血液凝固異常症等に関する研究

文献情報

文献番号
201711063A
報告書区分
総括
研究課題名
血液凝固異常症等に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-012
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
村田 満(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨山 佳昭(大阪大学 医学部附属病院)
  • 桑名 正隆(日本医科大学 大学院医学研究科)
  • 羽藤 高明(愛媛大学 医学部附属病院)
  • 松本 雅則(奈良県立医科大学 医学部)
  • 宮川 義隆(埼玉医科大学 医学部)
  • 小亀 浩市(国立循環器病研究センター 分子病態部)
  • 南学 正臣(東京大学 医学部附属病院)
  • 香美 祥二(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
  • 森下 英理子(金沢大学 医薬保健研究域保健学類病態検査学)
  • 津田 博子(中村学園大学 大学院栄養科学研究科)
  • 小嶋 哲人(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 小林 隆夫(公益財団法人浜松市医療公社 浜松医療センター)
  • 大賀 正一(九州大学 医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
15,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患政策研究事業として、血液凝固異常と関連する4疾患、すなわち特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)について、エビデンスに基づいた全国共通の診断基準・重症度分類の作成や改正、診療ガイドライン等の確立や改正及び普及などを目的とした。
研究方法
4疾患について、それぞれのサブグループに分かれて課題に取り組むとともに、グループ間の相互議論を活発に行うことによって、(1)分子病態に基づいた診断基準、治療指針の確立/普及およびその効果の検証、改正、(2)大規模な疫学的解析による我が国での発症頻度、予後の把握と治療の標準化などを図った。<ITP>疫学研究に関しては特定疾患治療研究事業の対象疾患にともなって毎年行われるITP臨床個人調査票を基に、新規発症症例数、更新症例数、発症年齢、性、分布、さらには罹病期間、治療内容、合併症、現在のQOL,等を解析した。さらにITP臨床個人調査表の改訂作業を計画した。<TTP>TMAレジストリーの継続、ADAMTS13遺伝子解析の継続、ADAMTS13検査の保険適用の取得、リツキシマブの後天性TTPへの保険適用拡大、後天性TTPに対する血漿交換の回数制限の変更、TTP診療ガイドラインの改定、を行った。<aHUS>aHUSコホート研究、蛋白質学的解析、遺伝学的解析、genotype-phenotypeの関連性解析、が行われた。研究班ではaHUS診断のための体系的な検査体制を構築しており、本邦最大のaHUS患者コホートを有する唯一の組織である。aHUSのデータの集積を継続し、得られた知見をもとに本邦独自のaHUS診療ガイドラインを作成する。<特発性血栓症>「先天性血栓性素因患者の診療ガイドライン」の策定、「先天性血栓性素因患者の周術期診療ガイドライン」の策定、「妊娠合併先天性血栓性素因患者の診療ガイドライン」の策定、を目指した。
結果と考察
平成29年度は3年計画の1年目として、診断基準の改定、診療ガイドの改訂、指定難病検討資料の作成、臨床情報に基づく病態解明に注力した。また臨床的有用性の高いデータベース化システムの構築、そして新しい体外診断薬の開発や検証、新規治療の検証と保険適応へ向けての検討を班全員の参加のもとに行った。研究結果は執筆活動や市民公開講座を行うことにより、その啓発に努めた。疫学研究については特定疾患治療研究事業の対象疾患にともなって毎年行われるITP臨床個人調査表を基に、平成17年度から26年度の10年間におけるITPの実態を調査把握した。血栓性血小板減少性紫斑病については、レジストリーの継続、ADAMTS13遺伝子解析の継続、ADAMTS13検査(活性とインヒビター)の保険適用の取得、リツキシマブの後天性TTPへの保険適用拡大、後天性TTPに対する血漿交換の回数制限の撤廃、TTP診療ガイドラインの改定、を計画として設定した。aHUSについては日本国内のaHUS症例の疫学的・蛋白質学的・遺伝学的解析を通して、本研究班独自のaHUS診療ガイドラインを作成することを目指した。特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)は平成29年4月より厚労省の指定難病として認定されたばかりであることから、全国の症例数や実態把握は取り組むべき課題である。先天性血栓性素因患者の診療ガイドラインの策定、先天性血栓性素因患者の周術期診療ガイドラインの策定、妊娠合併先天性血栓性素因患者の診療ガイドラインの策定、を目指した。当研究班の活動はホームページに公開されている。http://ketsuekigyoko.org/index.html
結論
研究期間に疫学調査、診断基準や診療参照ガイド作成において成果を充分にあげることができた。ITPについてはこれら実績を踏まえ、検査の開発ならびに標準化、それらの保険収載などに引き続き取り組む必要がある。TTP及びaHUSについては、症例集積は順調に継続しており、ADAMTS13遺伝子や補体遺伝子の解析も継続している。重要な目標であったADAMTS13活性とインヒビターの保険適用については、日本血液学会を通じて提案し平成30年度4月から保険適用となった。今後臨床調査個人票の活用により疾患調査が進むものと思われる。また特発性血栓症については今後は全国実態調査の計画や、蓄積された症例のデータや欧米の論文報告や指針などを参考にして、ガイドライン策定に向けての準備を行う。また、全国の解析ネットワークを拡充、血栓傾向を正確に評価するための凝固機能測定法の確立、また有効な抗凝固療法、補充療法の検討、更には肝細胞移植療法などを含めた新規根治療法の開発に向けて取り組む。

公開日・更新日

公開日
2018-05-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711063Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,296,972円
人件費・謝金 686,000円
旅費 5,316,993円
その他 5,085,643円
間接経費 4,615,000円
合計 20,000,608円

備考

備考
自己資金 606円
利息 2円

公開日・更新日

公開日
2019-03-07
更新日
-