非癌、慢性炎症性リンパ節・骨髄異常を示すキャッスルマン病、TAFRO症候群その類縁疾患の診断基準、重症度分類の改正、診断・治療のガイドラインの策定に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711070A
報告書区分
総括
研究課題名
非癌、慢性炎症性リンパ節・骨髄異常を示すキャッスルマン病、TAFRO症候群その類縁疾患の診断基準、重症度分類の改正、診断・治療のガイドラインの策定に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-019
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
吉崎 和幸(大阪大学 産業科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 水木 満佐央(大阪大学 医学部附属病院)
  • 青木 定夫(新潟薬科大学 薬学部)
  • 川端 浩(金沢医科大学)
  • 正木 康史(金沢医科大学)
  • 中村 栄男(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 小島 勝(獨協医科大学 医学部)
  • 中塚 伸一(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター)
  • 矢野 真吾(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 宇野 賀津子((公財)ルイ・パストゥール医学研究センター・基礎研究部)
  • 石垣 靖人(金沢医科大学・総合医学研究所)
  • 井出 眞(高松赤十字病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
稀少病の、キャッスルマン病(CD)、TAFRO症候群(TAFRO)は医師ですら認知度が低く、類縁疾患のIgG4関連疾患(IgG4-RD)あるいはPOEMS症候群等との鑑別も容易ではない。本研究は早期に正しい診断が出来る、身近な医療機関で適切な医療を受けられる体制を構築し、患者支援することを目的とする。このため患者数の把握、診療実態の把握を行い、診断基準を決定し、診療ガイドラインを策定し、治療アルゴリズムを確立する。このことにより、患者に最適な有効治療の提供を期待する。
研究方法
1.CD、TAFROの患者数(岡本、水木、角田):拠点病院及び関連施設、更に血液学会やリウマチ学会の会員に対するアンケート調査を行なう。
2.CD、TAFROの拠点病院構想(矢野、塚本、瀬戸口、山本(洋)、上田):連携施設約113施設を特定する。
3.CD指定難病承認(吉崎、岡本、川端、正木、川上):2017年10月に指定難病検討委員会に申請した。
4.患者会への支援(吉崎、岡本、川端、松井、高井、藤原、徳嶺、水谷):入会援助と共に勉強会、講演、治療相談に応じる。
5.CD、TAFROの診断基準、診療ガイドライン、重症度分類の策定(川端、岡本、正木、青木、中塚、小島、吉崎):新たなエビデンスを得るため継続的に症例を検討し、治療経過からエビデンスを得る。
6.CD、TAFROの病理診断基準の決定と病理中央診断センターの設立(中村、小島、中塚、黒瀬):TAFROとCDの相異を検討する。病理中央診断センターを設立し、病理診断を最終確定とする。
7.国際CD病臨床ネットワーク(Castleman Disease Collaborative Network(CDCN))との協力(吉崎、井出、水木、村山):海外へのサンプル、情報流出の問題を解決する。
8.CD、TAFROとその類縁疾患であるIgG4-関連疾患及びPOEMS症候群との異同を検討(青木、川端、正木、黒瀬、小島、高井、石垣、松井、瀬戸口、生島、鬼頭、吉崎):班会議で特別検討会を開催する。
9.難治性疾患実用化研究事業との連携(吉崎、村山、川端、正木、川上、古賀、角田、小島、宇野、黒瀬、小安、松田、新納):AMED研究事業として第1は、mTOR阻害のRapamycin による治療薬の開発。第2は、診療参照ガイドを信頼性の高いガイドラインにするため、病因、病態を解析し、新たなエビデンスを得る。
結果と考察
1.平成30年4月から「キャッスルマン病」が指定難病となり、患者は顕在化し増加が見込まれる。
2.地域連携医療施設は100施設を越えた。本研究班の拠点病院の名称を「キャッスルマン病診療地域中核病院(案)」に変更する。
3.平成29年11月に指定難病検討委員会で331番目として承認された。
4.患者教育、個別指導、講演を担当した。昨年からTAFROの患者が参加し、講演も行った。
5.信頼性の高い診療ガイドライン策定に向う
6.病理中央診断センターを設立し、診断提供システムを構築する。
7.CDCNの中核として活動した。
8.班会議でCD、TAFRO、IgG4-RD、POEMS総合討論が催された。IgG4-RD班から川野充弘先生(研究協力者)、POEMS班から中世古知昭先生が、話題提供を行った。今後臨床、病態、病理についての合同検討会を開催する。
9.ラパマイシンによる治療を提案し、AMEDへ医師主導による治療研究を申請予定した。病態にmTORシグナルの関与が示唆されたので、新納宏昭先生、小安重夫先生、松田達志先生の参加を得た。
結論
従来の疾患別研究としての継続研究に加えて、領域別研究として、CD、TAFRO、その類縁疾患を総合的にとらえて各疾患の相同、相異を検討し、適切な鑑別診断が可能とする研究を開始した。
1.患者数については、倫理委員会の許可が得られたので、疫学調査を通して推定する。
2.拠点病院構想はほぼ確定した。
3.キャッスルマン病が指定難病として331番目に追加された。このことにより、患者に対して経済的に恩恵が与えられ、認知度の向上につながる。
4.患者会の毎年の援助を行った。
5.診療参照ガイドが策定され、関連学会の血液学会、リウマチ学会に承認された。
6.病理中央診断センターの確立をスタートした。
7.国際診断基準、治療アルゴリズム策定に関与した。診断基準がBloodに掲載された。
8.CDとTAFRO及び、IgG4-RD、POEMSの総合討論会を班会議にて行った。特にIgG4-RD班および、POEMS班から専門医による話題提供があった。
9.難治性疾患実用化研究事業としてIL-6阻害剤の欠点を補う新しい治療法の開発を、また、新しいエビデンスに基づいた診療ガイドライン等の策定を目指す。

公開日・更新日

公開日
2018-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711070Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
4,998,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,341,471円
人件費・謝金 1,062,926円
旅費 1,145,880円
その他 295,197円
間接経費 1,153,000円
合計 4,998,474円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-19
更新日
2019-02-19