先天性GPI欠損症の症例登録システムの構築と実態調査及び早期診断法の確立

文献情報

文献番号
201711023A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性GPI欠損症の症例登録システムの構築と実態調査及び早期診断法の確立
課題番号
H28-難治等(難)-一般-007
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
村上 良子(国立大学法人大阪大学 微生物病研究所 )
研究分担者(所属機関)
  • 井上 徳光 (地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター研究所)
  • 高橋 幸利(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター  )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【疾患登録を構築して実態調査を行い鋭敏な疾患マーカーによる早期診断法を確立する。】GPIアンカーは150種以上の蛋白質を細胞膜につなぐ糖脂質でその生合成に27個の遺伝子が関与する。これらGPI遺伝子群の変異により重要な機能を担うGPIアンカー型蛋白質(GPI-AP)の発現が低下し精神・運動発達遅滞やてんかん、奇形等の症状を来す先天性GPI欠損症(IGD)となる。今年度新規に3遺伝子の欠損症が見つかり現在18種類の遺伝子変異による先天性GPI欠損症(IGD)が報告されている。責任遺伝子が今後も拡大する可能性があり他疾患と診断されたものも病態からIGDに分類されるものがあると予想される。IGDは症状が多彩でなのでベッドサイドでの診断が難しい。さらに生後も病態が進行する症例もあるので早期診断が必要である。疾患登録を推進して多症例の臨床像・検査所見を詳細に解析し、より鋭敏な疾患マーカーを見つけそれらを診療ガイドラインに反映させ、より早期の正確な診断を目指す。
研究方法
臨床症状から疑わしい患者を血液のFACSでスクリーニングを行い、低下が見られた場合には、ターゲットシークエンスで遺伝子解析を行い、見つからなかった場合、あるいはFACS解析で低下が見られない場合には、連携する遺伝子解析拠点で全エクソーム解析を施行して遺伝子を同定する。疾患データベースにIGDの臨床情報を登録して症例を集積している。スクリーニングに用いる顆粒球のFACS解析をベッドサイドで行えるよう検査会社に委託してプロトコールをシェアし双方で解析して、検査機関間の測定値の信頼度を検証した。統計処理を行いカットオフ値を決める予定である。また平成28年10月に第2回、平成29年11月には第3回患者会を開催し、同日に時間を設けて班員の意見交換を行った。
結果と考察
海外との共同研究によって29年度新規に見つかった3遺伝子の欠損症を含めると現在18種類の遺伝子変異による先天性GPI欠損症(IGD)が報告されており、その多くの解析に我々は係わっている。以前報告したようにMabry病がIGDであることが明らかになったがさらに横隔膜ヘルニアに手指.足趾の末節骨や爪の欠損を伴うFryns syndromeが、PIGN,PIGV欠損症であることがわかりIGDの最重症型であると考えられる。一方ではFACSでGPI-APの発現低下を呈しIGDと診断した症例のなかにGPI遺伝子以外を責任遺伝子とする症例が複数例見つかっておりIGDとの関連を解析している。平成29年度より指定難病、平成30年度より小児慢性特定疾病に認定された。28年度は研究室内でのFACS解析の標準化と業者委託の準備、29年度には検査会社とFACS解析について委託研究の契約書を交わして研究を開始し、検査の標準化を行った。
結論
IGDは広汎な症状を示すため、診断が難しいが今年度のプロジェクトにより顆粒球のFACSが検査会社できるようになると診断効率が格段に上がると考えられる。一方ではFACS検査で診断できない症例もあるので、今後さらに鋭敏な疾患マーカーを検索する必要がある。今後もこの診断システムを使って全国調査を施行し、疾患の周知と患者のスクリーニングを推進して行くとともに、治療薬の開発を進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201711023B
報告書区分
総合
研究課題名
先天性GPI欠損症の症例登録システムの構築と実態調査及び早期診断法の確立
課題番号
H28-難治等(難)-一般-007
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
