ジュベール症候群およびジュベール症候群関連疾患の診療支援と診療ガイドライン作成・普及のための研究

文献情報

文献番号
201711026A
報告書区分
総括
研究課題名
ジュベール症候群およびジュベール症候群関連疾患の診療支援と診療ガイドライン作成・普及のための研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-010
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 明(東京大学大学院医学研究科 小児科学)
  • 岩崎 裕治(東京都立東部療育センター 小児科)
  • 松石 豊次郎(久留米大学高次脳疾患研究所 )
  • 高橋 悟(旭川医科大学医学部 小児科)
  • 青天目 信(大阪大学大学院医学系研究科 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ジュベール症候群とジュベール症候群関連疾患(JSRD)の診断基準と診療ガイドラインを作成する。我々は全国調査を行い、約100名の患者数を把握し多様な臨床像を呈することを明らかにしてきた。また、JSRDの24個の原因遺伝子は数100kDaに及ぶ巨大分子であり、遺伝子解析の困難さに加えて、疾患の稀少性のために遺伝子診断に至る症例が少ない。そこで、次世代シークエンサーを用いて、既知24原因遺伝子を対象にターゲットシークエンス解析と全エキソーム解析を行い、効率的な遺伝子診断システムを確立し、診療支援を行う。
 さらに、本研究では、レット症候群(RTT)の追跡調査とMECP2重複症候群(MECP2-DS)の疫学調査を行い、その結果から自然暦、臨床および遺伝学的実態を明らかにし、遺伝子検査の体制を確立し、診断基準と診療ガイドライン作成をする。さらに、臨床評価、重症度判定法を開発する。MECP2-DSの診断基準作成のための資料収集と検討を行なう。
研究方法
これまでのJSRD調査から、CQを抽出し、Mindsに従って診療ガイドライン作成を行なった。669論文をシスティマテック・レビュー対象とし、CQに基づいて各執筆担当者が原稿作成と編集作業を行い、および患者会の意見を経て診療ガイドラインを作成した。診断基準は、患者会の協力のもと文献的考証を加えて作成した。遺伝子診断は、30例のDNA検体を解析した。既知の24原因遺伝子のターゲットシークエンス解析と全エキソーム解析を行った。
 RTT患者データベース登録されている患者の追跡調査を行う。MECP2-DSの疫学調査を行い、診断基準の作成を行う。遺伝子診断の体制整備は、RTTの遺伝子診断をMECP2, CDKL5, FOXG1遺伝子についてサンガー法あるいはMLPA法にて行う。MECP2-DSでは、確定診断症例の検体を用いて、アレイCGH法とMLPA法の診断精度を検討する。臨床評価・重症度評価のための資料を世界約70論文から作成する。
(倫理面への配慮)本研究は、当該施設の倫理委員会の承認のもと、患者あるいは保護者への十分な説明と同意ののちに行われた。
結果と考察
JSRDの診療ガイドラインを作成した。診断基準は、アンケート調査の結果と照らし合わせて妥当であった。今後、作成した診断基準と診療ガイドラインを関連学会のパブリックコメントを加えて編集し、運用する。遺伝子解析では、検索した30検体のうち、ターゲットシークエンス解析及びサンガー法による病因性が考えられた遺伝子異常は5検体であった。5例はいずれもミスセンス変異であり、1アレルに欠失が認められた。5例のうち、3例がC5ORF42で、CEP290とTMEM67が各1例であった。残り25例について、全エキソーム解析を行なった。全エキソーム解析の結果、20例の原因遺伝子を明らかにした。今後、臨床像との比較検討を行う。
 RTTとMECP2-DSの研究では、RTT患者データベースに登録されている130例のうち5年以上の登録期間を有する登録者に対して、調査を始めた。MECP2-DSの疫学調査は、患者会の協力のもと診断基準(案)を作成し一次調査を行なった。調査対象740施設のうち589施設から回答を得た(回答率79.6%)。さらに、詳細な臨床情報の収集と診断基準の検定のため二次調査を39施設に対して行ない、回答収集中である。RTTの遺伝子診断では、サンガー法とMLPA法を組み合わせることで、90%以上の患者にMECP2遺伝子変異が同定できることがわかったが、MECP2遺伝子変異がない症例は診断基準を満たしていないことが多かった。MECP2-DSの遺伝子診断は、MLPA法あるいは定量PCR法による検査体制を確立した。アレイCGH法と合わせて、効率的に診断することができる。MECP2-DSの臨床的特徴は重度の知的障害、乳児期からの筋緊張低下、進行性の痙性麻痺、易感染性、てんかんの合併が多いことがわかった。RTTの臨床評価を作成した。
結論
JSRDの診療ガイドラインを作成した。JSRDの既知24原因遺伝子について、ターゲットシークエンス解析および全エキソーム解析を行なった。これまで、30検体を解析し、25例の遺伝子異常を明らかにした。未診断例の解析を進めている。
 RTT患者データベース登録の追跡調査とMECP2-DS患者の疫学調査を行なっている。また、対象疾患の遺伝子診断体制を整備している。臨床評価系と重症度分類を作成し、臨床研究に応用する。MECP2-DSは、多臓器に及ぶ多彩かつ重篤な症状を呈するため、全身を考慮に入れた診療が必要である。より良い診療を行う上で臨床像を明らかにし、診療体制を整備することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2018-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201711026B
