潰瘍性大腸炎の発症関連及び予防要因解明を目的とした症例対照研究

文献情報

文献番号
201711016A
報告書区分
総括
研究課題名
潰瘍性大腸炎の発症関連及び予防要因解明を目的とした症例対照研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-033
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
研究分担者(所属機関)
  • 日浅 陽一(愛媛大学 大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学)
  • 古川 慎哉(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
  • 田中 景子(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
  • 永田 知里(岐阜大学 大学院医学研究科 疫学・予防医学分野)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 安藤 朗(滋賀医科大学 消化器・血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,575,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国外の研究では一定数の症例対照研究が実施され、潰瘍性大腸炎と関連するいくつかの環境要因と遺伝要因が報告されているが、未だ確立したエビデンスは得られていない。国内ではこれまで2つの症例対照研究が実施されたが、遺伝情報が収集されていないだけでなく、症例群の総数がそれぞれ131名と126名であった。また、それぞれの症例対照研究で原著論文が1編ずつ報告されている。
 本研究では、潰瘍性大腸炎の発症と関連する環境要因及び遺伝要因解明のため、症例群400名と対照群800名を目標とする症例対照研究を実施した。
 全身性エリテマトーデスのリスク要因に関するエビデンスは国際的にも乏しい。環境要因、遺伝要因ともに質の高い日本人のエビデンスがとても少なく、エビデンスを蓄積する必要がある。今後、全身性エリテマトーデスの症例対照研究を実施することを目的に、全身性エリテマトーデスのリスクと関連する環境要因について文献を調べた上で、質問調査票を開発した。

研究方法
1.潰瘍性大腸炎の症例対照研究
 研究協力医療機関においては、症例群のみリクルートした。臨床の先生方の負担を軽減するため、本研究の概要を症例群候補者の患者に話し、詳細説明については、愛媛大学より後日、電話で行う旨、説明して頂いた。その際、個人情報提供に関する同意書に署名を頂いた。担当医は患者シートに当該患者の投薬及び重症度に関する情報を記入し、署名済み個人情報提供同意書とともに愛媛大学研究事務局に郵送した。その情報に従い、愛媛大学研究事務局より電話で詳細な説明を行い、最終的な同意を得た。研究事務局より質問調査票と遺伝子検体(口腔粘膜細胞)採取の綿棒を対象者の自宅に送付した。対象者は回答済み質問調査票と検体を事務局に送付した。記入漏れ等は対象者と事務局間で確認を行った。
 対照群については、性別と年齢をマッチさせて愛媛大学医学部附属病院や関連の医療機関でリクルートを行った。

2.全身性エリテマトーデスの症例対照研究に資する質問調査票の開発
 今後、全身性エリテマトーデスの症例対照研究を実施するために、半定量食事摂取頻度調査票以外の環境要因に関する質問調査票を開発した。
結果と考察
1.潰瘍性大腸炎の症例対照研究
 最終的に症例群として52医療機関から計384名が研究に参加した。対照群は愛媛大学及び関連病院から666名が研究に参加した。
 一般的な多施設共同研究では、各医療機関でインフォームド・コンセントの取得、質問調査票や生体試料のデータ取得を実施する必要があり、臨床の先生方の負担が多い。本研究では、症例群の基準を満たす症例群の候補者に、簡単な研究の説明の後、愛媛大学研究事務局に個人情報を提供する同意を取得し、患者シートに投薬状況と重症度を記載して研究事務局に送付するという負担の少ないリクルートの運営方法を採用した。
 対照群のリクルートについては、本来、各研究協力医療機関において症例群1名につき、1~4名の対照群を選定すべきである。しかしながら、各研究協力医療機関で対照群をリクルートすることは困難であったため、基本的に愛媛大学医学部附属病院及び関連の医療機関で対照群をリクルートすることにした。これは重大な方法論的欠点であるが、この欠点を十分に認識して論文を執筆する必要がある。

2.全身性エリテマトーデスの症例対照研究に資する質問調査票の開発
 家族状況、居住状況、出生・乳幼児期状況、体格、職業、職業曝露、喫煙、受動喫煙、食行動、飲酒、居住環境、運動、睡眠、口腔状況、うつ症状、内服状況、既往歴、家族歴、ストレス状況、学歴、年収、生理状況等に関する質問を含んだ30ページから成る質問調査票を開発した。
 半定量食事摂取頻度調査票を含めると約50ページから成る質問調査票で情報を得ることになる。
結論
 最終的に症例群384名と対照群666名が研究に参加した。本邦では、過去最大の規模であり、遺伝情報も収集し、厚生行政に資するデータを集めることができた。今後、このデータを活用することで、本邦における潰瘍性大腸炎の一次予防に資する数多くのエビデンスを創出できる。
 全身性エリテマトーデスの症例対照研究用の質問調査票を開発した。環境要因と全身性エリテマトーデスのリスクとの関連に関する数多くのエビデンスの創出に大きく貢献できる。また、全身性エリテマトーデス以外の自己免疫疾患の症例対照研究にも活用できる。

