原発性高脂血症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201711007A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性高脂血症に関する調査研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-021
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 俊(自治医科大学 医学部 内科学講座 内分泌代謝学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 寺本 民生(帝京大学 臨床研究センター 代謝学)
  • 山下 静也(独立行政法人りんくう医療センター病院)
  • 武城 英明(東邦大学医学部附属佐倉病院)
  • 荒井 秀典(独立行政法人長寿医療センター病院)
  • 林 登志雄(名古屋大学大学院 医学系研究科 看護学専攻 健康発達看護学講座)
  • 島野 仁(筑波大学大学院 医学医療系)
  • 池脇 克則(防衛医科大学校 抗加齢血管内科)
  • 後藤田 貴也(杏林大学 生化学)
  • 塚本 和久(帝京大学医学部 内科学講座 総合内科)
  • 土橋 一重(昭和大学医学部 小児科学講座)
  • 斯波 真理子(国立循環器病センター 病態代謝部)
  • 横手 幸太郎(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病センター 予防健診部)
  • 関島 良樹(信州大学医学部 内科学第三)
  • 石垣 泰(岩手医科大学 糖尿病・代謝内科)
  • 岡崎 啓明(東京大学医学部 糖尿病代謝内科)
  • 野原 淳(金沢大学大学院 医薬保険学総合研究脂質研究講座)
  • 稲垣 恭子(日本医科大学 内分泌・糖尿病代謝科)
  • 小山 信吾(山形大学医学部 第3内科)
  • 倉科 智行(自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,785,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の原発性高脂血症のうち、とくにFH(ホモ・ヘテロ接合体含む)、家族性Ⅲ型高脂血症、高カイロミクロン血症患者の病態および治療実態の調査を行い、その後前向きに各種イベントの発生および死亡を追跡することにより、上記疾患患者におけるイベント発生率・死亡率を明らかにし、予後改善への貢献、診療ガイドラインの改訂を目的とする。
研究方法
FH・家族性Ⅲ型高脂血症・高カイロミクロン血症の予後実態調査(PROLIPID研究)」は、患者登録後より前向きに各種イベントの発生および死亡を追跡することにより、上記疾患患者におけるイベント発生率・死亡率を明らかにするため一昨年度に立ち上げた研究であり、本年度は施設登録および症例登録の推進およびベースライン調査を行った。 
「家族性高コレステロール血症診療ガイドライン」(日本動脈硬化学会)の策定において、学会の診療ガイドライン作成委員会に本研究班の研究者が多数参加し、共同で作成を行った。また、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」や「脂質異常症治療ガイド2013年版改訂版」の執筆にも関わり刊行に至った。
脳腱黄色腫症の新診断基準案、診療ガイドライン案を作成した。
結果と考察
「家族性高コレステロール血症・家族性Ⅲ型高脂血症・高カイロミクロン血症の予後実態調査」研究のベースライン調査を行った。2017年12月時点で422例の登録があり、FHホモ接合体6例、FHヘテロ接合体362例、Ⅲ型14例、高カイロミクロン血症35例であった。FHヘテロ症例の登録時LDL-C平均値は141mg/dlであり、日本動脈硬化学会の定める治療目標値の100mg/dl未満には到達していなかった。早発性冠動脈疾患家族歴は約3割に認められた。89%がスタチンで治療され、さらに59%がスタチン以外の治療を併用していた。高カイロミクロン血症症例の登録時トリグリセリド平均値は550mg/dlであった。
 ガイドラインについて、日本動脈硬化学会FH診療ガイドライン作成委員会(本研究班の石橋、山下、武城、荒井、土橋、斯波、横手、石垣、野原らにより構成)が「家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2017」を発表した。
日本動脈硬化学会より平成29年7月1日に発刊された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版」の「家族性高コレステロール血症」と「その他の原発性高脂血症」についての執筆を班員が中心に行った。
脳腱黄色腫症の新しい診断基準案と、診療ガイドライン案を日本神経学会に提示し承認の依頼を行っている。
結論
本邦のFH患者ではスタチン治療を受けていない患者が約1割あった。治療目標値100mg/dl未満を達成するには、さらに他の治療薬の併用を積極的に推進する必要がある。今後も症例を集積し、予後実態調査の可能なレジストリにしていく必要がある。指定難病の啓発活動について、多角的に展開していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201711007B
報告書区分
総合
研究課題名
原発性高脂血症に関する調査研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-021
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 俊(自治医科大学 医学部 内科学講座 内分泌代謝学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 寺本 民生(帝京大学 臨床研究センター)
