原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201711064A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-013
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
野々山 恵章(防衛医科大学校 小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 英俊(九州大学大学院医学研究院周産期・小児医療学)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究院小児科学教室)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野)
  • 村松 秀城(名古屋大学医学部附属病院小児科)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学医薬保健研究域医学系小児科)
  • 平家 俊男(京都大学大学院発達小児科学講座)
  • 小林 正夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究科小児科学)
  • 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究所創薬技術開発室)
  • 峯岸 克行(徳島大学先端酵素学研究所プロテオゲノム研究領域免疫アレルギー学分野)
  • 小野寺 雅史(国立成育医療研究センター研究所成育遺伝研究部)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所技術開発研究部)
  • 大西 秀典(岐阜大学医学部付属病院小児科)
  • 堀内 孝彦(九州大学病院別府病院内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性免疫不全症候群は稀少難病であり、かつ300種類以上の疾病がある。本研究では、疾病ごとの診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを策定、遺伝子診断体制の確立、患者レジストリへの登録、患者向け勉強会の開催を行い、適切な診断、診療による難病診療レベルの向上、患者QOL向上、難病支援策の構築に貢献する事を目的とした。
研究方法
国際免疫学会(International Union of Immunological Societies, IUIS)の原発性免疫不全症候群は300以上の疾病を原発性免疫不全症候群として分類している。この中から、平成29年度は、12疾病の診療ガイドラインを策定した。12疾病は国際免疫学会により原発性免疫不全症候群と分類された疾病から、分類ごとに代表的な疾病を選んだ。診療ガイドライン案の策定方法は、各疾病の専門家が論文、国際的な診療ガイドラインを参考にし、さらに本研究班で構築したデータベースPrimary Immunodeficiency Database in Japan (PIDJ)に保存されているデータも活用した。システマティックレビューも可能な限り行った。FACSを用いた新規診断法や次世代シークエンサーを用いた迅速かつ網羅的な診断法を確立し、診療ガイドラインに反映した。
策定した診療ガイドライン案を、班会議の研究代表者および研究分担者全員により検討し承認した。診療ガイドラインに活用できる研究も合わせて行った。
結果と考察
1)診療ガイドラインの策定
300以上の疾病を含む原発性免疫不全症候群を、指定難病では国際免疫学会の分類に準拠して1)複合免疫不全症、2)免疫不全を伴う特徴的な症候群、3)液性免疫不全を主とする疾患、4)免疫調節障害、5)原発性食細胞機能不全症および欠損症、6)自然免疫異常、7)先天性補体欠損症に細分類している。平成29年度は、7細分類ごとに12疾病を選び、診療ガイドラインを策定した。策定した12疾病とその細分類は以下の通りである。

1)複合免疫不全症
  X連鎖重症複合免疫不全症
  アデノシンデアミナーゼ (ADA) 欠損症
2)免疫不全を伴う特徴的な症候群
  ウィスコット・オルドリッチ(Wiskott-Aldrich)症候群
  Bloom症候群、
  胸腺低形成(DiGeorge症候群, 22q11.2欠失症候群)
  高IgE症候群
3)液性免疫不全を主とする疾患
  X連鎖無ガンマグロブリン血症
4)免疫調節障害
  自己免疫性リンパ増殖症候群 (ALPS)
5)原発性食細胞機能不全症および欠損症
  重症先天性好中球減少症、慢性肉芽腫症
6)自然免疫異常
  免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症
7)先天性補体欠損症

2)遺伝子診断体制の確立
原発性免疫不全症候群の原因となる162遺伝子を遺伝子解析する体制を構築した。754症例の解析を行い、総解析遺伝子数は15,662遺伝子になった。本研究班による遺伝子解析体制により、紹介のあった症例の30%で診断を確定できた。

3)患者登録
全国から患者紹介を受け、FACS解析、遺伝子解析を行い、本研究班が構築した原発性免疫不全症候群患者データベースPrimary Immunodeficiency Database in Japan(PIDJ)に確定診断名、臨床データ、解析データを登録した。生体試料保存も行った。1,056人が新規登録され、PIDJ構築を行った平成9年からの累計で5,067例の患者が登録された。

4)患者向け勉強会
平成29年5月28日に患者家族会であるPIDつばさの会総会で、勉強会(特別医療講演会、個別医療相談会)を行った。
結論
原発性免疫不全症候群のうち12疾患について診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを策定した。原発性免疫不全症候群診療レベルの国内での均てん化及び向上に活用できると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711064Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,000,000円
(2)補助金確定額
25,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 15,483,134円
人件費・謝金 3,673,592円
旅費 3,119,030円
その他 2,731,017円
間接経費 0円
合計 25,006,773円

備考

備考
自己資金 6,773円

公開日・更新日

公開日
2019-03-01
更新日
-