消化管良性多発腫瘍好発疾患の医療水準向上及び均てん化のための研究

文献情報

文献番号
201711053A
報告書区分
総括
研究課題名
消化管良性多発腫瘍好発疾患の医療水準向上及び均てん化のための研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
石川 秀樹(京都府立医科大学 分子標的癌予防医学)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 主之(岩手医科大学 内科学講座消化器内科)
  • 石田 秀行(埼玉医科大学 総合医療センター 消化管、一般外科)
  • 田中 信治(広島大学 大学院 医歯薬保健学研究科)
  • 高山 哲治(徳島大学 大学院 医歯薬学研究部 消化器内科学分野)
  • 山本 博徳(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門)
  • 武田 祐子(浜崎 祐子)(慶應義塾大学 看護医療学部)
  • 杉山 佳子(中山 佳子)(信州大学医学部附属病院 小児科)
  • 山本 敏樹(日本大学 医学部内科学系消化器肝臓内科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成27年度から、私達は厚労省難治性疾患政策研究事業において、希少疾患である腺腫性ポリポーシス、Peutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシス、Gardner症候群の5疾患について国内外の論文をレビューし、診断基準と重症度分類を作成、国内の専門家に公開して意見を集約し、ホームページで開示した。しかし、これらの診断基準や重症度分類は、多くは欧米からの報告を用いて作成しているため、本邦患者にそのまま適応できるか否かは未だ不明である。さらに、腺腫性ポリポーシスを除き、本邦においては、本疾患群の診療ガイドラインは作成されておらず、均質な診断、治療がなされていない。また、本疾患群は小児から成人にかけて長期間の闘病が続くが、小児科グループとの連携もほとんどできていない。
 そこで本研究班では、これらの問題点を解決し、それにより臨床現場における医療の質の向上と均てん化を図ることを目的とするために研究活動した。
研究方法
研究目的を達成するため、下記の3つの研究活動を行う。
1.希少疾患である5疾患の前向き登録追跡コホートシステムを構築し、本邦における患者実態、治療内容を把握し、以前の班で作成した診断基準と重症度分類の妥当性を確認、治療実態を把握する。

2.消化管小児科グループと連携し、小児から成人にかけてのシームレスな診療ガイドラインを作成する。まずは、診療ガイドラインが作成されていないPeutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシス症候群の3疾患について診療ガイドライン作成を実施する。
3.これらから得られた知見を、適切に公開、周知し、本疾患の診療拠点施設を認定する。
 そのために、下記の班員には、それぞれの作業を担当することとした。
石川秀樹・・・全体のとりまとめ
田中信治・・・腺腫性ポリポーシス
松本主之・・・若年性ポリポーシス症候群
高山哲治・・・Cowden症候群
山本博徳・・・Peutz-Jeghers症候群
石田秀行・・・Gardner症候群
西田佳弘・・・腹腔外発生デスモイド型線維腫症
武田祐子・・・患者会対応及び患者支援     
中山(杉山)佳子・・・小児における消化管ポリポーシス 
山本敏樹・・・診療ガイドライン作成
 本疾患群に関わる専門家集団として、基礎から臨床、疫学、サポートチームまで、幅広い人材で研究班を組織し、メール会議および班会議を開催することにより、作業を行う。
結果と考察
消化管に関連する良性多発腫瘍好発疾患において、診療ガイドラインの作成により全国で均一な医療を実施することができるようになる。また、前向き登録追跡コホート研究により、希少疾患であるこれらの疾患の病態を明らかにすることができる。また、拠点診療施設の認定により、患者の適切な医療機関への受診を円滑にすることができる。これらの社会制度整備により、疾患による負担が強く多角的な支援が必要な患者を適切に選び出し、適切に厚生労働行政の施策を実施することができる。
 本疾患群は働き盛りの青年から壮年期の男性や、子育て中の女性が罹患することが多く、医療の均てん化による適切な支援により早期の治療と社会復帰ができれば、労働力の損失も軽減でき、結果として医療費の削減にもつながることが期待される。
 また、本研究班構築した登録システムによりこの疾患群に興味を持つ研究者が、比較的容易に、質の高い研究を実施することが可能とるため、本疾患群に対する診断や治療法の知見も増加し、医療も進歩すると考える。
結論
現在、順調に作業は進んでおり、2018年度中には、診療ガイドラインや前向き登録追跡コホート研究、診療拠点病院整備が行われる予定であり、このインフラ整備により、消化管ポリポーシス疾患患者の医療の質的向上が期待できると考える。

公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,560,000円
(2)補助金確定額
1,360,000円
差引額 [(1)-(2)]
200,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,903円
人件費・謝金 0円
旅費 871,780円
その他 114,317円
間接経費 360,000円
合計 1,360,000円

備考

備考
200,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2019-02-22
更新日
-