稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711080A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-029
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部 皮膚科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 青山 裕美(川崎医科大学 医学部皮膚科)
  • 秋山 真志(名古屋大学 大学院医学系研究科皮膚病態学)
  • 池田 志斈(順天堂大学 大学院医学研究科皮膚科学・アレルギー学)
  • 石河 晃(東邦大学 医療センター大森病院皮膚科)
  • 岩月 啓氏(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部衛生学講座)
  • 小池 雄太(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野)
  • 澤村 大輔(弘前大学 大学院医学研究科皮膚科学講座)
  • 清水 宏(海道大学 大学院医学研究科皮膚科学教室)
  • 下村 裕(山口大学 大学院医学系研究科皮膚科学分野)
  • 鈴木 民夫(山形大学 医学部皮膚科学講座)
  • 玉井 克人(大阪大学 大学院医学系研究科再生誘導医学寄附講座)
  • 照井 正(日本大学 医学部皮膚科学系皮膚科学分野)
  • 秀 道広(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科皮膚科学)
  • 山上 淳(慶應義塾大学 医学部皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原因不明で治療法が確立していない難治性皮膚疾患に対する医療の基盤を強化するため、各疾患の診断基準・重症度分類基準の策定と普及、疫学調査とデータベースの作成、全国共通で国際的に通用する診療ガイドラインの開発・改訂を目的とする。
研究方法
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 診療ガイドラインの改訂・最適化を行うため、罹患状況の調査、ガイドラインに準拠した天疱瘡の治療成績の評価を行なった。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 薬剤との因果関係を含めた罹患実態および臨床情報の調査を行った。
[膿疱性乾癬] 患者QOL調査を行った。
[表皮水疱症] 最新情報を整理して、診療ガイドライン策定作業を進めた。
[先天性魚鱗癬] 重症度調査票の記載とQOL調査を行った。
[弾性線維性仮性黄色腫] 最新の臨床研究結果をもとにガイドラインを策定した。
[眼皮膚白皮症] レジストリ構築を目的として、患者会との強固な連携体制を築く。
[遺伝性血管性浮腫] 治療内容を記録するレジストリを立ち上げることにより、本邦における疾病と診療の実情を把握した。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 臨床個人調査票データ分析に加えて、健康保険組合のレセプトデータについて検討した。
[生体試料蓄積] 基本的枠組みを生かしつつ、独立行政法人・医薬基盤研究所・難病研究資源バンクと提携しながら生体試料収集を継続した。
結果と考察
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 軽症の自己免疫性水疱症におけるアザチオプリン単剤療法の有用性が示された。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、後天性表皮水疱症を包含した診療ガイドラインを日本皮膚科学会雑誌に発表した。
[膿疱性乾癬] QOL調査では、前回調査に比較して改善されていない項目も多く、新薬および治験を含めた情報提供を継続的に行なって行く必要性が再認識された。
[表皮水疱症] 診療ガイドライン作成に向けて重要な情報を集めるとともに、患者会との連携を強化した。
[先天性魚鱗癬] QOL調査の結果から、重症度とQOL低下との相関が見られたことから、重症度分類の妥当性が示された。
[弾性線維性仮性黄色腫] 診療ガイドラインを日本皮膚科学会雑誌に発表した。今後は、重症度および予後規定因子の解明をめざす。
[眼皮膚白皮症] 患者会との交流を通じて、難病を診療できる皮膚科医の育成、診療ガイドラインの普及の重要性が認識された。
[遺伝性血管性浮腫] レジストリシステムの確立により、より効率的な医療体制の構築をめざしていく。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 今後、臨床調査個人票データとレセプトデータそれぞれの長所を生かした、より網羅的な解析が期待される。
[生体試料蓄積] 現行システムの問題点を整理した。今後は、各施設に集められた情報をデータベース上で容易に把握できるようなシステムの構築が望ましい。
結論
本研究の目的は、稀少難治性皮膚疾患における、1)診療ガイドラインの作成と改訂、2)データベース作成・疫学解析、3)情報提供と社会啓発であり、各疾患群の研究と共通研究課題が協調しながら着実に目標に進んでいる。特に、2015年7月から指定難病となった疾患のうち、類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)、弾性線維性仮性黄色腫の診療ガイドラインを公表できた。表皮水疱症と先天性魚鱗癬においても、診療ガイドライン策定に向けての動きが順調に進んでいる。来年度以降も、ガイドライン最適化、新しい診断法や治療の開発など、臨床に直結する成果を求めるとともに、QOL調査や患者会の支援などを通じて、対象疾患の患者・家族に還元できるような研究活動を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711080Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
26,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,511,772円
人件費・謝金 6,393,825円
旅費 1,355,270円
その他 1,740,461円
間接経費 6,000,000円
合計 26,001,328円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-03-07
更新日
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