ね予定通り達成されつつある。

公開日・更新日

公開日
2018-05-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711109Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,999,000円
(2)補助金確定額
24,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 12,296,250円
人件費・謝金 0円
旅費 2,652,602円
その他 4,328,642円
間接経費 5,769,000円
合計 25,046,494円

備考

備考
自己資金 47,494円

公開日・更新日

公開日
2019-03-18
更新日
-