特発性心筋症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711085A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性心筋症に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-034
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 裕之(九州大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 絹川 真太郎(北海道大学 大学院医学研究院)
  • 久保田 功(山形大学)
  • 下川 宏明(東北大学 大学院医学研究科)
  • 竹石 恭知(福島県立医科大学 医学部)
  • 小室 一成(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 小野 稔(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 福田 恵一(慶応義塾大学 医学部)
  • 吉村 道博(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 磯部 光章(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 室原 豊明(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 山岸 正和(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 木村 剛(京都大学 大学院医学研究科)
  • 坂田 泰史(大阪大学 大学院医学研究科)
  • 北風 政史(国立循環器病研究センター 臨床研究部)
  • 安斉 俊久(北海道大学 大学院医学研究院)
  • 斎藤 能彦(奈良県立医科大学 第一内科)
  • 北岡 裕章(高知大学 医学部)
  • 矢野 雅文(山口大学 医学部附属病院)
  • 塩瀬 明(九州大学 大学院医学研究院)
  • 井手 友美(九州大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
13,014,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 安斉俊久が、平成29年9月1日付で国立循環器病研究センターから 北海道大学へ異動となった。

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は1974年に旧厚生省特定疾患調査研究班として特発性心筋症の疫学・病因・診断・治療を明らかにすべく設立され、その後42年間継続してわが国における本領域での研究の進歩・発展に大きく貢献してきた。本研究では、わが国における心筋症の実態を把握し、日本循環器学会や日本心不全学会と連携して診断基準や診療ガイドラインを改訂・確立し、研究成果を広く診療へ普及させ心筋症の医療水準と患者のQOLの向上に貢献することを目的とする。
具体的には、平成29年度より日本循環器学会循環器疾患診療実態調査(JROAD,JROAD-DPC)や厚労省臨床調査個人票を用いたデータベース構築・解析、心筋症および鑑別が必要な類縁疾患を含む患者データベースの構築を行うとともに、平成30年度以降に予後調査を実施し、予後規定因子の同定などエビデンスの礎を築く。さらに平成29年度よりテレビ会議システムと情報通信技術(ICT)を活用して基幹病院とかかりつけ医とを結ぶ遠隔診療による診療供給体制の構築(DtoD)および在宅管理支援システムを用いたセルフケアなど療養生活環境の整備(DtoP)が、心筋症患者のQOLの向上に資することを検証する。
研究方法
今まで研究班で行ってきた研究を継続するとともに新たなエビデンスを創出する研究として「心筋症患者データベースの構築および解析」および「心筋症患者の診断提供体制の構築および在宅での療養環境整備」を中心に、全体研究、個別研究を推進した。具体的には、「急性・慢性心不全診療ガイドライン」の改訂・作成を行い、「心筋症の診療に関するガイドライン」作成作業を推進した。また、日本循環器学会循環器疾患診療実態調査(JROAD,JROAD-DPC)における心筋症患者データベース、臨床調査個人票を用いた心筋症患者データベースの作成と解析を実施した。さらに、循環器病医療の適正化に資するための全国大規模データベースの構築を開始し、新たなエビデンス創出のための基盤整備を行った。既存の患者データベースを用いた予後(退院後の死亡または心不全による再入院)を予測する因子の同定および古典的予測因子の有用性の検証も行った。さらに、心筋症患者の診断提供体制の構築および在宅での療養環境整備に向けて、ICTを活用したセルフケアシステムの有効性の検証を行った。
結果と考察
I.全体研究
①ガイドラインの作成
研究成果の診療への普及および医療水準向上のため、心筋症関連のガイドラインの策定を行った。特に本年度はこれまで急性心不全と慢性心不全に分かれていた心不全ガイドラインを統合して『急性・慢性心不全診療ガイドライン』を改訂・作成した。
また、『心筋症診療に関するガイドライン』改訂作業を推進した。
②National databaseの構築と解析
日本循環器学会循環器疾患診療実態調査(JROAD,JROAD-DPC)における心筋症患者データベースおよび臨床調査個人票を用いた心筋症患者データベースを用いて、心筋症診療実態および院内死亡の施設側リスク因子についての解析を行った。また、心筋症に関する新たなエビデンス創出のために、循環器病医療の適正化に資するエビデンスの創出のための全国大規模データベースの構築を進めた。さらに、拡張相肥大型心筋症の実態を把握し、心筋症の診断、治療水準の向上を図ることを目的として全国規模でのデータベースの作成を継続した。
③高精度予後予測モデルの開発
わが国における既存の心筋症患者を含めた心不全データベースを用いた欧米の予後(退院後の死亡または心不全による再入院)予測モデルの有用性の検証を行った。
④心筋症患者の診断提供体制の構築および在宅での療養環境整備
慢性心不全患者におけるスマートフォン対応セルフケアサポートアプリの臨床アウトカム改善効果の検証およびICTを用いた植込み型VAD患者の在宅管理の有用性の検討を行った。
II.個別研究
各分担研究者が特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明する研究を行い、進捗状況が班会議で報告された。
III.診療への普及と患者・社会への還元
難病情報センターのホームページを適宜改訂し、特発性心筋症の詳細な情報公開を行った。また、日本心不全学会および日本心臓リハビリテーション学会と連携し、国民との双方向性の情報提供を図るため、市民公開講座を実施した。
結論
全体研究において『急性・慢性心不全診療ガイドライン』を改訂・作成を行うとともに、National databaseの構築と解析を推進した。個別研究において特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明した。心筋症の医療水準と患者のQOLの向上に貢献するための基盤となる成果を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711085Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,917,000円
(2)補助金確定額
16,917,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,091,324円
人件費・謝金 5,232,395円
旅費 2,335,830円
その他 1,463,493円
間接経費 3,903,000円
合計 17,026,042円

備考

備考
自己資金:109,042円

公開日・更新日

公開日
2019-02-21
更新日
-