希少難治性筋疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711081A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性筋疾患に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-030
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部)
  • 林 由起子(東京医科大学 医学部)
  • 小牧 宏文(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 病院臨床研究推進部)
  • 高橋 正紀(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 平澤 恵理(順天堂大学 大学院医学系研究科)
  • 大野 欽司(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 杉江 和馬(奈良県立医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
21,420,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では希少難治性筋疾患として筋チャネル病、先天性筋無力症候群、Schwartz -Jampel症候群、自己貪食空胞性ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRVまたはGNEミオパチー)、眼・咽頭遠位型ミオパチー、三好型ミオパチー、Marinesco-Sjogren症候群、べスレム・ウルリッヒミオパチーを対象として扱ってきた。
研究方法
骨格筋チャネル病では新たなタイプの双方向の患者レジストリRudyを元に日本語版であるRudy Japanの構築を進めた。QOLの調査も行なった。先天性筋無力症候群に関してはCMS既報告31遺伝子ならびに神経筋接合部に高発現の約100種類の遺伝子を候補遺伝子として解析を行った。Schwartz -Jampel症候群ではこれまでに論文などで報告された国外症例の情報と我々が作成したモデルマウスから得た分子病態結果を合わせ、診断基準を見直していく。自己貪食空胞性ミオパチーでは2010年にAVM研究班で国内の専門施設に対して実態調査を行って得たAVM症例の追跡調査を実施した。封入体筋炎については新たな診断基準に基づき患者登録、患者検体の集積およびそれを利用した解析研究を行う。先天性ミオパチーでは各病型頻度を推計した。臨床診断として矛盾しない例も登録対象に含めた。縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーについては過去の症例報告等をもとに疾患概要、疫学、病因・病態、診察・電気生理所見、病理・血清マーカー、治療についてデータを収集した。眼咽頭遠位型ミオパチーは臨床病理診断であり、類似の臨床・病理所見を呈するOPMDを除外する必要があるため、OPMDが除外できている症例を抽出し診療の手引きを作成した。三好型ミオパチーについては次世代シークエンサーを用いた診断も継続して行ってきた。Marinesco-Sjögren症候群に関しては成23年度に実施したMSS患者全国調査、平成29年度実施した患者追跡調査、ならびに既報告論文からMSSの患者登録システム構築に不可欠な要素を抽出した。ベスレム・ウルリッヒミオパチーについては筋レポジトリーにおいてべスレムミオパチーと考えられる例を抽出した。
結果と考察
診断基準の作成については封入体筋炎をはじめとした各対象領域で作成・検証することができている。診断ガイドラインに関しては、全国調査等を通じてその妥当性について検討を続ける。筋チャネル病は孤発性を含む周期性四肢麻痺の原因として遺伝的素因が存在することを支持する結果である。日本のチャネル病患者のQOL研究について、Rudy Japanは、新たな病像や問題点を得るのに有用である可能性がある。先天性筋無力症候群の分子病態研究成果を反映して難病情報センターホームページのCMSの情報を更新した。機械学習法によるミスセンス変異予測ツールは各種遺伝性疾患の病原遺伝子変異の解析に有用であることが期待される。Schwartz -Jampel症候群については臨床情報と合わせ、重症度の異なるパールカン疾患スペクトラムを明らかにし、将来的には、分子病態解明と画期的治療開発を目指す。自己貪食空胞性ミオパチーの2017年に実施した全国調査では、新規を含めDanon病20家系を見出した。先天性ミオパチーは疾患が多岐にわたり、また現時点では病態に即した治療法がない。そのため、治験や臨床研究等の目的に応じた利用が可能なシステムが必要である。縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーは本邦には少なくとも200名以上の患者が確かに存在することが明らかとなっている。アセノイラミン酸の延長試験が継続されている。眼咽頭遠位型ミオパチーに関しては症例の蓄積を続けている。三好型ミオパチーに関しては既に解析した症例で、従来の解析方法で検出できていなかったdysferlin遺伝子や他の筋関連遺伝子での変異が次世代シークエンサーを用いた検討で検出されてきている。Marinesco-Sjogren症候群に関してはレジストリー登録における臨床的特徴をふまえ、かつRemudy先天性筋疾患の患者登録用紙を活用していく。
結論
各疾患に関して、新規患者の診断を行うと共に、診断基準の整備と学会承認、自然歴の調査、レジストリの発展などに寄与してきている。これらの基盤を元に将来的には各疾患において、GNEミオパチーでAMEDの支援を受けて先進しているような臨床試験・治療法開発へとつなげていきたい。そのためには今後も継続した診断・患者調査が必要である。公費負担を含めた社会的支援も重要であり、指定難病制度の実際の運用やレジストリRemudy・Rudyの運営にも協力していく。

公開日・更新日

公開日
2018-10-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-10-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711081Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
27,186,000円
(2)補助金確定額
27,186,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,776,255円
人件費・謝金 3,406,757円
旅費 1,706,133円
その他 2,531,805円
間接経費 5,766,000円
合計 27,186,950円

備考

備考
自己資金950円

公開日・更新日

公開日
2019-02-25
更新日
-