稀少てんかんに関する調査研究

文献情報

文献番号
201711061A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少てんかんに関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-010
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
井上 有史(独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 浜野 晋一郎(埼玉県立小児医療センター 神経科)
  • 林 雅晴(淑徳大学 看護栄養学部)
  • 廣瀬 伸一(福岡大学 医学部)
  • 本田 涼子(長崎医療センター 小児科)
  • 池田 昭夫(京都大学 医学系研究科)
  • 今井 克美(静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
  • 神 一敬(東北大学大学院 てんかん学分野)
  • 嘉田 晃子(名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 柿田 明美(新潟大学 脳研究所)
  • 加藤 光広(昭和大学 小児科)
  • 川合 謙介(自治医科大学 医学部)
  • 小林 勝弘(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 松石 豊次郎(聖マリア病院 小児総合研究センター)
  • 松尾 健(東京都立神経病院 脳神経外科)
  • 青天目 信(大阪大学 医学系研究科)
  • 岡本 伸彦(大阪母子医療センター 遺伝診療科)
  • 小国 弘量(東京女子医科大学 小児科)
  • 奥村 彰久(愛知医科大学 医学部)
  • 齋藤 明子(名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 白石 秀明(北海道大学 小児科)
  • 白水 洋史(西新潟中央病院 臨床研究部)
  • 須貝 研司(国立精神・神経医療研究センター 小児神経診療部)
  • 菅野 秀宣(順天堂大学 脳神経外科学)
  • 高橋 幸利(静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
  • 山本 仁(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
17,227,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成26~28年度厚生労働科学研究費「希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究」で構築した疾患レジストリを継続し、また新たなデータベースを立ち上げ、他のレジストリと連携しつつ、指定難病および類縁疾患について診断基準、重症度分類、診療ガイドラインの改訂・策定を学会等と協力して行い、他研究事業および他研究班と連携しながら研究基盤の整備に協力し、さらに、指定難病の運用状況・利用状況を調査し、円滑な移行医療を長期的にサポートできるシステム作りに貢献する。教育・啓発活動を学会等の関連機関や患者団体と連携して行い、また難病情報センター等と協力して情報提供につとめ、地域における難病ケアに協力する。
研究方法
てんかんが主症状である22の担当指定難病(132, 135, 136, 137, 138, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 152, 154, 155, 157, 309)の疾患概要、診断基準、重症度分類、臨床調査個人票を検証した。重症度判定で非該当とされた難病患者(軽症例)の頻度、重症該当にもかかわらず指定難病制度を利用していない難病患者の頻度や属性を15施設の班員が調査した。また、新たな指定難病候補を検討した。さらに、疾患レジストリを検証し、入力をすすめるとともに、データベースの活用法について検討した。教育・啓発活動、他研究班との連携をすすめた。
結果と考察
診断基準や疾患概要にいくつかの修正が望まれ、提案した。指定難病の重症度基準にあてはまらない人は調査した1304人の23.8%であり、併存症等を考慮した重症度基準を再検討する余地があると考えられた。指定難病制度の利用率は調査対象1647人の9.6%と低く、制度を知らなかった人は5.4%であり、啓発だけではなく、年齢帯および疾患による不利用の理由をさらに検証し対策を講じる必要がある。指定難病候補として8疾患(自己免疫介在性脳炎・脳症、異形成性腫瘍、視床下部過誤腫症候群、CDKL5遺伝子関連てんかん、血管奇形に伴うてんかん、ビタミンB6依存性てんかん、欠神を伴う眼瞼ミオクローヌス、外傷によるてんかん、各種遺伝子変異を持ちてんかんを発症する先天異常症候群)をとりあげ、研究をすすめた。なお、指定難病制度の情報提供、教育・啓発活動には、全国に配置する研究分担者25人及び研究協力者が、研究班作成の冊子等を用いて積極的に貢献した。
疾患レジストリは、疾患分類を拡大(7症候群を追加して31症候群)・細分化(24の下位症候群を追加)し、また横断的疫学研究を延長した。これにより、詳細なデータのさらなる蓄積が期待される。年度末時点で1776例が登録された。42症例の2年間の縦断研究では、発作の改善および全般改善度はそれぞれ52%、55%、不変は36%、38%、悪化は12%、5%であった。
難治てんかんでは突然死を含めた死亡率が一般より高いため、死因研究のレジストリをあらたに開始した。また手術標本の病理中央診断のシステムを整え、正確な臨床診断、画像診断、術前診断に貢献できるようにした。さらに、遺伝子変異データベースを開始し、ドラベ症候群等の遺伝的背景を明らかにできるようにした。次年度以降にこれらのレジストリで蓄積されたデータを順次、解析していくとともに、研究使用のための資源として整備していく。また、他研究組織との共同研究も開始し、AMED加藤班とは限局性皮質異形成II型を対象とした医師主導治験(単群試験)との比較参照としての前向きコホート研究をすすめた。今後、地域難病連携ケアシステムの整備や災害対応につき、AMED寺田班とも連携する予定である。
結論
疾患概要、診断基準、臨床調査個人票の一部更新が必要であった。重症度分類では、発作以外の併存症に着目した検討の必要性が明らかになった。指定難病制度の利用率は低いが、対象疾患のほとんどが成人期以降も治療の継続が必要であるため,円滑な成人移行を見据えたシステムの構築が必要である。新たな指定難病候補につき、学会等と協力して疾患概要・診断基準等を今後確立する。疾患レジストリを、死因研究のレジストリ、病理中央診断のレジストリ、遺伝子変異データベースと連携しつつ継続し、難病施策に貢献するエビデンスを創出するとともに、希少てんかん病態の病態解明に向けた今後の研究展開の基盤とする。また、他の研究班とも連携した研究事業を行う。

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711061Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
21,227,000円
(2)補助金確定額
21,227,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,617,347円
人件費・謝金 51,704円
旅費 1,905,340円
その他 9,660,898円
間接経費 4,000,000円
合計 21,235,289円

備考

備考
利息50円、自己資金8,239円

公開日・更新日

公開日
2019-02-14
更新日
-