小児期から移行期・成人期を包括する希少難治性慢性消化器疾患の医療政策に関する研究

文献情報

文献番号
201711066A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期から移行期・成人期を包括する希少難治性慢性消化器疾患の医療政策に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-015
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
田口 智章(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松藤 凡(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 武藤 充(鹿児島大学 医歯学総合研究科)
  • 中島 淳(横浜市立大学 医学研究科)
  • 曹 英樹(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター 小児外科)
  • 金森 豊(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部)
  • 小幡 聡(九州大学 大学病院)
  • 吉丸 耕一朗(九州大学 大学病院)
  • 家入 里志(鹿児島大学 学術研究院医歯学域医学系)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
  • 内田 恵一(三重大学 医学部附属病院 医療福祉支援センター)
  • 位田 忍(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター 消化器・内分泌科)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学 医学部奈良病院)
  • 土岐 彰(昭和大学 小児外科)
  • 米倉 竹夫(近畿大学 医学部奈良病院)
  • 工藤 孝広(順天堂大学 医学部)
  • 新井 勝大(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 器官病態系内科部消化器科)
  • 水落 建輝(久留米大学 医学部)
  • 虻川 大樹(宮城県立こども病院 総合診療科)
  • 大賀 正一(九州大学 大学院医学研究院)
  • 田尻 達郎(京都府立医科大学 医学(系)研究科(研究院))
  • 臼井 規朗(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター 小児外科)
  • 藤野 明浩(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部 外科)
  • 木下 義晶(九州大学 大学病院)
  • 野坂 俊介(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 放射線診療部)
  • 八木 実(久留米大学 医学部・大学病院)
  • 川原 央好(浜松医科大学 小児外科)
  • 越永 從道(日本大学 医学部)
  • 渕本 康史(慶應義塾大学 医学部)
  • 伊崎 智子(九州大学 大学病院)
  • 尾花 和子(埼玉医科大学 小児外科)
  • 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
  • 渡邉 聡明(東京大学 腫瘍外科・血管外科)
  • 盛一 享徳(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・研究所 小児慢性特定疾病情報室)
  • 奥山 宏臣(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 北岡 有喜(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター  臨床研究センター)
  • 小田 義直(九州大学 大学院医学研究院)
  • 中澤 温子(中川 温子) (埼玉県立小児医療センター 臨床研究部)
  • 義岡 孝子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 病理診断部)
  • 中島 直樹(九州大学 大学病院)
  • 上野 豪久(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 和田 基(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 松浦 俊治(九州大学 大学院医学研究院)
  • 玉井 浩(大阪医科大学 小児科)
  • 楠田 聡(東京女子医科大学 院長室)
  • 和田 和子(地方独立法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター 新生児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
17,138,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児期から移行期・成人期にまたがる希少難治性消化管疾患の多くが、指定難病の4条件を満たすものの難病や小慢に指定されてない、登録システムなどの体制整備に至っていない等種々の問題を抱えている。本研究は、上記に該当する10疾患について、難病指定疾患は登録システムやコンサルテーションシステムの整備、小慢指定・難病未指定の疾患は難病指定に向けた要件の整備、いずれも未指定のものは全国調査による現状の把握と診療のてびき等の作成といった、疾患の啓発と情報提供を目的とする。
研究方法
疾患ごとに疾患横断的なグループが検証を行う。関連7学会の代表すべてを分担研究者とし、悉皆性の高い調査と情報交換が行える体制を構築する。疾患グループの状況に応じて、以下の作業を進める。
-全国調査の実施
-疾患概要、診断基準、重症度の整備
-診療ガイドライン作成および改訂
-疾患登録と長期フォローアップ体制の構築
-国際研究体制の構築
結果と考察
(1)ヒルシュスプルング病類縁疾患:H類縁(指定難病)松藤、田口、松藤、武藤、中島淳、曺、金森、吉丸
昨年度作成した診療ガイドラインを、主たる学会での承認を経てHP上で公開。印刷物(書籍)として刊行予定である。国外へ発信するため、本ガイドライン英訳をHP上に公開すると同時に、ガイドライン要約の英文をPediatrics Internationalに報告した。

