文献情報
文献番号
201711051A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病制度の普及・啓発状況の把握および普及・啓発のための方法論の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H28-難治等(難)-一般-037
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
和田 隆志(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
- 大木 隆生(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 佐々木 秀直(北海道大学 医学研究院)
- 照井 正(日本大学 医学部)
- 森 臨太郎(国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
12,469,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班では、指定難病および小児慢性特定疾病制度の普及・啓発状況の実態調査を行い、疾病(群)ごとに最適な普及・啓発方法を検討・開発し、実際にそれらの方法を用いて普及・啓発を推進することを目的とする。疾病(群)ごとに関連学会と連携して、普及・啓発を推進し、
1.指定難病制度(および小慢制度)の普及・啓発が進むことにより、申請率が向上し、対象患者が確実に医療費助成を受けられること。2.関連学会や研究班同士の連携が強化されること。3.平成29年度中に稼働予定の、臨床調査個人票に基づく指定難病データベースへの悉皆的なデータ蓄積が実現し、病態解明や治療法開発等が推進されること。4.平成30年度より稼働予定の「難病診療連携拠点病院(仮称)」や都道府県の枠を超えた早期に正しい診断を行うための全国的な支援ネットワークである「難病医療支援ネットワーク」の効率的な運用が可能となり、各疾病(群)の診療連携体制構築へ貢献すること。5.難病情報センターや小慢情報センターHPの改良を通して、医師および患者への普及・啓発につながること。6.難病指定医研修の効率的な開催に資するデータや、指定難病テキストの効果的・効率的な普及方法を提供すること。7.小児成人移行期医療(トランジション)が推進されること。
といった成果を期待する。
1.指定難病制度(および小慢制度)の普及・啓発が進むことにより、申請率が向上し、対象患者が確実に医療費助成を受けられること。2.関連学会や研究班同士の連携が強化されること。3.平成29年度中に稼働予定の、臨床調査個人票に基づく指定難病データベースへの悉皆的なデータ蓄積が実現し、病態解明や治療法開発等が推進されること。4.平成30年度より稼働予定の「難病診療連携拠点病院(仮称)」や都道府県の枠を超えた早期に正しい診断を行うための全国的な支援ネットワークである「難病医療支援ネットワーク」の効率的な運用が可能となり、各疾病(群)の診療連携体制構築へ貢献すること。5.難病情報センターや小慢情報センターHPの改良を通して、医師および患者への普及・啓発につながること。6.難病指定医研修の効率的な開催に資するデータや、指定難病テキストの効果的・効率的な普及方法を提供すること。7.小児成人移行期医療(トランジション)が推進されること。
といった成果を期待する。
研究方法
本研究班の委員の所属する5学会(日本小児科学会、日本腎臓学会、日本神経学会、日本皮膚科学会、日本外科学会)に対して、指定難病制度の普及・啓発の状況を把握するために本研究班にて作成した質問用紙を使用し、実態調査を前年度に行った。また、平成29年6月には日本難病・疾病団体協議会および難病のこども支援全国ネットワークを対象に患者会へのヒアリングも行った。今年度は、これらの実態調査および患者会へのヒアリングから得た改善点などのデータに基づき、疾病(群)ごとに最適な普及・啓発方法の検討を行った。
結果と考察
5学会に対して行った実態調査の結果、日本皮膚科学会では84%、日本外科学会では93%、日本腎臓学会では81%、日本神経学会では70%、日本小児科学会では83%の評議員(代議員)から「指定難病の普及が十分でない」という回答が得られ、指定難病に対する普及啓発を進めていく必要性を再認識する結果であった。指定難病の普及啓発を進めるためにも、①「疾患毎に申請様式が統一されていない」、「申請様式の記載項目が煩雑である」などといった申請様式の問題、②「院内に患者相談を受け付ける窓口が存在しない」などの病院のシステムの問題、③指定医以外の医師や患者(一般の人)の知識が不足しているなど数多くの問題点の改善の必要性が示唆された。今後、指定難病の最適な普及・啓発を一層推進するための課題が明らかになった。患者会へのヒアリングからも実態調査と同様の問題点と改善点が指摘された。
これらの調査や患者会へのヒアリングから得た指定難病の普及・啓発に関する改善点に対して、本研究班では、(1)難病指定医、(2)学会、(3)患者・一般医へ向けた普及・啓発活動を以下のように行った。
(1)難病情報センターホームページの改良案の作成を行い、厚生労働省と難病情報センターへ改良案の提示を行った。また、金沢大学附属病院における電子カルテシステムの見直しを行い、金沢大学における指定難病患者数の増減、ならびに指定難病への申請率などの評価を検討することとした。検討結果は、厚生労働省、他の医療機関等へ共有を行う。
(2)関連学会ホームページへ掲示するための資料の作成を行った。この資料は、来年度指定難病の疾患数が拡充された段階で各学会のメーリングリストなどで学会員への配布を予定している。
(3)指定難病に関する情報獲得のツールである難病情報センターのホームページの構成や内容の改定を提言した。その他、海外への情報発信も検討し、難病情報センターおよび小児慢性特定疾患情報センターホームページの英訳化も行った。
指定難病制度の公平性を担保するための方法論の開発」班(千葉班)、「難病患者の地域支援体制に関する研究」班(西澤班)といった他の難病施策に関連する研究班とも密に連携を取り、情報共有を行った。
これらの調査や患者会へのヒアリングから得た指定難病の普及・啓発に関する改善点に対して、本研究班では、(1)難病指定医、(2)学会、(3)患者・一般医へ向けた普及・啓発活動を以下のように行った。
(1)難病情報センターホームページの改良案の作成を行い、厚生労働省と難病情報センターへ改良案の提示を行った。また、金沢大学附属病院における電子カルテシステムの見直しを行い、金沢大学における指定難病患者数の増減、ならびに指定難病への申請率などの評価を検討することとした。検討結果は、厚生労働省、他の医療機関等へ共有を行う。
(2)関連学会ホームページへ掲示するための資料の作成を行った。この資料は、来年度指定難病の疾患数が拡充された段階で各学会のメーリングリストなどで学会員への配布を予定している。
(3)指定難病に関する情報獲得のツールである難病情報センターのホームページの構成や内容の改定を提言した。その他、海外への情報発信も検討し、難病情報センターおよび小児慢性特定疾患情報センターホームページの英訳化も行った。
指定難病制度の公平性を担保するための方法論の開発」班(千葉班)、「難病患者の地域支援体制に関する研究」班(西澤班)といった他の難病施策に関連する研究班とも密に連携を取り、情報共有を行った。
結論
難病法に基づき、指定難病患者への医療費助成や、調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業等が実施されている。特定疾患治療研究事業(旧事業)の対象疾病は56疾病から、平成29年4月からは330疾病にまで拡充され、患者の受ける恩恵は大きくなっていると考えるが、実態調査より普及・啓発をより一層進める必要であることが明らかとなった。また、普及・啓発を進めるためにも、申請時の問題、病院のシステムの問題、知識が不足しているなどの現状が明らかとなった。指定難病申請の向上を目指すには、これらの問題解決、改善が急務であると考える。
公開日・更新日
公開日
2018-05-30
更新日
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