熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究

文献情報

文献番号
199800613A
報告書区分
総括
研究課題名
熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
金子 原二郎(長崎県知事)
研究分担者(所属機関)
  • 塚本昌弘(長崎県環境衛生課長)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
-
研究終了予定年度
-
研究費
12,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昭和43年に発生したPCB中毒患者(油症)が、今なお完全に治癒していない現状に鑑み、油症の治療法に関する基礎的な研究を行うとともに、油症被害者の検診並びに追跡調査を行い、油症の有効的な治療法の解明を図ることを目的とする。
研究方法
これまでと同様に、長崎大学を中心とした油症検診班を組織し、五島(玉之浦1日、奈留1日)、長崎(1日)の両地区において油症被害者約800名を対象に一斉検診及び健康医療指導を行う。また、検診結果に基づき油症被害者個々の健康管理指導及び油症診断を行うとともに、今年度受診者のうち昭和63年に受診していた認定患者39名について血液中PCB、PCQ濃度の変化と症状の推移について比較した。
結果と考察
研究結果=長崎、佐賀、熊本3県の油症被害者を対象として五島、長崎の両地区において油症患者87名、未確認者22名、合計109名について一斉検診及び健康管理指導を行った。また、検診結果に基づき、総合的な健康診査を行い、受診者中82名に対し医療面の指導を行った。未確認者については、血液中PCB、PCQ濃度を含めて油症診断を行ったが、今回新たに認定したものはなかった。血液中のPCQ濃度は、24名(61.5%)が減少しており、変化なし5名(12.8%)、増加10名(25.6%)となっている。また、PCB濃度についても31名(79.5%)が減少しており、変化なし5名(12.8%)、増加3名(7.7%)であった。油症としての症状は、全体的に軽減の方向にあるが、油症被害者の高齢化に伴う症状の変化もあり、内臓疾患については逆に悪化している部分も若干見受けられる。
結論
発生から30年を経過し、発生当時のような急性症状を示すものは少なくなっており、今回の研究で得られたデータでは、血液中のPCB、PCQ濃度の減少や症状の軽減が確認できたものの、有効的な治療法については解明するに至らず、今後とも油症被害者の心待ちとする検診を継続し、基礎的な研究を行う必要がある。

公開日・更新日

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