  • 山下 静也(独立行政法人りんくう医療センター病院)
  • 武城 英明(東邦大学医学部附属佐倉病院)
  • 荒井 秀典(独立行政法人長寿医療センター病院)
  • 林 登志雄(名古屋大学大学院 医学系研究科 看護学専攻 健康発達看護学講座)
  • 島野 仁(筑波大学大学院 医学医療系)
  • 池脇 克則(防衛医科大学校 抗加齢血管内科)
  • 後藤田 貴也(杏林大学 生化学)
  • 塚本 和久(帝京大学医学部 内科学講座 総合内科)
  • 土橋 一重(昭和大学医学部 小児科学講座)
  • 斯波 真理子(国立循環器病センター 病態代謝部)
  • 横手 幸太郎(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病センター 予防健診部)
  • 関島 良樹(信州大学医学部 内科学第三)
  • 石垣 泰(岩手医科大学 糖尿病・代謝内科)
  • 岡崎 啓明(東京大学医学部 糖尿病代謝内科)
  • 野原 淳(金沢大学大学院 医薬保険学総合研究脂質研究講座)
  • 稲垣 恭子(日本医科大学 内分泌・糖尿病代謝科)
  • 小山 信吾(山形大学医学部 第3内科)
  • 倉科 智行(自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門)
  • 木下 誠(帝京大学医学部 内科学講座 総合内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の原発性高脂血症のうち、とくにFH(ホモ・ヘテロ接合体含む)、家族性Ⅲ型高脂血症、高カイロミクロン血症患者の病態および治療実態の調査を行い、その後前向きに各種イベントの発生および死亡を追跡することにより、上記疾患患者におけるイベント発生率・死亡率を明らかにし、予後改善への貢献、診療ガイドラインの改訂を目的とする。
新規指定難病6疾患について、「難病の患者に対する医療等に関する法律」の運用に適するような、診断基準の確立、疾患啓発を目的とする
研究方法
FH・家族性Ⅲ型高脂血症・高カイロミクロン血症の予後実態調査(PROLIPID研究)」は、患者登録後より前向きに各種イベントの発生および死亡を追跡することにより、上記疾患患者におけるイベント発生率・死亡率を明らかにするため昨年度に立ち上げた研究であり、本年度は施設登録および症例登録の推進およびベースライン調査を行った。 
 国内外の文献や確定診断患者の情報をもとに、原発性高脂血症に関する調査研究班での協議を経て本邦での各疾患の診断基準を策定したが、診断基準の改変を行った。
 また、本研究班の所管する指定難病について、市民公開講座や各種学会・医師会に対する啓発活動を行った。
結果と考察
「家族性高コレステロール血症・家族性Ⅲ型高脂血症・高カイロミクロン血症の予後実態調査」研究のベースライン調査を行った。2017年12月時点で422例の登録があり、FHホモ接合体6例、FHヘテロ接合体362例、Ⅲ型14例、高カイロミクロン血症35例であった。FHヘテロ症例の登録時LDL-C平均値は141mg/dlであり、日本動脈硬化学会の定める治療目標値の100mg/dl未満には到達していなかった。早発性冠動脈疾患家族歴は約3割に認められた。89%がスタチンで治療され、さらに59%がスタチン以外の治療を併用していた。高カイロミクロン血症症例の登録時トリグリセリド平均値は550mg/dlであった。
 指定難病6疾患の診断基準・重症度分類(新規認定申請書類)を確定した(平成27年度)。
 啓発活動:世界FHデーにあたる平成28年9月24日、国立循環器病センターにてFHアフェレシス患者会10周年を記念し、市民公開講座を開催した。FH患者およびその家族76名が参加し、医師、栄養士、患者会会員などの講演のほか、集団討議・質疑応答も行われた。また、LCAT欠損症の啓発のため、腎臓病学会や県疾病対策課、医師会と協力し「尿蛋白陽性でHDL-コレステロール20mg/dl未満」例に対する精査協力を依頼した。
 ガイドライン:日本動脈硬化学会と共同で「家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2017」を発表した。また「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版」の「家族性高コレステロール血症」と「その他の原発性高脂血症」についての執筆を班員が中心に行った。脳腱黄色腫症の新診断基準案と、診療ガイドライン案を日本神経学会に承認を依頼している。

結論
本邦のFH患者ではスタチン治療を受けていない患者が約1割あった。治療目標値100mg/dl未満を達成するには、さらに他の治療薬の併用を積極的に推進する必要がある。今後も症例を集積し、予後実態調査の可能なレジストリにしていく必要がある。指定難病の啓発活動について、多角的に展開していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201711007C

収支報告書

文献番号
201711007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,785,000円
(2)補助金確定額
5,785,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,020,941円
人件費・謝金 860,733円
旅費 1,106,070円
その他 1,800,138円
間接経費 0円
合計 5,787,882円

備考

備考
差額2,882円は「自己資金額」になります。

公開日・更新日

公開日
2019-03-19
更新日
-