文献情報
文献番号
201711096A
報告書区分
総括
研究課題名
強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインに関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-045
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
尹 浩信(熊本大学 大学院生命科学研究部 皮膚病態治療再建学分野)
研究分担者(所属機関)
- 浅野 善英(東京大学 医学部附属病院 皮膚科)
- 石川 治(群馬大学 大学院医学研究科 皮膚科学)
- 岡 晃(東海大学 総合医学研究所 分子遺伝学)
- 川口 鎮司(東京女子医科大学 リウマチ科)
- 熊ノ郷 淳(大阪大学 大学院医学系研究科 呼吸器免疫アレルギー内科学)
- 桑名 正隆(日本医科大学 大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野)
- 後藤 大輔(筑波大学 医学医療系 内科)
- 神人 正寿(和歌山県立医科大学 医学部 皮膚科)
- 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部免疫・リウマチ内科学講座)
- 竹原 和彦(金沢大学 医薬保健研究域医学系 皮膚分子病態学)
- 長谷川 稔(福井大学 医学部感覚運動医学講座 皮膚科学)
- 波多野 将(東京大学 大学院医学系研究科 重症心不全治療開発講座)
- 藤本 学(筑波大学 医学医療系 皮膚科)
- 牧野 貴充(熊本大学 医学部附属病院 皮膚科・形成再建科)
- 山本 俊幸(福島県立医科大学 医学部 皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 神人 正寿
所属機関 熊本大学(平成30年4月1日~平成30年6月30日)→和歌山県立医科大学(平成30年7月1日以降)
研究者の変更
<削除>
研究協力者 牧野 貴充(平成30年4月1日~平成30年7月12日)
<追加>
研究分担者 牧野 貴充(平成30年7月13日~現在)
研究報告書(概要版)
研究目的
2004年に厚生労働省強皮症調査研究班により「強皮症における診断基準・重症度分類・治療指針」が作成され、2007年に改訂された。2010年にはEBMに基づいた「全身性強皮症診療ガイドライン」が公表された。欧米の全身性強皮症の診断基準の改定および治療の変化に対応するため、我々は「全身性強皮症・限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」を完成させ、2016年に発表した。我々の策定した全身性強皮症・限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの妥当性を評価し、これらの診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの次回改訂にむけて検討を行う。
研究方法
各疾患、各臓器毎に分担研究者・研究協力者の中からエキスパートを選出し、担当を決定した。班会議、メール会議を頻回に行い、今年度は全身性強皮症の診断基準の検討を行った。さらに限局性強皮症の重症度分類について日常生活動作に基づくスコアリングシステムを新たに策定した。
結果と考察
全身性強皮症の診断基準に関しては臓器毎、各疾患毎に感度・特異度について検証を行った。これまで用いられてきた診断基準によって全身性強皮症と診断された患者について2016年に我々が策定した診断基準に当てはめることにより感度を検討した。また、全身性強皮症と膠原病疾患において新しい診断基準によって全身性強皮症を正確に判定できるか定量的に検証した。
限局性強皮症の重症度分類については、日常生活動作に基づくスコアリングシステム(LoS disability score)を開発し、15歳以上の限局性強皮症患者で評価した。
全身性強皮症の臓器毎、各疾患毎に感度・特異度を担当者ごとに検討し、班会議、メール会議を頻回に行い、我々の策定した診断基準が旧診断基準と比較して全身性強皮症において感度・特異度ともに高いものであった。早期の症例や軽症例についてては症例数が少ないことから、今後も継続して検討を行う必要がある。また、限局性強皮症の重症度分類については、食事・歩行・階段昇降・着替えの4項目につき、ADL障害の有無で簡易に評価できるLoS disability scoreシステムを考案した。本ADL評価システムで解析すると、罹患部位の数と下肢病変の有無がADL低下と有意に関連していた。また、内服加療が選択されている症例は、罹患部位が多いことが分かった。
限局性強皮症の重症度分類については、日常生活動作に基づくスコアリングシステム(LoS disability score)を開発し、15歳以上の限局性強皮症患者で評価した。
全身性強皮症の臓器毎、各疾患毎に感度・特異度を担当者ごとに検討し、班会議、メール会議を頻回に行い、我々の策定した診断基準が旧診断基準と比較して全身性強皮症において感度・特異度ともに高いものであった。早期の症例や軽症例についてては症例数が少ないことから、今後も継続して検討を行う必要がある。また、限局性強皮症の重症度分類については、食事・歩行・階段昇降・着替えの4項目につき、ADL障害の有無で簡易に評価できるLoS disability scoreシステムを考案した。本ADL評価システムで解析すると、罹患部位の数と下肢病変の有無がADL低下と有意に関連していた。また、内服加療が選択されている症例は、罹患部位が多いことが分かった。
結論
新しい全身性強皮症の診断基準に関しては各臓器ともに感度・特異度ともに優れていた。早期例・軽症例については症例数が少ないことから検証が不十分であるが、早期治療が全身性強皮症の治療経過を大幅に改善することからも早期例・軽症例の感度・特異度を高める必要がある。
限局性強皮症の重症度については我々が開発したLoS disability scoreシステムにより簡易に評価することが可能となった。しかしながらADL障害のリスク因子が大きく関連することからこれらの因子について十分な検討が必要である。
限局性強皮症の重症度については我々が開発したLoS disability scoreシステムにより簡易に評価することが可能となった。しかしながらADL障害のリスク因子が大きく関連することからこれらの因子について十分な検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2018-05-14
更新日
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