報告書区分
総合
研究課題名
ジュベール症候群およびジュベール症候群関連疾患の診療支援と診療ガイドライン作成・普及のための研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-010
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 明(東京大学大学院医学研究科 小児科学)
  • 岩崎 裕治(東京都立東部療育センター 小児科)
  • 松石 豊次郎(久留米大学高次脳疾患研究所)
  • 高橋 悟(旭川医科大学医学部 小児科)
  • 青天目 信(大阪大学大学院医学系研究科 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ジュベール症候群とセニール・ローケン症候群、COACH症候群、有馬症候群を対象としたジュベール症候群関連疾患(JSRD)について、診断基準と診療ガイドラインを作成する。JSRDの遺伝子診断を、既知24原因遺伝子のターゲットシークエンス解析と全エキソーム解析により効率的な遺伝子診断システムを確立する。
 さらに、レット症候群(RTT)の追跡調査とMECP2重複症候群(MECP2-DS)の疫学調査を行い、遺伝子検査を確立し、診断基準を作成し、診療ガイドライン作成をする。さらに、関連学会発表および公開シンポジウム開催し、RTTとMECP2-DSの普及と啓発に努める。
研究方法
これまでの調査からCQを抽出し、Mindsによる診療ガイドラインを作成する。699論文をシスティマテック・レビュー対象とし、各執筆者による原稿作成と編集作業、および患者会を反映して診療ガイドラインを作成した。診断基準は、患者会の協力のもと作成した。遺伝子診断は、30例のDNA検体を解析した。既知24原因遺伝子のターゲットシークエンス解析を行い、in silicoによる病因性を検討しサンガー法による検証を行った。遺伝子異常がなかった場合は、全エキソーム解析を行った。
 RTTとMECP2-DSの研究では、RTT患者データベース登録されている患者の追跡調査を行う。MECP2-DS患者の疫学調査は医療・療育機関へのアンケート調査を行う。RTTの遺伝子診断はMECP2とFOXG1、CDKL5について調べる。MECP2-DSの遺伝子診断はMLPA法あるいは定量PCR法による。また、アレイCGH法と合わせてMLPA法の診断精度を検討したMECP2-DSの論文から臨床症状をまとめて診断基準作成のための資料とした。約70論文から臨床評価系を作成した。
(倫理面への配慮)本研究は、当該施設の倫理委員会の承認のもと、患者あるいは保護者への十分な説明と同意ののちに行われた。
結果と考察
JSRD診療ガイドライン作成委員会を作り、診療ガイドラインを作成した。JSRDの診断基準は、アンケート調査の結果と照らし合わせて妥当であった。JSRDの遺伝子解析では、30検体を検索し、ターゲットシークエンス解析による病因遺伝子異常は5検体であった。残り25例の全エキソーム解析で20例の原因遺伝子を明らかにした。今後、臨床像との比較検討を行う。
RTTとMECP2-DSの疫学調査では、 RTT患者データベースに登録例の調査を始めたMECP2-DSの疫学調査は診断基準(案)を作成し、一次調査を行なった。調査対象740施設のうち589施設から回答を得た(回答率79.6%)。より詳細な臨床情報の収集と診断基準の検定のため二次調査を行なっている。RTTの自然暦調査は、治験を行う上で重要な資料となる。RTTの遺伝子診断はサンガー法とMLPA法で、90%以上の患者にMECP2遺伝子変異が同定されることがわかった。MECP2-DSの遺伝子診断は、MLPA法と定量PCR法による検査体制を確立した。MLPA法でMECP2重複の有無を評価することで、効率的に診断することができる。さらに、アレイCGH法による重複領域の決定が必要である。MECP2-DSの臨床的特徴は重度の知的障害、乳児期からの筋緊張低下、進行性の痙性麻痺、易感染性、てんかんを多くの患者で合併することがわかった。RTTの臨床評価を重症度分類、臨床評価項目、臨床試験に分けて作成した。
結論
JSRDの診療ガイドライン作成委員会と患者会の協力のもとに診療ガイドラインを作成した。また、JSRDの既知24原因遺伝子について、ターゲットシークエンス解析および全エキソーム解析を行なった。これまで、30検体を解析し、25例の遺伝子異常を明らかにした。未診断例の解析を進めている。
 RTT患者データベース登録の追跡調査とMECP2-DS患者の疫学調査を行なっている。また、対象疾患の遺伝子診断体制を整備している。臨床評価系と重症度分類を作成し、臨床研究に応用する。MECP2-DSは、多臓器に及ぶ多彩かつ重篤な症状を呈するため、全身を考慮に入れた診療が必要である。より良い診療を行う上で臨床像を明らかにし、診療体制を整備することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2018-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201711026C

収支報告書

文献番号
201711026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,484,791円
人件費・謝金 433,980円
旅費 1,286,769円
その他 1,410,460円
間接経費 1,384,000円
合計 6,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-02-08
更新日
-