公開日・更新日

公開日
2018-05-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201711016B
報告書区分
総合
研究課題名
潰瘍性大腸炎の発症関連及び予防要因解明を目的とした症例対照研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-033
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
研究分担者(所属機関)
  • 日浅 陽一(愛媛大学 大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学)
  • 古川 慎哉(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
  • 田中 景子(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
  • 永田 知里(岐阜大学 大学院医学研究科 疫学・予防医学分野)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 安藤 朗(滋賀医科大学 消化器・血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国外の研究では一定数の症例対照研究が実施され、潰瘍性大腸炎と関連するいくつかの環境要因と遺伝要因が報告されているが、未だ確立したエビデンスは得られていない。国内ではこれまで2つの症例対照研究が実施されたが、遺伝情報が収集されていないだけでなく、症例群の総数がそれぞれ131名と126名であった。また、それぞれの症例対照研究で原著論文が1編ずつ報告されている。
 本研究では、潰瘍性大腸炎の発症と関連する環境要因及び遺伝要因解明のため、症例群400名と対照群800名を目標とする症例対照研究を実施した。
 全身性エリテマトーデスのリスク要因に関するエビデンスは国際的にも乏しい。環境要因、遺伝要因ともに質の高い日本人のエビデンスがとても少なく、エビデンスを蓄積する必要がある。今後、全身性エリテマトーデスの症例対照研究を実施することを目的に、全身性エリテマトーデスのリスクと関連する環境要因について文献を調べた上で、質問調査票を開発した。
研究方法
1.潰瘍性大腸炎の症例対照研究
 研究協力医療機関においては、症例群のみリクルートした。臨床の先生方の負担を軽減するため、本研究の概要を症例群候補者の患者に話し、詳細説明については、愛媛大学より後日、電話で行う旨、説明して頂いた。その際、個人情報提供に関する同意書に署名を頂いた。担当医は患者シートに当該患者の投薬及び重症度に関する情報を記入し、署名済み個人情報提供同意書とともに愛媛大学研究事務局に郵送した。その情報に従い、愛媛大学研究事務局より電話で詳細な説明を行い、最終的な同意を得た。研究事務局より質問調査票と遺伝子検体(口腔粘膜細胞)採取の綿棒を対象者の自宅に送付した。対象者は回答済み質問調査票と検体を事務局に送付した。記入漏れ等は対象者と事務局間で確認を行った。
 対照群については、性別と年齢をマッチさせて愛媛大学医学部附属病院や関連の医療機関でリクルートを行った。

2.全身性エリテマトーデスの症例対照研究に資する質問調査票の開発
 今後、全身性エリテマトーデスの症例対照研究を実施するために、半定量食事摂取頻度調査票以外の環境要因に関する質問調査票を開発した。
結果と考察
1.潰瘍性大腸炎の症例対照研究
 最終的に症例群として52医療機関から計384名が研究に参加した。対照群は愛媛大学及び関連病院から666名が研究に参加した。
 一般的な多施設共同研究では、各医療機関でインフォームド・コンセントの取得、質問調査票や生体試料のデータ取得を実施する必要があり、臨床の先生方の負担が多い。本研究では、症例群の基準を満たす症例群の候補者に、簡単な研究の説明の後、愛媛大学研究事務局に個人情報を提供する同意を取得し、患者シートに投薬状況と重症度を記載して研究事務局に送付するという負担の少ないリクルートの運営方法を採用した。
 対照群のリクルートについては、本来、各研究協力医療機関において症例群1名につき、1~4名の対照群を選定すべきである。しかしながら、各研究協力医療機関で対照群をリクルートすることは困難であったため、基本的に愛媛大学医学部附属病院及び関連の医療機関で対照群をリクルートすることにした。これは重大な方法論的欠点であるが、この欠点を十分に認識して論文を執筆する必要がある。

2.全身性エリテマトーデスの症例対照研究に資する質問調査票の開発
 家族状況、居住状況、出生・乳幼児期状況、体格、職業、職業曝露、喫煙、受動喫煙、食行動、飲酒、居住環境、運動、睡眠、口腔状況、うつ症状、内服状況、既往歴、家族歴、ストレス状況、学歴、年収、生理状況等に関する質問を含んだ30ページから成る質問調査票を開発した。
 半定量食事摂取頻度調査票を含めると約50ページから成る質問調査票で情報を得ることになる。
結論
 最終的に症例群384名と対照群666名が研究に参加した。本邦では、過去最大の規模であり、遺伝情報も収集し、厚生行政に資するデータを集めることができた。今後、このデータを活用することで、本邦における潰瘍性大腸炎の一次予防に資する数多くのエビデンスを創出できる。
 全身性エリテマトーデスの症例対照研究用の質問調査票を開発した。環境要因と全身性エリテマトーデスのリスクとの関連に関する数多くのエビデンスの創出に大きく貢献できる。また、全身性エリテマトーデス以外の自己免疫疾患の症例対照研究にも活用できる。

公開日・更新日

公開日
2018-05-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201711016C

収支報告書

文献番号
201711016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,047,000円
(2)補助金確定額
2,047,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 290,370円
人件費・謝金 747,379円
旅費 51,000円
その他 486,251円
間接経費 472,000円
合計 2,047,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-02-12
更新日
-