Perry病診断基準の確立

文献情報

文献番号
201711032A
報告書区分
総括
研究課題名
Perry病診断基準の確立
課題番号
H28-難治等(難)-一般-016
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
坪井 義夫(福岡大学 医学部神経内科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 服部 信孝(順天堂大学・大学院医学研究科)
  • 藤岡 伸助(福岡大学 医学部神経内科学教室)
  • 三嶋 崇靖(福岡大学 医学部神経内科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Perry症候群は常染色体優性遺伝の家族性パーキンソン病で、1975年にカナダのPerryらによりはじめて報告された。その後、もう一つのカナダ家系と、米国、英国、フランスから報告され、さらに我々は、2002年に本邦初のPerry症候群家系を報告した(FUK-1) (Tsuboi Y, et al. Neurology. 2002)。同年、トルコからの家系報告もあり、アジア圏にも存在する疾患であることが示された。その後も家系報告が続き、現在、19家系が報告されている。我々は、2014年に新たな1家系(OMT)を報告し(Araki E, et al. Mov Disord. 2014)、この家系を含め本邦では4家系が存在することが判明した。我々が報告したOMT家系はこれまでの報告と比較して発症年齢が高く、進行も緩徐である。また、同一家系内でも表現型や経過が異なり、この疾患の臨床多様性を示した。2014年、DCTN1 遺伝子変異を有し、進行性核上性麻痺の臨床症状を呈する家系が報告されたが(Caroppo P, et al. JAMA Neurol. 2014) 、この家系がPerry症候群の類縁疾患であるか非典型的なPerry症候群であるかは、見解が分かれ (Fujioka S, et al. JAMA Neurol. 2014)、現在国際診断基準作成の必要性が求められている。Perry症候群はパーキンソニズム、うつ、体重減少、中枢性低換気の4徴候を基本症状とし、遺伝学的にはダイナクチン遺伝子変異を有する。病理学的にはTDP-43 pathologyを特徴とし、臨床、病理、遺伝学的に独立した疾患である。今回、我々は診断基準の作成、臨床、病理、遺伝学疾患概念としてPerry症候群からPerry病への名称変更を提唱する。今回の研究により、臨床症状がオーバーラップする孤発性パーキンソン病や進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などの類縁疾患の症例の抽出も可能となり、類縁疾患の病態解明の一助ともなる。
研究方法
Perry症候群の診断基準の論文が英国神経学雑誌に掲載された。病理学的検討も論文化されさらに、新たなOMT家系の剖検例の報告、新規に発見された宮崎、北海道の家系に関しても論文作成中である。日本家系を含めた87例のPerry症候群患者の臨床データベースより、縦断解析ができる患者を抽出して重症度分類及び、診療ガイドライン作成を検討中である。
結果と考察
自験例および文献検索からPerry症候群発症者について、パーキンソニズム、うつ、体重減少、中枢性低換気の4徴候やその他精神症状等の出現頻度、出現時期、死因や罹病期間、治療反応性について検討し、国際診断基準原案の作成を行った(論文1)。また病理学的検討、新規剖検が1例あり論文作成、掲載された(論文2,3)。確定診断の付いた新規発症例の診察を行い、登録を行った。これまでの症例をもとにPerry病の病期分類、重症度分類の作成を目標としている。
結論
確定診断の付いた新規発症例の診察を行い、登録を行った。これまでの症例をもとにPerry病の病期分類、重症度分類の作成を目標としている。今回定められた国際診断基準の学会認定、及び啓蒙を行い、潜在患者の発見に努める。今後、発症者の自然歴調査、臨床症状はさらに定量的評価法を用い、神経画像所見をくわえ、本疾患の致死的合併症である呼吸不全を未然に予知し、治療法の確立を行うために、重症後基準の作成、診療ガイドライン作成を行う。

公開日・更新日

公開日
2018-05-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201711032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,820,000円
(2)補助金確定額
1,820,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,034,726円
人件費・謝金 0円
旅費 163,900円
その他 201,374円
間接経費 420,000円
合計 1,820,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-04-09
更新日
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