村上 良子(国立大学法人大阪大学 微生物病研究所 )
研究分担者(所属機関)
  • 井上 徳光(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター研究所)
  • 高橋 幸利(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター  )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【疾患登録を構築して実態調査を行い鋭敏な疾患マーカーによる早期診断法を確立する。】GPIアンカーは150種以上の蛋白質を細胞膜につなぐ糖脂質でその生合成に27個の遺伝子が関与する。これらGPI遺伝子群の変異により重要な機能を担うGPIアンカー型蛋白質(GPI-AP)の発現が低下し精神・運動発達遅滞やてんかん、奇形等の症状を来す先天性GPI欠損症(IGD)となる。28年度新規に1遺伝子、29年度3遺伝子の欠損症が見つかり現在18種類の遺伝子変異による先天性GPI欠損症(IGD)が報告されている。責任遺伝子が今後も拡大する可能性があり他疾患と診断されたものも病態からIGDに分類されるものがあると予想される。IGDは症状が多彩でなのでベッドサイドでの診断が難しい。さらに生後も病態が進行する症例もあるので早期診断が必要である。疾患登録を推進して多症例の臨床像・検査所見を詳細に解析し、より鋭敏な疾患マーカーを見つけそれらを診療ガイドラインに反映させ、より早期の正確な診断を目指す。
研究方法
臨床症状から疑わしい患者を血液のFACSでスクリーニングを行い、低下が見られた場合には、ターゲットシークエンスで遺伝子解析を行い、見つからなかった場合、あるいはFACS解析で低下が見られない場合には、連携する遺伝子解析拠点で全エクソーム解析を施行して遺伝子を同定する。疾患データベースにIGDの臨床情報を登録して症例を集積している。平成28年度にはスクリーニングに用いる顆粒球のFACS解析をベッドサイドで行えるよう検査会社に委託して共通のプロトコールを作成し準備をすすめていた。ようやく29年度始めから契約が締結され運営を開始した。統計処理を行いカットオフ値を決める予定である。また平成28年10月に第2回、平成29年11月には第3回患者会を開催し、同日に時間を設けて班員の意見交換を行った。
結果と考察
海外との共同研究によって28年度、29年度新規に見つかった4遺伝子の欠損症を含めると現在18種類の遺伝子変異による先天性GPI欠損症(IGD)が報告されており、その多くの解析に我々は係わっている。以前報告したようにMabry病がIGDであることが明らかになったがさらに横隔膜ヘルニアに手指.足趾の末節骨や爪の欠損を伴うFryns syndromeが、PIGN,PIGV欠損症であることがわかりIGDの最重症型であると考えられる。一方ではFACSでGPI-APの発現低下を呈しIGDと診断した症例のなかにGPI遺伝子以外を責任遺伝子とする症例が複数例見つかっておりIGDとの関連を解析している。平成29年度より指定難病、平成30年度より小児慢性特定疾病に認定された。28年度は研究室内でのFACS解析の標準化と業者委託の準備、29年度には検査会社とFACS解析について委託研究の契約書を交わして研究を開始し、検査の標準化を行った。
結論
この2年間で診断基準の改訂、指定難病と小児慢性特定疾病としての認定を果たし医療面では大きな進展があった。診断システムの効率化と言う点でも、臨床症状に顆粒球のFACSを取り入れると格段に診断効率が上がると考えられる。一方ではFACSで診断できない病型もあるので他の疾患マーカーも検索する必要がある。疾患登録を今後積極的に行い、患者サンプルを集積して解析し将来はマススクリーニングできるようなマーカーを見いだすとともに、治療薬の開発も同時に推進する予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201711023C

収支報告書

文献番号
201711023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,200,000円
(2)補助金確定額
2,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 884,059円
人件費・謝金 0円
旅費 29,780円
その他 1,010,161円
間接経費 276,000円
合計 2,200,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-02-22
更新日
-