(2)ヒルシュスプルング病:H病(指定難病)家入、田口、小幡
全国調査二次調査まで終了し詳細な解析を行なった。この解析結果を元にガイドライン作成へ向けたCQ・ SCOPEを作成しSRを行った。

(3)乳幼児巨大肝血管腫(指定難病)黒田
先行研究における文献検索やSRの実際を勘案し、新規にCQ案をまとめて新たなSCOPEを起草した。新規CQ案において診断・治療・長期予後の3大項目を建てた。ガイドライン策定に向けて活動を進める。

(4)非特異性多発性小腸潰瘍症(指定難病)内田
本邦における臨床像や治療の実態調査を行った(全4症例)。2例でSLCO2A1遺伝子異常が明らかとなり、英文雑誌に報告した。また、成人症例も合わせて集積した論文を英文雑誌に報告した。

(5)難治性下痢症(指定難病・小慢 未指定混在)位田、虫明、土岐、米倉、工藤、新井、水落、虻川、大賀、友政、柳、竹内
全国集計結果に基づき小慢における分類の見直しに関する提言を行った。診療ガイドライン作成にむけて「難治性下痢症診断アルゴリズム」を作成。病因・病態、鑑別疾患に関する情報や、アルゴリズムに入らない8疾患について診断の指針となる解説を加えた。いずれにも該当しないものを「特発性難治性下痢症」と定義した。

(6)仙尾部奇形腫(小慢)田尻、臼井
平成26年から28年の間に作成した診療ガイドラインについて、関連学会・研究会で発表し広報に努めた。ガイドライン英文化のため原稿作成中である。

(7)腹部リンパ管疾患(小慢)藤野、木下、野坂、森川
先行研究を引き継ぎ多角的な研究を進めた。研究期間内に、治療・管理について臨床上重要な指標を見出し、データを公表する見込みである。結果として、リンパ管腫は臓器を問わず小慢に認定された。

(8)胃食道逆流症(未指定)八木、川原
 全国調査に先立ち、調査票作成に向けて調査内容検討を繰りかえした。難治性GERDの定義について意見が別れたため、主要施設に難治性GERDについての意見を求める事前調査を行った。

(9)先天性食道閉鎖症(未指定)越永
全体班会議で調査対象および調査項目の提案を行った。その結果、①病型別の治療成績、②根治術時期による長期治療成績(長期合併症)、③根治術式別の長期治療成績(長期合併症)④経験症例数別(施設別)の治療成績、⑤予後不良症例の詳細な情報、を明らかにし、さらに⑥現在の就学状況を調査することになった。

(10)高位・中間位鎖肛(未指定)渕本、伊崎
小児期から成人期を含む実態調査と疾患概要・診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの整備を目標として、調査の対象と方法について全体班会議で提案し意見交換を行った。
結論
研究対象10疾患のうち、2疾患(H類縁、仙尾部奇形腫)はガイドライン完成、1疾患(H病)はガイドライン作成が順調に進行、1疾患(難治性下痢症)は小慢の疾患分類見直しに関する提言と診断アルゴリズムを完成、2疾患(乳幼児巨大血管腫、腹部リンパ管腫)は先行ガイドライン研究班(血管腫リンパ管腫ガイドライン作成研究班)と共同でガイドライン作成を進めている。非特異性多発性小腸潰瘍症は小児症例数が少なく、成人研究班と連携し遺伝子解析と英文論文発表を行った。新規3疾患(胃食道逆流症、食道閉鎖症、高位・中間位鎖肛)は全国調査の準備として、調査票作成や論理委員会の承認などを順調に進めている。

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711066Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,279,000円
(2)補助金確定額
21,955,000円
差引額 [(1)-(2)]
324,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,165,103円
人件費・謝金 3,354,180円
旅費 5,816,985円
その他 3,477,901円
間接経費 5,141,000円
合計 21,955,169円

備考

備考
324,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2019-02-14
更新日
-