先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究

文献情報

文献番号
201711076A
報告書区分
総括
研究課題名
先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-025
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部 臨床遺伝学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 松原 洋一(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・研究所)
  • 森崎 裕子(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会付属榊原記念病院・臨床遺伝科)
  • 増井 徹(慶應義塾大学 医学部 臨床遺伝学センター)
  • 仁科 幸子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・感覚器・形態外科部 眼科)
  • 松永 達雄(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター 聴覚・障害研究室)
  • 小崎 里華(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・生体防御系内科部 遺伝診療科)
  • 青木 洋子(国立大学法人東北大学大学院医学系研究科 遺伝医療学分野)
  • 森山 啓司(国立大学法人東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科)
  • 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター・遺伝科)
  • 大橋 博文(埼玉県立小児医療センター・遺伝科)
  • 古庄 知己(国立大学法人信州大学医学部附属病院・遺伝子医療研究センター)
  • 緒方 勤(国立大学法人浜松医科大学・小児科学講座)
  • 齋藤 伸治(公立大学法人名古屋市立大学・大学院医学研究科)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー中央病院・愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所・遺伝学部)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター研究所)
  • 松浦 伸也(国立大学法人広島大学・原爆放射線医科学研究所)
  • 副島 英伸(国立大学法人佐賀大学・医学部分子生命科学講座)
  • 吉浦 孝一郎(国立大学法人長崎大学・原爆後遺障害医療研究所)
  • 沼部 博直(東京医科大学・遺伝子診療センター)
  • 樋野村亜希子(国立大学法人滋賀医科大学・倫理審査室)
  • 足立 香織(国立大学法人鳥取大学・生命機能研究支援センター)
  • 渡邉 淳(日本医科大学生化学・分子生物学)
  • 加藤 光広(昭和大学医学部小児科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
25,230,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでの研究で策定した[疾患特異的成長手帳(診療の手引き)]について学会・患者会と連携し普及・啓発活動を進める。診断基準・重症度分類・全身管理のチェックポイントを、現場で実運用した結果、修正が望ましい点について洗い出しを行う。軽症者の実態、遺伝子診断の実施状況を検討。特に各症候群の成人期に特異的な合併症の抽出と類型化を行い、現行の重症度基準に成人期に特有な合併症を反映。症状が非典型的である症例について遺伝子診断を補助診断として実施し、変異陽性であった場合疾患概念の拡張・臨床診断基準の修正を行う。先天異常症候群領域において、新たに取り組むべき疾患について診断基準案・重症度分類案を確定する。特に小児慢性特定疾病制度の対象だが指定難病に未指定の疾患について移行期支援の観点から評価する。
研究方法
診断基準や重症度分類の妥当性を検証するとともに未知の合併症について情報収集を進める。特に現行の重症度分類で軽症と判断される患者数等の実態・重症者との比率を明らかにする。遺伝子診断により確定される患者の比率についても明らかにする。集積した合併症データをエビデンスとして、健康管理の為成人を含む年齢別のチェックリスト(疾患特異的成育手帳)を作成・公開し、月齢別・年齢別の診療上の留意点を明示する。早期診断体制,診断困難症例について、研究班内で情報共有を図る。必要に応じて遺伝子診断を行い、変異陽性例の症状幅を明らかにし、そのエビデンスに基づいて診断基準を修正する。診断基準に非典型的な症例について遺伝子診断を行い変異陽性例から、疾患概念の拡張、臨床診断基準の拡張と修正を行い、感度・特異度の向上を図る。個別の疾患の診断基準の特異度・感度等の評価方法を強化する。主要症状を世界標準の標準化形式(Human Phenotype Ontology,以下HPO)で記述し、HPOをNTO( Normalized Term Overlap)法等の数学的手法を用いて症例間比較の定量的評価を行う。
結果と考察
[結果]診断基準や重症度分類:対象の51疾患について、現行の診断基準の妥当性を検証するとともに未知の合併症について情報収集した。小児例及び小児期に診断され、継続して医療機関を受診している成人患者の現状把握と成人期特有の合併症についても情報収集を行った。疾患特異的成長手帳:集積した合併症データをエビデンスとして、健康管理のための年齢別のチェックリストを作成・公開し、月齢別・年齢別の診療上の留意点を明示した。特に成人後の問題点の検討を進めた。この手帳は、2018年1月に開催された日本小児遺伝学会で会員に配布した。現在担当医・患者・家族からのフィードバックを集積している。早期診断体制:診断困難症例について、研究班内で情報共有を図ることを心がけた。軽症例や非典型症例については遺伝子診断を利用した。遺伝子診断の実施については、臨床ゲノム情報統合データベース事業と連携し、早期診断を可能とする体制を形作った。非典型症例:診断基準に非典型的な症例について遺伝子診断を行った。次年度以降もこれを継続し、変異陽性の非典型例を集積する。非典型例で遺伝子変異を認めない場合には、AMED「未診断疾患イニシアチブ」と連携し、網羅的な遺伝子診断による疾患原因の究明を進めた。定量的症例間比較の検討:今年度は対象となる51疾患の患者の診療において患者の症状をHPOで表現し、これを疾患ごとに集積した。さらに既存の診断基準をHPOを用いてリスト化したのち、NTO法等を用いて他の稀少疾患との鑑別について評価した。先天異常症候群領域の疾患群について、各疾患の症状をHPOの形式を用いて表現型の蓄積を行なった。次年度集積する情報と合わせて、定量的症例間比較の基礎データとする。[考察]51疾患について昨年度までに作成した疾患特異的成育手帳を配布し、日常診療での活用を促した。また、本研究班で作成した診断基準・重症度分類についても見直しを開始した。非典型例や診断困難な症例については遺伝子検査を補助診断として実施した。診断のついた症例について症状をHPOを用いて集積した。疾患ごとにHPOを用いた表現型を蓄積し、次年度以降の情報と合わせて定量的症例間比較の基礎データとすることが可能と考えられた。
結論
対象となる51疾患について診断基準・重症度分類の見直しを開始した。小児患者のみでなく成人患者についても情報収集を行い、年齢特異的な合併症を収集することができた。診断困難例・非典型例については遺伝子解析を補助診断として利用した。症状の幅が広い可能性が示された。また、HPOを用いた症状の集積を疾患ごとに継続して行なった。定量的症例間比較を実施すべくこの情報を基礎データとしてデータベース構築に向けた情報の類型化を行った。

公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711076Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,999,000円
(2)補助金確定額
30,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,161,942円
人件費・謝金 2,373,994円
旅費 4,319,492円
その他 11,391,703円
間接経費 5,769,000円
合計 31,016,131円

備考

備考
補助金確定額と支出合計の差異は、自己資金:17,129円、利息:2円 

公開日・更新日

公開日
2019-03-18
更新日
-