指定難病に該当する胎児・新生児骨系統疾患の現状調査と診療ガイドラインの改訂に関する研究

文献情報

文献番号
201711033A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病に該当する胎児・新生児骨系統疾患の現状調査と診療ガイドラインの改訂に関する研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-017
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 英明(兵庫医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 室月 淳(東北大学 大学院医学系研究科胎児医学分野)
  • 山田 崇弘(京都大学 医学部附属病院遺伝子診療部)
  • 高橋 雄一郎(国立病院機構長良医療センター 産科)
  • 宮崎 治(国立成育医療研究センター 放射線科)
  • 芳賀 信彦(東京大学 医学部附属病院リハビリテーション科)
  • 鬼頭 浩史(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 窪田 拓生(大阪大学 大学院医学系研究科小児科学)
  • 大森 崇(神戸大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
客観的な指標に基づく疾患概念が確立されている胎児・新生児の骨系統疾患として、①タナトフォリック骨異形成症、②軟骨無形成症、③低フォスファターゼ症、④骨形成不全症⑤大理石病がすでに指定難病に選定されており、全国共通の診断基準・重症度分類が定められている。また⑥2型コラーゲン異常症は小児慢性特定疾病に選定されている。本研究ではその改訂や小児慢性特定疾病との整合性検証作業、難治性疾患実用化研究事業の診療の質を高める研究(「診療ガイドライン策定を目指した骨系統疾患の診療ネットワークの構築班」(AMED大薗班))で集積したエビデンス等も用いて、現行の指定難病の診断基準や重症度分類などの診療ガイドラインの適正化や普及活動を行い、指定難病や小児慢性特定疾病を中心とした胎児・新生児の難病である骨系統疾患の医療水準の向上に貢献することが目的である。
研究方法
 1) 診断基準と重症度分類の改訂や小児慢性特定疾病との整合性検証作業を行っている。
 2) AMED大薗班と協力して、集積したエビデンス等も用いて、現行の指定難病の診断基準や重症度分類などの診療ガイドラインの適正化や普及活動を行った。
3) 対象疾患が全国でどの程度の人数が診療されており、重症度がどの程度であるのかなどの調査を行っている。
4) 重症骨系統疾患については、長期生存患者の発育状況調査を行って、長期生存例の人数や発育状況などの訪問調査を行い、発育状況を明らかにする。
5) 2015年に骨系統疾患の国際分類が改訂された。指定難病の疾患分類に関わることであり、この和訳作業を日本整形外科学会につくって作業し、日本整形外科学会雑誌に刊行された。
6) 旧厚労科研研究班の作成したホームページ等を用いた一般の医師や妊婦、患者、家族が情報を得るシステムを実施している。
7) 胎児・新生児の難病である骨系統疾患の医療水準の向上のために、指定難病や小児慢性特定疾病に選定された骨系統疾患の診断支援を行っている。
結果と考察
本研究においてH28年度とH29年度は指定難病の診断基準や重症度分類などの診療ガイドラインの適正化や普及活動、患者数の調査とその病状の把握、実際の指定難病の申請状況の調査などを行うこととしており、
 1) 診断基準と重症度分類の改訂や小児慢性特定疾病との整合性検証作業を行っている。これはアンケート調査を行って、実際の診療している担当医に診断基準等の妥当性を調査した。
 2) AMED大薗班と協力して、集積したエビデンス等も用いて、現行の指定難病の診断基準や重症度分類などの診療ガイドラインの適正化や普及活動を実施している。
3) 対象疾患が全国でどの程度の人数が診療されており、重症度がどの程度であるのかなどの調査を行っている。①②③④に加えて2型コラーゲン異常症等の疾患頻度を推定した。
4) 重症骨系統疾患については、長期生存患者の発育状況調査を行って、長期生存例の人数や発育状況などの訪問調査を行い、発育状況を明らかにした。①については実施済、その他は実施中である。
5) 2015年に骨系統疾患の国際分類が改訂された。指定難病の疾患分類に関わることであり、この和訳作業が日本整形外科学会のWGにて実施された。その成果が日本整形外科学会雑誌に掲載された。
6)ホームページ等を用いた一般の医師や妊婦、患者、家族に情報提供を行っている。
7) 胎児・新生児の難病である骨系統疾患の医療水準の向上のために、指定難病や小児慢性特定疾病に選定された骨系統疾患の診断支援を行っている。
① 出生時からの適切な診断を目的として、すでに平成27年度から研究グループ「胎児骨系統疾患フォーラム」が実施している、「本邦における骨系統疾患の発症疫学コホート研究」に協力して、出生後の早期に対象となる骨系統疾患を把握し、支援を行う体制を確立している。また、全国の指定難病の骨系統疾患の患者数の調査と重症度の把握を行った。
② ネット上の支援として全国の医療機関で胎児や新生児の骨系統疾患疑い症例支援を行っている。
③ 研究班で把握した全国各地域の診断拠点施設を整備し、実際の診療を支援した。
④ 旧厚労科研研究班の作成したホームページ等を用いた一般の医師や妊婦、患者、家族が情報を得るシステムを継続するwww.thanatophoric.com。これには一般医師や患者・家族から年間で約10件ほどのメールでの問い合わせがあった。
8)全国の骨系統疾患の診療可能な施設の調査を行い、受診の参考にできるようにリスト作成を行っている。これは最終的にはホームページに公開して医療者や患者が参考にできるようにする予定である。
結論
胎児・新生児骨系統疾患の骨系統疾患の現状把握と診療支援、診断基準の適正化について引き続き検討を継続する。

公開日・更新日

公開日
2018-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,950,000円
(2)補助金確定額
14,945,000円
差引額 [(1)-(2)]
5,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,350,990円
人件費・謝金 2,679,934円
旅費 3,825,514円
その他 2,639,190円
間接経費 3,450,000円
合計 14,945,628円

備考

備考
5,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2019-03-19
更新日
-