自己炎症性疾患とその類縁疾患の全国診療体制整備、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究

文献情報

文献番号
201711071A
報告書区分
総括
研究課題名
自己炎症性疾患とその類縁疾患の全国診療体制整備、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-020
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
平家 俊男(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 西小森 隆太(京都大学 大学院医学研究科 )
  • 八角 高裕(京都大学 大学院医学研究科 )
  • 高田 英俊(九州大学 大学院医学研究院)
  • 伊藤 秀一(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 大西秀典(岐阜大学 医学部附属病院)
  • 井田 弘明(久留米大学 医学部)
  • 神戸 直智(関西医科大学 医学部)
  • 金澤 伸雄(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 上松 一永(信州大学 医学研究科)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 河合 利尚(国立成育医療センター・生体防御系内科部免疫科)
  • 武井 修治(鹿児島大学 学術研究院医歯学域医学系)
  • 右田 清志(公立大学法人福島県立医科大学・医学部)
  • 宮前多佳子(東京女子医科大学 医学部附属膠原病リウマチセンター)
  • 金兼 弘和(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学校 医学教育部医学科)
  • 今井 耕輔(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 有賀 正(北海道大学 医学研究院)
  • 笹原 洋二(東北大学 大学院医学系研究)
  • 小林 正夫(国立大学法人広島大学 大学院医歯薬保健学研究)
  • 森 臨太郎(国立成育医療研究センター 研究所政策科学研究部)
  • 小原 收(公財法人かずさDNA研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己炎症性疾患は、自然免疫関連遺伝子異常を主たる原因とし、全身炎症や多臓器障害を呈する稀少疾患群である。H26-28年度“自己炎症性疾患とその類縁疾患の診断基準、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究”班の事業により、1)自己炎症性疾患診療体制整備、2)患者登録システムの推進、3)診療ガイドライン作成、4)重症度分類作成、を行った。この期間内において抗IL-1療法などの新規治療法が保険承認され、今後その長期的な有効性と安全性の再評価が必要となっている。また自己炎症性疾患の新規責任遺伝子としてマクロファージ活性化症候群を反復するNLRC4異常症、若年性多発血管炎を発症するADA2欠損症、Behcet病様症状を呈するA20ハプロ不全症、ユビキチン化異常による炎症を呈するLUBAC関連異常症などが同定された本邦でもその罹患患者が確認され、既存治療に抵抗性で標準的な治療法が確立しておらず生活の質は著しく低下している。さらに自己炎症性疾患の診断には高度な遺伝子解析と専門家診断が必要であるが、対応可能な施設は限られており、地域による偏在が問題となっている。
本研究班の目的は、自己炎症性疾患の診療体制を確立させ、・患者登録システムを発展させるとともに、新規自己炎症性疾患の診療ガイドライン/フローチャートを作成することで、質の高い医療の国民に提供することである。
研究方法
本研究では前研究班で構築した体制を活用して、残存する問題点に対応すべく、診療体制・患者登録システムを発展させ、新規疾患を含めた診療ガイドライン・重症度分類の作成・改訂を行う。研究期間の3年間で全国の診療体制を整備し、保険収載・未収載ともに対応可能な遺伝子診断体制の整備を行う。また自己炎症性疾患WEBサイトを更新し、新規疾患を含めて最新知見の啓発行う。さらに新規疾患を含めて患者登録を発展させ、集積したエビデンスを反映させ、診療ガイドライン・重症度分類の新規作成・改訂を行う。
結果と考察
1)自己炎症性疾患の診療体制改善
自己炎症性疾患において重要な位置を占める遺伝子検査体制を確立させた。代表者機関および一部の分担施設において、保険診療による遺伝子検査を開始した。他の分担施設においても順次、遺伝子検査を開始する予定である。CAPS、MKD、PAPAの遺伝子検査が保険収載され、その後、NLRC4異常症、ADA2欠損症、A20ハプロ不全症、ADA2欠損症の遺伝子検査も検査可能となった。代表者機関である京都大学において、実際の運用を開始しており、問題なく遺伝子検査が行われている。分担者施設においても順次、各施設における倫理申請を開始している。これによって、自己炎症性疾患の遺伝子検査体制が全国的に広がりつつある。また保険収載はされていない、自己炎症性疾患の遺伝子検査についても検査体制が整い、京都大学をはじめとする機関において実際の運用を開始している。遺伝子検査の結果解釈およびそれを踏まえた診療方針について疾患専門家と連携できる体制を整備中である。
2)患者登録システム
前研究班から引き続き、本邦における自己炎症性疾患患者登録を行っている。今年度も患者登録を行った。平成30年2月の班会議において、患者登録を加速させるために、PIDJのデータを活用することを確認した。また全国調査も行うことが検討された。
3)診療ガイドライン/フローチャート
平成29年6月の班会議において、各疾患担当者の決定を行い、新規自己炎症性疾患(エカルディ・グティエール症候群、HOIL1欠損症、HOIP欠損症、OTULIN異常症、NLRC4異常症、ADA2欠損症、A20ハプロ不全性)の診療フローチャート作成について議論を行い、作成方法等についての確認を行った。その後、各疾患担当者を中心に、新規自己炎症性疾患の診療フローチャートを作成した。2019年2月の班会議において、作成した診療フローチャートについて発表を行い、疾患担当者以外の研究分担者からの意見を集約し、診療フローチャートの改訂をおこなった。
最新の自己炎症性疾患関連情報を提供するためのWEBサイトも順次、改訂中である。
結論
平成29年度においては、遺伝子検査体制を確立させ、代表者機関および一部の地域拠点病院において遺伝子検査を開始することができた。また、新規自己炎症性疾患(エカルディ・グティエール症候群、HOIL1欠損症、HOIP欠損症、OTULIN異常症、NLRC4異常症、ADA2欠損症、A20ハプロ不全性)の診療フローチャートを作成することができた。患者登録事業の推進中である。

公開日・更新日

公開日
2018-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-28
更新日
2018-06-13

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711071Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
26,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,476,255円
人件費・謝金 1,056,280円
旅費 4,311,747円
その他 3,156,531円
間接経費 6,000,000円
合計 26,000,813円

備考

備考
うち自己資金813円

公開日・更新日

公開日
2019-03-19
更新日
-